「触れること」の希薄な世界

  仏教では五感こそが苦の原因であるとする教えがあります。 「五蘊苦」と呼ばれるものですね。 五蘊とは、色(視覚)、受(触覚)、想(嗅覚)、行(味覚)、識(聴覚)の五つの要素を指します。 これらの要素は、私たちが世界を認…

ICUでの冠動脈疾患の重症度スコア

  一般の方には馴染みが薄いはずですが、重症度スコアというものがあります。 代表的なものが、敗血症関連臓器不全評価スコア(SOFA)やオックスフォード急性疾患重症度スコア(OASIS)と呼ばれるものです。 SOFAスコア…

「座らない」というだけで効果がでる

  私たちの日常生活は、さまざまな習慣によって形成されています。 特に高齢になると、健康を維持するための新しい習慣を取り入れることは容易ではありません。 ワシントン州で行われたある研究が、高齢者の健康促進に向けた新たな道…

孤独感は人格を徐々に変えていく

  孤独とは、私たちの心に静かに忍び寄り、時には心の深層にまで影響を及ぼしてしまうものです。 その孤独感が、特定の人格を形づくっていくことを明らかにした研究があります。 かつて人格は、生まれつきのものであり、変わることの…

「よく噛んで食べること」の効用

  食後の高血糖に対応した「食べる順ダイエット」などの発想は、目から鱗だった記憶があります。 その気になれば誰でも取り組めますし、何をどう食べるかという視点は「食事を摂ること」の奥深さを今さらに感じたものでした。 そして…

「ロングゲーム」

時の速さを川の流れによく例えたものだと思います。 一瞬一瞬が過ぎ去り、そこに留めておくこともできず、気づけば大切なものを見失ってしまう。 忙しさに追われ、目の前の快や成果に目を奪われがちですが、実はそれが私たちを本当の幸…

誰もが考えすぎてしまうことがある

  「あれこれと悩みすぎてしまう」―これは現代人のあるあるかもしれませんね。 私たちの脳は、昔から生存のために脅威を探し続けるようにできています。 しかし、その「生存本能」が今日では、日常のささいなことから未来の不確実性…

道しるべとなる感染症専門医

  初期研修医の頃には、感染症グループの先生に怒られまいと、発熱した患者さんの詳細な病歴、身体所見、喀痰や尿などの検体の塗抹検査、培養を準備してプレゼンをし、抗生剤を決めてもらったものでした。 根拠ない抗生剤の選択ほど、…

節酒したら健康を取り戻せるのか

  先人たちの「酒は飲むもの飲まるるな」とのありがたい言葉が示すように、いくつになってもお酒の適量というものが難しい。 多くの人々が、日々の多忙をねぎらうために、リラックスする手段としてアルコールを口にします。 一杯のビ…

筋トレは落ち込んだ心にも効く

  「人生の99.9%の問題は、筋トレで解決できる!」と言ってのけるTestosteroneさんのような方は、今回紹介する論文などについては「わが意を得たり!」と膝を叩くところでしょうね。   私たちの心と体は、予想以上…

3時間以上のゲームは身体をいためる?

  今回は長時間のビデオゲームが「身体」に悪影響を及ぼす可能性についての論文です。 この研究によると、1度のプレイ時間が「3時間」を超えると、身体にダメージを与えるのだそうです。 これまでのビデオゲームに関する研究は、「…

フィトケミカルと偏頭痛

  「フィトケミカル」という言葉を、実は初めて知りました。 Google先生によれば、フィトケミカルというのは、植物が紫外線や昆虫などから身を守るために作り出した色素や香り、辛味、ネバネバなどの成分を指すのだそうです。 …

「LISTEN ― 知性豊かで創造力がある人になれる」

「人の話を聞くこと」は、現代ではより軽視されてきているように思います。 スマートフォンやSNSの普及により、私たちはいつでもどこでも情報にアクセスできるようになりました。 しかし、この進歩がもたらす副作用の一つに、対面で…

「ポンコツなわたしで、生きていく。」

    「ポンコツなわたしで生きていく」=「コンプレックスのトリセツ」と言っていいかも知れません。 自分の「ポンコツ」な部分に悩まされ、不得意に直面し、心を重く感じた経験は誰にでもあるものです。 そのような自分を受け入れ…

弾よりも速く!高いビルもひとっ飛び!

エリートスポーツの世界では、ごくわずかな差が勝利と敗北を分けます。 選手はもちろんですが、コーチやトレーナーも、厳しい競争の世界で、有効なコーチングとは何かということを毎日探求しているのだと思います。 その結果、トレーニ…

社会的孤立の状況では体を動かすこと!

  ほんの3年前の話ですが、私たちは等しく「社会的孤立」を経験しました。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は、私たちの日常生活に大きな影響を与え、特に社会的接触の減少による精神的健康への影響が懸念されて…

「グッド・ライフ」:他者との関係性への投資

    私たちの日常は、数え切れないほどの選択に満ちています。 「今、何を選べば人生を豊かにするか?」という問いに対し、多くの人は金銭や成功を直感的に思い浮かべます。 しかし、ハーバード大学の長期研究から浮かび上がる答え…

音楽と認知機能

音楽は、ただ耳を楽しませるだけではありません。 私たちの心と脳に深い影響を及ぼしています。 特に、人生の後半期において、音楽に関わることが認知能力、特に記憶力や問題解決能力といった実行機能の向上につながる可能性があること…

ビタミン・サプリとCKD

今日は慢性腎臓病(CKD)患者におけるビタミン補給についての研究成果を紹介したいと思います。 多くの人がビタミンと聞くと、健康のための万能薬を思い浮かべるかもしれません。 しかし、CKD患者におけるビタミン補給の効果と安…

コーヒーと偏頭痛の関係

このブログで何度もコーヒーの話題を取り上げるのでお察しの通り、私はコーヒー依存気味です。 コーヒーが切れるとキレます(笑)。 世界中で愛されるコーヒーは、朝の目覚めを促すだけでなく、愛好家にとっては欠かせないものです。 …

摘出か?薬剤か?:骨密度と副甲状腺

  透析治療を受けている人々にとって、骨の健康は大きな問題です。 腎臓のはたらきが低下してくると、ビタミンDや副甲状腺ホルモン、それとカルシウムやリンが組成に大きく関連する骨の間で、そのバランスを保つために、通常とは違っ…

時間の感覚をとりもどす

今日は、自然が私たちの時間感覚に与える影響について、紹介します。 この話題は、忙しい毎日を送る中で、ふと立ち止まり、周りの世界を感じる時間の重要性を再認識させてくれます。 現代社会は「時間」という概念に支配されています。…

睡眠不足チェッカーがあったなら

個人的にも、興味深い研究報告がありました。 それは、人が24時間以上眠っていないかどうかを見分けることができる新しい血液検査の開発です。 この検査は「Science Advances」誌に掲載され、その精度は99%にも及…

透析室のPCT(患者ケア技術者)の適正配置

  アメリカでは、透析に関わるスタッフのことをPCT(Patient Care Technician:患者ケア技術者)と呼ぶのですね。 最近の研究で、これらスタッフが、透析室にどれだけ配置されているかによって、患者の健康…

口腔の健康と認知機能

「衣食住」につながるものは欠かすことができませんし、人の体のはたらきも、それに関わるものは重要な位置づけになりますね。 例えば、食べること。 食べることの最初の入り口は、「口」です。 この口腔のはたらきが、認知機能に影響…