眠らなければ終わる夜に、なぜ目だけが冴えるのか―新奇環境で覚醒が続く理由と「初日効果」が残した回路

眠らなければ終わる夜に、なぜ目だけが冴えるのか―新奇環境で覚醒が続く理由と「初日効果」が残した回路

  出張の前泊で、慣れないホテルに泊まった夜、電気を消してからが本番になる。 明日は朝から大事な仕事がある。 失敗は許されない。 体は疲れている。 条件は揃っている。 なのに眠れない。 布団の感触も、空調の音も、いつもよ…
体は、食べた瞬間には変わらない―オーツ麦が残した“時間差の反応”を、腸内で読み解く

体は、食べた瞬間には変わらない―オーツ麦が残した“時間差の反応”を、腸内で読み解く

  健康食品には流行があります。 ファッションと同じで、ある時期に評価が高まり、しばらくすると別のものに置き換わっていく。 その流れの中で、私たち自身も、意識するほどではなく、流行に乗ったり降りたりを繰り返しています。 …
円と四角は、なぜ一つの絵に収まったのか―《ウィトルウィウス的人体図》を読み直す

円と四角は、なぜ一つの絵に収まったのか―《ウィトルウィウス的人体図》を読み直す

  十五世紀の終わり、レオナルド・ダ・ヴィンチは一枚の素描を描きました。 円と正方形の中に、手足を大きく広げた人の体が重ねて描かれているその図は、今もなお世界で最も有名な人体図の一つです。 多くの人がその美しさに目を奪わ…
音楽教育は、貧困による学業の遅れから子どもを守る―アメリカの大規模追跡研究から見えてきたこと

音楽教育は、貧困による学業の遅れから子どもを守る―アメリカの大規模追跡研究から見えてきたこと

  子どもが新しい言葉を覚える瞬間は、案外あっけないものです。 意味を正確に理解していなくても、音のかたちや使われ方を真似しながら、会話の中に滑り込ませていく。 その様子を見ていると、言葉は教室で与えられるというより、日…
死はいつも、こちら側に残される―日本版デス・リテラシー指標で見えてきた、動けない空白

死はいつも、こちら側に残される―日本版デス・リテラシー指標で見えてきた、動けない空白

  フランスの思想家モーリス・ブランショは、「死はいつも他人の死である」という言葉を残しました。 私たちは、自分の死を自分で「見る」ことはできません。 死は、いつも誰かの出来事として、生きている私たちの前に現れます。 病…
2026年を迎えて

2026年を迎えて

  あけましておめでとうございます。 2026年の元日を迎え、こうして皆さんにごあいさつできることを、院長として率直にうれしく思っています。   昨年を振り返ると、「あっという間でした」と軽く言ってしまうには、決して平坦…
会話が途切れた一瞬で、指は画面へ伸びる―不安な心は、なぜ目の前の人よりスマホを選ぶのか

会話が途切れた一瞬で、指は画面へ伸びる―不安な心は、なぜ目の前の人よりスマホを選ぶのか

  会話が途切れた、その一瞬です。 気まずさが生まれる前に、指は自然とスマートフォンへ伸びます。 隣に誰かが座っていても、この動きは止まりません。 気づけば、沈黙を埋める相手は人ではなく、画面になっています。 この反射の…
父親との2週間―育休が変える家族の未来

父親との2週間―育休が変える家族の未来

  私が県立中部病院の勤務医だったころ、アメリカ留学帰りの先輩の先生が「産休」はもちろん、「育児休暇」をとったというのを聞いて、素直に驚いたことがあります。 当時、管理職の外科の先生は「自分は子どもの学校行事は一度も観に…
共感の“思い込みギャップ”が孤独を生む―人はなぜ、相手の優しさを過小評価してしまうのか

共感の“思い込みギャップ”が孤独を生む―人はなぜ、相手の優しさを過小評価してしまうのか

  新しい環境に足を踏み入れるとき、胸の奥に小さな不安が生まれます。 教室や職場、地域の集まりなど、まわりは知らない人ばかり。 話しかけたいけれど、相手がどう思うかを考えると足がすくむ―そんな経験をしたことがある人は少な…