水は暮らしへ、塩は資源へ ― 太陽熱淡水化と、海水からの鉱物採掘を同時に試した研究

水は暮らしへ、塩は資源へ ― 太陽熱淡水化と、海水からの鉱物採掘を同時に試した研究

  海に囲まれた沖縄に住む私たちにとって、海水淡水化プラントはただの施設ではありません。 干ばつや台風のたびに、水がどれほど暮らしの足場を支えているかを思い知らされます。 透析クリニックに身を置く者としては、水は暮らしを…
同じ挽き目なのに、なぜ流れが変わるのか ― エスプレッソの粉の中にある、通れる穴と通れない穴

同じ挽き目なのに、なぜ流れが変わるのか ― エスプレッソの粉の中にある、通れる穴と通れない穴

  コーヒーの味にこだわるほど、豆の産地や焙煎の深さが気になります。 エスプレッソでは、細かく挽いて、タンピングと呼ばれる作業で押し固めた粉に、高い圧力でお湯を通します。 お湯が粉の層を抜ける速さが変われば、成分が溶け出…
朝の一杯を待っていたのは、脳だけではなかった―健康成人62人で見た、コーヒー習慣・腸内細菌・気分と記憶のつながり

朝の一杯を待っていたのは、脳だけではなかった―健康成人62人で見た、コーヒー習慣・腸内細菌・気分と記憶のつながり

  朝の出勤途中、私はよくコンビニに寄って、ホットのカフェラテを注文します。 カップを受け取り、一口飲んで、ホッと息をつく。 そこから脳がようやく仕事用のモードに入っていく感じがあります。 これが、コーヒー好きという言葉…
誰かと食べた回数に、幸福感の差が表れる ― 142カ国15万人と米国20年の調査で見た、共食と幸福感

誰かと食べた回数に、幸福感の差が表れる ― 142カ国15万人と米国20年の調査で見た、共食と幸福感

  昼食を一人で済ませる日があります。 スマホを見ながら弁当のふたを開け、食べたことは覚えていても、どんな時間だったかはあまり覚えていない。 別の日には、誰かと同じ机につき、同じ弁当を前にして、短い会話を交わす。 食事は…
ひらめきたいなら、少し手を動かすほうがいい ―退屈な動画と少し面白い動画で見えた、発想の条件

ひらめきたいなら、少し手を動かすほうがいい ―退屈な動画と少し面白い動画で見えた、発想の条件

  シャワーを浴びているとき、散歩をしているとき、庭の草をむしっているとき。 机の前では出てこなかった答えが、不意に形を取り始めることがあります。 こうした経験から、多くの人は一つの考えを信じてきました。 単調で退屈な時…
疲れは、生活の乱れだけでは読めない―米国成人のビタミンD・B12・オメガ3不足からみた疲労の背景

疲れは、生活の乱れだけでは読めない―米国成人のビタミンD・B12・オメガ3不足からみた疲労の背景

  朝、目覚ましのアラームを止めたあと、体が重い日があります。 前の晩にとくべつ遅くまで起きていたわけでもないし、週末に休みを取ったばかりなのに、頭がぼんやりしている。 そういうとき、多くの人はまず自分の生活を疑います。…
サツマイモの離乳食は、赤ちゃんの眠りを助けるのか―乳児281人の4か月試験でみえた、夜間覚醒からの戻りやすさ

サツマイモの離乳食は、赤ちゃんの眠りを助けるのか―乳児281人の4か月試験でみえた、夜間覚醒からの戻りやすさ

  赤ちゃんが夜中に目を覚ます。 授乳し、抱き上げ、背中をさすり、もう一度寝かせる。 親にとってこの時間は、実際よりも長く感じるものです。 3割から5割の親が子どもの眠りを問題と感じていて、夜泣きや頻回覚醒は育児相談で最…
歳をとると変わるのは、眠る長さより眠りの中身―脳波のパターンと睡眠恒常性から見た加齢の変化

歳をとると変わるのは、眠る長さより眠りの中身―脳波のパターンと睡眠恒常性から見た加齢の変化

  夜中に何度も目が覚める。 寝つきに時間がかかる。 朝が早すぎる。 歳を重ねるにつれて眠りへの不満は増え、睡眠薬を求めて診察室を訪れる人も少なくありません。 そこには一つの前提があります。 十分な時間さえ眠れれば、脳は…
できる日は、なぜ突然やってくるのか―小脳で見つかった、学習の直前に抑制をゆるめる回路

できる日は、なぜ突然やってくるのか―小脳で見つかった、学習の直前に抑制をゆるめる回路

  ギターを練習していて、何日も引っかかっていたフレーズが、ふいに弾ける瞬間があります。 指が勝手に動き出す。 昨日まで転んでいた自転車を、ある朝すっと乗りこなしている。 けれど、その「できた」は脆い。 どうやって弾いた…
変われる世界は、いつも救いになるとは限らない―社会不安の高い人で確かめた「印象は変わるか」という4つの研究

変われる世界は、いつも救いになるとは限らない―社会不安の高い人で確かめた「印象は変わるか」という4つの研究

  「人は変わらない。」 昔からよく聞く言葉です。 私自身もそう考えることがあります。 事態を動かしたいなら、相手を変えようとするより、自分が変わるほうが早い。 少し冷えた戦略にも見えますが、この考え方には別の面もありま…
なぜ皮肉がわかると、人は安心するのか―ブラックユーモアと不安の関係を調べた心理実験

なぜ皮肉がわかると、人は安心するのか―ブラックユーモアと不安の関係を調べた心理実験

  宴席でブラックジョークを口にした瞬間、場の空気が変わったことがあります。 笑った人と、表情を固めた人が、同じテーブルにいました。 笑えなかった側は「センスがない」と思われたかもしれません。 笑った側は「空気が読めない…
孤独になると、なぜ人は過去を思い出すのか ―ノスタルジア研究が見つめた「切れない構造」

孤独になると、なぜ人は過去を思い出すのか ―ノスタルジア研究が見つめた「切れない構造」

  三月になりました。 街を歩いていると、ふいに花束を抱えた人の姿が目に入りました。 晴れやかな表情。写真を撮る家族。 卒業式の帰りなのでしょう。 その光景を見ていると、自分のあの頃を思い出します。 教室の空気。友だちの…
食べる回数は、体を変えるのか―3食か、こまめに分けるか。研究が見た「空腹」とのつきあい方

食べる回数は、体を変えるのか―3食か、こまめに分けるか。研究が見た「空腹」とのつきあい方

  昼前になると、少しそわそわします。 お腹が鳴る。集中力が落ちる。イライラする。 私たちはその感覚を「よくないもの」だと思いがちです。 だから、なるべく空腹にならないように食べます。 3食きちんと。あるいは2時間おきに…
1日2~3杯のコーヒーが記憶を未来に届けてくれる―13万人・43年追跡が測った認知症リスク

1日2~3杯のコーヒーが記憶を未来に届けてくれる―13万人・43年追跡が測った認知症リスク

  正直な話、世の中、コーヒー擁護の論文が多すぎる気がしています。   心臓にいい、糖尿病にいい、肝臓にいい、うつにいい、死亡率を下げる―そして今度は「認知症」が対象です。   いつものことですが、半分ジョークでこう言い…
眠らなければ終わる夜に、なぜ目だけが冴えるのか―新奇環境で覚醒が続く理由と「初日効果」が残した回路

眠らなければ終わる夜に、なぜ目だけが冴えるのか―新奇環境で覚醒が続く理由と「初日効果」が残した回路

  出張の前泊で、慣れないホテルに泊まった夜、電気を消してからが本番になる。 明日は朝から大事な仕事がある。 失敗は許されない。 体は疲れている。 条件は揃っている。 なのに眠れない。 布団の感触も、空調の音も、いつもよ…
体は、食べた瞬間には変わらない―オーツ麦が残した“時間差の反応”を、腸内で読み解く

体は、食べた瞬間には変わらない―オーツ麦が残した“時間差の反応”を、腸内で読み解く

  健康食品には流行があります。 ファッションと同じで、ある時期に評価が高まり、しばらくすると別のものに置き換わっていく。 その流れの中で、私たち自身も、意識するほどではなく、流行に乗ったり降りたりを繰り返しています。 …