フランクリンも数えていた — おならの「ふつう」をめぐる36万回 2026/06/17Posted in健康, 文献, 日常 1781年、ベンジャミン・フランクリンは、自分が1日に「腸から風を出す」回数を7回と書き残しました。 いたずら心も混じる、妙にまじめな記述です。 電気の実験で知られ、合衆国建国にも名を連ねる人物が、そんな体の出来事…
縁まで、あと少し ― エルニーニョと雨雲の境目 2026/06/16Posted in文献, 日常, 科学, 自然環境 沖縄の夏、海の上に湧き上がる雲をながめていると、午後には雨が降ります。 海が暖かいほど雲は高くなり、雨脚も強くなる。 そう感じるのは自然です。 大きな原因には、大きな結果がついてくる。 強く押せば、それだけ大きく返っ…
水は暮らしへ、塩は資源へ ― 太陽熱淡水化と、海水からの鉱物採掘を同時に試した研究 2026/05/31Posted in文献, 日常, 科学 海に囲まれた沖縄に住む私たちにとって、海水淡水化プラントはただの施設ではありません。 干ばつや台風のたびに、水がどれほど暮らしの足場を支えているかを思い知らされます。 透析クリニックに身を置く者としては、水は暮らしを…
贈り物は、人を格付けするのか ― お返しの連鎖から見えた、富と名誉の段差 2026/05/27Posted in心理学, 文献, 日常 お中元やお歳暮、結婚や葬儀の席で交わされる贈り物は、たいてい温かさや好意の証として受け取られます。 お金のやり取りとは違い、そこに損得勘定はない。 贈与は人と人を対等に結ぶもので、序列や格差とは縁が薄い。 多くの人が…
覚えた息と、思い出す息が重なるとき ― 暗記と想起のそばにあった、呼吸の小さな時刻 2026/05/24Posted in心理学, 文献, 日常 夜遅く、机に向かった受験生が、さっき覚えたはずの単語を思い出せずにいます。 ページの場所は覚えている。 赤いペンで線を引いたことも覚えている。 けれど、肝心の言葉だけが出てこない。 焦るほど呼吸は浅くなり、両手で頭を…
その同意は、本気だったのか ― 陰謀論調査に紛れ込む、冗談と信念のすき間 2026/05/17Posted in心理学, 文献, 日常 「国民の何%が、陰謀論を信じている」 そんな見出しを見ると、私たちはつい、「ああ、そういう人たちがいるのだ」とひとまとめに見てしまいます。 少し距離を置き、ときには色眼鏡で眺めてしまう。 調査票に付いた1つの丸印が、…
赤信号は、ただの足止めなのか ― 車を待たせる数十秒に見えた、街の移動の選ばれ方 2026/05/16Posted in文献, 日常, 科学 車を待たせない信号は、街にとって親切な設計に見えます。 実際、多くの都市では長いあいだ、車の流れをできるだけ止めないことが、信号設計の大きな目標になってきました。 車が多い場所では車側の青を長くする。 歩行者や自転車…
同じ挽き目なのに、なぜ流れが変わるのか ― エスプレッソの粉の中にある、通れる穴と通れない穴 2026/05/07Posted in文献, 日常, 科学 コーヒーの味にこだわるほど、豆の産地や焙煎の深さが気になります。 エスプレッソでは、細かく挽いて、タンピングと呼ばれる作業で押し固めた粉に、高い圧力でお湯を通します。 お湯が粉の層を抜ける速さが変われば、成分が溶け出…
朝の一杯を待っていたのは、脳だけではなかった―健康成人62人で見た、コーヒー習慣・腸内細菌・気分と記憶のつながり 2026/05/01Posted in健康, 医療全般, 文献, 日常 朝の出勤途中、私はよくコンビニに寄って、ホットのカフェラテを注文します。 カップを受け取り、一口飲んで、ホッと息をつく。 そこから脳がようやく仕事用のモードに入っていく感じがあります。 これが、コーヒー好きという言葉…
誰かと食べた回数に、幸福感の差が表れる ― 142カ国15万人と米国20年の調査で見た、共食と幸福感 2026/04/29Posted in心理学, 文献, 日常 昼食を一人で済ませる日があります。 スマホを見ながら弁当のふたを開け、食べたことは覚えていても、どんな時間だったかはあまり覚えていない。 別の日には、誰かと同じ机につき、同じ弁当を前にして、短い会話を交わす。 食事は…
ひらめきたいなら、少し手を動かすほうがいい ―退屈な動画と少し面白い動画で見えた、発想の条件 2026/04/19Posted in心理学, 文献, 日常 シャワーを浴びているとき、散歩をしているとき、庭の草をむしっているとき。 机の前では出てこなかった答えが、不意に形を取り始めることがあります。 こうした経験から、多くの人は一つの考えを信じてきました。 単調で退屈な時…
疲れは、生活の乱れだけでは読めない―米国成人のビタミンD・B12・オメガ3不足からみた疲労の背景 2026/04/17Posted in健康, 文献, 日常 朝、目覚ましのアラームを止めたあと、体が重い日があります。 前の晩にとくべつ遅くまで起きていたわけでもないし、週末に休みを取ったばかりなのに、頭がぼんやりしている。 そういうとき、多くの人はまず自分の生活を疑います。…
サツマイモの離乳食は、赤ちゃんの眠りを助けるのか―乳児281人の4か月試験でみえた、夜間覚醒からの戻りやすさ 2026/04/15Posted in健康, 文献, 日常, 神経科学 赤ちゃんが夜中に目を覚ます。 授乳し、抱き上げ、背中をさすり、もう一度寝かせる。 親にとってこの時間は、実際よりも長く感じるものです。 3割から5割の親が子どもの眠りを問題と感じていて、夜泣きや頻回覚醒は育児相談で最…
歳をとると変わるのは、眠る長さより眠りの中身―脳波のパターンと睡眠恒常性から見た加齢の変化 2026/04/12Posted in文献, 日常 夜中に何度も目が覚める。 寝つきに時間がかかる。 朝が早すぎる。 歳を重ねるにつれて眠りへの不満は増え、睡眠薬を求めて診察室を訪れる人も少なくありません。 そこには一つの前提があります。 十分な時間さえ眠れれば、脳は…
「無言で済む社会」で減っていく声─ 22研究・約2200人で見えた、話し言葉の減少 2026/04/11Posted in文献, 日常 セルフレジで商品のバーコードを通し、画面の決済ボタンに指を置きます。 飲食店ではタッチパネルに触れるだけで注文が済み、知らない町ではスマートフォンの青い矢印が足元まで道を示してくれます。 人に声をかけずに済む仕組みを…
できる日は、なぜ突然やってくるのか―小脳で見つかった、学習の直前に抑制をゆるめる回路 2026/03/31Posted in文献, 日常, 神経科学 ギターを練習していて、何日も引っかかっていたフレーズが、ふいに弾ける瞬間があります。 指が勝手に動き出す。 昨日まで転んでいた自転車を、ある朝すっと乗りこなしている。 けれど、その「できた」は脆い。 どうやって弾いた…
変われる世界は、いつも救いになるとは限らない―社会不安の高い人で確かめた「印象は変わるか」という4つの研究 2026/03/19Posted in心理学, 文献, 日常 「人は変わらない。」 昔からよく聞く言葉です。 私自身もそう考えることがあります。 事態を動かしたいなら、相手を変えようとするより、自分が変わるほうが早い。 少し冷えた戦略にも見えますが、この考え方には別の面もありま…
なぜ皮肉がわかると、人は安心するのか―ブラックユーモアと不安の関係を調べた心理実験 2026/03/11Posted in心理学, 文献, 日常 宴席でブラックジョークを口にした瞬間、場の空気が変わったことがあります。 笑った人と、表情を固めた人が、同じテーブルにいました。 笑えなかった側は「センスがない」と思われたかもしれません。 笑った側は「空気が読めない…
孤独になると、なぜ人は過去を思い出すのか ―ノスタルジア研究が見つめた「切れない構造」 2026/03/08Posted in心理学, 文献, 日常 三月になりました。 街を歩いていると、ふいに花束を抱えた人の姿が目に入りました。 晴れやかな表情。写真を撮る家族。 卒業式の帰りなのでしょう。 その光景を見ていると、自分のあの頃を思い出します。 教室の空気。友だちの…
「自分のものだけ、許される」―嫌悪は“におい”ではなく、“境界”を嗅いでいる 2026/03/03Posted in心理学, 文献, 日常 他人のおならの匂いは耐えがたいのに、自分のそれはなぜかそこまで気にならない。 この非対称は笑い話のようでいて、妙に引っかかります。 刺激は同じはずなのに、反応が違う。 私たちは本当に匂いに反応しているのでしょうか。 …
食べる回数は、体を変えるのか―3食か、こまめに分けるか。研究が見た「空腹」とのつきあい方 2026/03/02Posted in健康, 文献, 日常 昼前になると、少しそわそわします。 お腹が鳴る。集中力が落ちる。イライラする。 私たちはその感覚を「よくないもの」だと思いがちです。 だから、なるべく空腹にならないように食べます。 3食きちんと。あるいは2時間おきに…
1日2~3杯のコーヒーが記憶を未来に届けてくれる―13万人・43年追跡が測った認知症リスク 2026/02/23Posted in健康, 医療全般, 文献, 日常, 神経科学 正直な話、世の中、コーヒー擁護の論文が多すぎる気がしています。 心臓にいい、糖尿病にいい、肝臓にいい、うつにいい、死亡率を下げる―そして今度は「認知症」が対象です。 いつものことですが、半分ジョークでこう言い…
眠らなければ終わる夜に、なぜ目だけが冴えるのか―新奇環境で覚醒が続く理由と「初日効果」が残した回路 2026/02/13Posted in文献, 日常, 神経科学 出張の前泊で、慣れないホテルに泊まった夜、電気を消してからが本番になる。 明日は朝から大事な仕事がある。 失敗は許されない。 体は疲れている。 条件は揃っている。 なのに眠れない。 布団の感触も、空調の音も、いつもよ…
あくびは失礼か、それとも必要か―マナーの裏で、身体が先に実行していること 2026/02/11Posted in文献, 日常, 神経科学 会議中、ふいに口が開きそうになり、慌ててあくびを噛み殺す。 喉の奥がきゅっと引きつり、首の中で何かが途中停止したような感触が残る。 多くの社会人にとって、この一連の動作は「大人として正しい振る舞い」です。 あくびは集…
体は、食べた瞬間には変わらない―オーツ麦が残した“時間差の反応”を、腸内で読み解く 2026/02/09Posted in健康, 文献, 日常 健康食品には流行があります。 ファッションと同じで、ある時期に評価が高まり、しばらくすると別のものに置き換わっていく。 その流れの中で、私たち自身も、意識するほどではなく、流行に乗ったり降りたりを繰り返しています。 …