なぜ鼻呼吸が重要なのか―成長する時期の呼吸が、脳の働きを形づくる理由 2026/01/21Posted in健康, 文献, 神経科学 私たちは毎日、当たり前のように息をしています。 でも、その息を鼻で吸っているのか、口で吸っているのかを、ふだん意識することはほとんどありません。 それでも、鼻がつまった夜に眠りにくくなったり、かぜをひいたあとに頭がぼ…
死はいつも、こちら側に残される―日本版デス・リテラシー指標で見えてきた、動けない空白 2026/01/20Posted in心理学, 文献, 日常 フランスの思想家モーリス・ブランショは、「死はいつも他人の死である」という言葉を残しました。 私たちは、自分の死を自分で「見る」ことはできません。 死は、いつも誰かの出来事として、生きている私たちの前に現れます。 病…
巨大な草食恐竜がまだ「手」を持っていた頃―骨格に残された、進化の途中 2026/01/19Posted in文献, 生物 博物館のホールで見上げる竜脚類の巨体は、太古の建造物に似ています。 ブラキオサウルスやディプロドクスといった巨大恐竜たちは、その重さを支えるために四肢を太い「柱」へと変え、大地をゆっくりと踏みしめていました。 しかし…
空を閉じるという判断―2022年11月4日、ヨーロッパ上空で何が起きたのか 2026/01/18Posted in文献, 日常 空港の案内表示に「遅延」と出ること自体は珍しくありません。 天候や機材、混雑といった理由は日常的で、説明を聞けば納得もできます。 ところが2022年11月4日の朝、ヨーロッパの遅延は別の理由で起きました。 中国の大型…
星三つの激戦地★3と★4のあいだで読者は何を迷っているのか 2026/01/17Posted in文献, 日常, 読書 本を読み終えて、評価を付けようとして手が止まります。 つまらなくはありませんでした。 けれど、胸が高鳴ったかと問われると、そうでもありません。 誰かに強く勧めたいほどでもない。 そんなとき、★3か★4のあいだで指が迷…
「優しい嘘」に溺れる私たち―AI画像が映し出す、感情と現実のずれ 2026/01/16Posted inAI, 心理学, 文献 指先一つで世界中の出来事に触れられる時代、私たちは画面の中に「見たいと願う物語」を探し続けています。 Facebookのフィードを流れてくる、仲睦まじい老夫婦の銀婚式や、手作りの作品を誇らしげに掲げる子供の姿。 それ…
何日先の天気を予測できるようになったのか―ECMWFの中期予報50年史と、衛星観測・アンサンブル・AI予報システム 2026/01/15Posted in台風, 文献, 科学, 自然環境 台風の季節になると、かつては気象庁が発表する情報が、ほぼ唯一の手がかりでした。 ところが最近では、スマートフォンのアプリを開けば、1週間単位で先を見通す台風の予想進路図を確認することができます。 複数の数値予報モデル…
助ける側でいられる時間―援助行動と認知機能、20年追跡研究が見た人生後半の速度 2026/01/14Posted in健康, 文献, 神経科学 役所の机に向かい、誰にも気づかれない仕事を淡々とこなす日々。 黒澤明監督の映画『生きる』は、そんな時間の中で、人がいつのまにか社会から“透明”になっていく感覚を描いていました。 主人公を動かしたのは、病そのものではな…
紫色の守護者―紅いもに含まれる色素と、体の中で続く防御の話 2026/01/13Posted in健康, 文献, 日常 強い日差しの下で育つ植物は、逃げることができません。 光は恵みである一方、過剰になれば細胞を傷つけ、遺伝情報を壊します。 そこで植物は、自分の内側に防御の仕組みを組み込みました。 その一つが、紫色として私たちの目に映…
終わりは、いつ終わるのか―境界線の上で見つかった、アンモナイトの短い余命 2026/01/12Posted in文献, 歴史, 生物, 科学 地層の境界は、一本の線として描かれます。 白亜紀と古第三紀の境目も、崖の断面では薄い層として現れ、「ここで時代が切り替わった」と説明されます。 その線は便利で、理解もしやすい。 けれど自然が、その線を知っているかどう…
呼吸がうまくいかないとき、体の中で起きていること―1週間の実験が見せた、緊張と分子の距離 2026/01/11Posted inマインドフルネス, 心理学, 文献 緊張する場面に出くわしたとき、「落ち着こう」と思って深呼吸を試みることがあります。 ところが、意図とは裏腹に息が速くなり、うまく吸えない。 そんな経験は珍しくありません。 何度か呼吸を繰り返し、ふっと深く吸える瞬間が…
骨の話だと思っていたものが、腸の話だった―ビタミンDと消化管疾患をめぐって 2026/01/10Posted in健康, 医療全般, 文献 外来で腹部症状を訴える患者を診ているとき、その鑑別にビタミンDの関連を入れることはまずありません。 骨粗鬆症や転倒予防が主な関心事で、腸の不調と直結させて考える習慣は、少なくとも日本の臨床現場では一般的ではないでしょ…
父親の体は、思っているより未来に近い―6週間の食事が示した、見えない変化 2026/01/09Posted in健康, 医療全般, 文献 「精子は、ただ遺伝子を運ぶだけの存在だ。」 私たちは長いあいだ、そう理解してきました。父親の体調や食生活が、子どもの将来に影響する―そんな話は、どこか眉に唾をつけて聞くものだったはずです。 しかし、もし「たった6…
「走りすぎると心臓に悪い」は本当なのか―10年後の検査で明らかになったこと 2026/01/08Posted inスポーツ, ランニング, 健康, 医療全般, 文献 私のような、いわゆる「レクリエーション・ランナー」にとっても、マラソンシーズンは心躍る季節です。 調子が良ければひと冬に三、四回はフルマラソンのスタートラインに立ちます。 しかし、その高揚感の裏で、常に小さな影を落と…
「3姉妹の家」の謎と、歪んだコイン―出生時の性別は、どこまで偶然なのか 2026/01/07Posted in医療全般, 文献, 科学 待合室を見渡していると、家族の並び方に目が止まることがあります。 元気な男の子を3人連れてぐったりしているお母さんもいれば、年の近い3姉妹が同時にしゃべって場を明るくしているお母さんもいる。 診療の合間に、そうした光…
ちゃんとしたゆで卵をつくりたい!―あえて火加減を捨てた発想の転換 2026/01/06Posted in文献, 日常, 科学 できあがったゆで卵を割った瞬間に、「あれ?」と思うことがあります。 黄身はちょうどいいのに、白身が落ち着かない。 あるいは白身は形になっているのに、黄身が思ったより重たい。 調理の手順は間違いのないはずなのに、どこか…
走るほど健康、という神話の揺らぎ― 臨床医が考える「運動と大腸がん」の関係 2026/01/05Posted inランニング, 健康, 医療全般, 文献 健康のために良かれと思って続けている習慣が、身体に別の負荷を残しているかもしれない。 臨床の場にいると、そうした医学的な逆説に出会うことがあります。 外来で長距離ランナーと話していると、走ったあとの下血や腹部違和感を…
健康志向が裏目に出るとき―ビタミンB6の過剰摂取の落とし穴 2026/01/04Posted in健康, 医療全般, 文献, 神経科学 外来で「足の裏がジンジンする」「指先の感覚が鈍い」と訴えられる場面は、決して珍しくありません。 糖尿病、甲状腺疾患、頸椎症、腎機能障害、薬剤性――鑑別診断は多岐にわたります。 問診を進め、検査を重ねても、決め手に欠け…
それっぽく答えるという病 ― 医師とAIに共通する弱点 2026/01/03Posted inAI, 医療全般, 文献 診察室で「わかりません」と言わざるを得ない場面は、思った以上に気力を使います。 沈黙が続く。相手の視線が集まる。 そこで耐えられなくなって、もっともらしい言葉をつい口走ってしまう。 多くの医師が、一度や二度ではなく、…
新年の抱負は、なぜそのうちに消えてしまうのか―「続ける人」と「続かない人」を分ける、目標の書き換え方 2026/01/02Posted in文献 年が明けると、多くの人が何かを始めようとします。 運動、節酒、減量、貯金。 紙に書いたり、家族に宣言したり、スマートフォンにメモを残したりもする。 それでも二月になる頃には、その話題は自然に消えていきます。 三日坊主…
2026年を迎えて 2026/01/01Posted inクリニックのこと, 日常 あけましておめでとうございます。 2026年の元日を迎え、こうして皆さんにごあいさつできることを、院長として率直にうれしく思っています。 昨年を振り返ると、「あっという間でした」と軽く言ってしまうには、決して平坦…
脳の健康には、チェダーチーズの方が良いのか―25年追跡研究が問い直す「脂肪は敵」 2025/12/31Posted in健康, 文献, 神経科学 栄養指導というと、私たち医療者は長いあいだ、決まった言葉を繰り返してきました。 「塩分は控えめに」「脂肪はできるだけ避けましょう」。 とくに心臓や血管を守るという目的のもとでは、動物性の脂肪、とりわけ飽和脂肪酸を遠ざ…
続けてきただけ、かもしれません。 2025/12/30Posted in記念日 2012年12月30日に、このブログを始めました。 それから気がつけば、いつの間にか今日で13年が経ちます。 明日からは14年目に入ります。 数字にすると簡単ですが、振り返れば、ホントにいろいろなことがありました。 …
会話が途切れた一瞬で、指は画面へ伸びる―不安な心は、なぜ目の前の人よりスマホを選ぶのか 2025/12/29Posted in心理学, 文献, 日常 会話が途切れた、その一瞬です。 気まずさが生まれる前に、指は自然とスマートフォンへ伸びます。 隣に誰かが座っていても、この動きは止まりません。 気づけば、沈黙を埋める相手は人ではなく、画面になっています。 この反射の…
猫は何を話しているのか―ミャーとゴロゴロが分かれた理由 2025/12/28Posted in文献, 生物, 科学 私のクリニックは、猫と暮らしている“猫派”のスタッフが多いです。 話を聞くと、猫の鳴き声を聞いただけで状況が分かるのだと言います。 空腹なのか、かまってほしいのか、あるいは少し機嫌が悪いのか。 猫の鳴き声は、意味を運…