睡眠時血圧と腎機能の新たな視点―夜の血圧が何を変えるのか 2026/01/27Posted in健康, 医療全般, 文献, 腎臓のこと 夜中にふと目が覚めたとき、耳のあたりで脈の拍動を感じることがあります。 体は横になっていますし、呼吸も落ち着いていますが、心臓の鼓動を意識してしまう時間です。 朝になれば忘れてしまって、起床後に測った血圧が問題なけれ…
骨の話だと思っていたものが、腸の話だった―ビタミンDと消化管疾患をめぐって 2026/01/10Posted in健康, 医療全般, 文献 外来で腹部症状を訴える患者を診ているとき、その鑑別にビタミンDの関連を入れることはまずありません。 骨粗鬆症や転倒予防が主な関心事で、腸の不調と直結させて考える習慣は、少なくとも日本の臨床現場では一般的ではないでしょ…
父親の体は、思っているより未来に近い―6週間の食事が示した、見えない変化 2026/01/09Posted in健康, 医療全般, 文献 「精子は、ただ遺伝子を運ぶだけの存在だ。」 私たちは長いあいだ、そう理解してきました。父親の体調や食生活が、子どもの将来に影響する―そんな話は、どこか眉に唾をつけて聞くものだったはずです。 しかし、もし「たった6…
「走りすぎると心臓に悪い」は本当なのか―10年後の検査で明らかになったこと 2026/01/08Posted inスポーツ, ランニング, 健康, 医療全般, 文献 私のような、いわゆる「レクリエーション・ランナー」にとっても、マラソンシーズンは心躍る季節です。 調子が良ければひと冬に三、四回はフルマラソンのスタートラインに立ちます。 しかし、その高揚感の裏で、常に小さな影を落と…
「3姉妹の家」の謎と、歪んだコイン―出生時の性別は、どこまで偶然なのか 2026/01/07Posted in医療全般, 文献, 科学 待合室を見渡していると、家族の並び方に目が止まることがあります。 元気な男の子を3人連れてぐったりしているお母さんもいれば、年の近い3姉妹が同時にしゃべって場を明るくしているお母さんもいる。 診療の合間に、そうした光…
走るほど健康、という神話の揺らぎ― 臨床医が考える「運動と大腸がん」の関係 2026/01/05Posted inランニング, 健康, 医療全般, 文献 健康のために良かれと思って続けている習慣が、身体に別の負荷を残しているかもしれない。 臨床の場にいると、そうした医学的な逆説に出会うことがあります。 外来で長距離ランナーと話していると、走ったあとの下血や腹部違和感を…
健康志向が裏目に出るとき―ビタミンB6の過剰摂取の落とし穴 2026/01/04Posted in健康, 医療全般, 文献, 神経科学 外来で「足の裏がジンジンする」「指先の感覚が鈍い」と訴えられる場面は、決して珍しくありません。 糖尿病、甲状腺疾患、頸椎症、腎機能障害、薬剤性――鑑別診断は多岐にわたります。 問診を進め、検査を重ねても、決め手に欠け…
それっぽく答えるという病 ― 医師とAIに共通する弱点 2026/01/03Posted inAI, 医療全般, 文献 診察室で「わかりません」と言わざるを得ない場面は、思った以上に気力を使います。 沈黙が続く。相手の視線が集まる。 そこで耐えられなくなって、もっともらしい言葉をつい口走ってしまう。 多くの医師が、一度や二度ではなく、…
自己診断の落とし穴―疾患の啓発の副作用 2025/12/20Posted in健康, 医療全般, 心理学, 文献 2020年のドキュメンタリー映画『Social Dilemma(日本語タイトル:監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影)』では、日常の何気ないクリックが、知らないうちに「自分はこういう人間だ」という確信へ形を変え…
AI書記は診察室の空気をどう変えるのか―画面に奪われた視線の、その先で 2025/12/09Posted inAI, 医療全般, 文献 診察室で患者が話し始めても、医師の視線は必ずしも相手の表情に向かっていないことがあります。 カルテへ入力する文字列が遅れないようにと、モニターに釘づけになってしまうことがあるからです。 距離は近いのに、視線だけが交わ…
尿酸の“裏の顔”―筋力との意外な関係 2025/12/05Posted in医療全般, 文献 尿酸といえば、健診で必ず注意される「悪者」の代表格です。 痛風の原因として恐れられ、プリン体と聞けばすぐに身構えてしまう人もいます。 数値がわずかに上がっただけで、食事や飲酒を振り返ってため息をついた経験は、多くの人…
治療方針は“数”に揺れる―選択肢の増減が医師をどう動かすのか 2025/11/25Posted in医療全般, 文献 実際の診療では、同じ症例でも医師によって治療の選び方が揺れるものです。 腰痛の患者さんにオピオイドを続ける医師もいれば、別の薬へ切り替える医師もいます。 股関節痛の患者さんをすぐに手術に紹介する診療所もあれば、薬物治…
心房細動とコーヒー :「やめる」より「いつもの一杯」を続ける選択 2025/11/24Posted in健康, 医療全般, 文献 心房細動の患者さんから、「先生、コーヒーはもう一生やめた方がいいですよね?」と訊かれることがあります。 動悸が出た日の朝にコーヒーを飲んでいたという記憶が重なると、「これが悪かった」と感じても不思議ではありません。 …
慢性腎臓病(CKD)と痛み止め―ロキソプロフェンなどの“NSAIDs”をどう考えればいいのか 2025/11/23Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 慢性腎臓病(CKD)の人の外来では、「腎臓に悪いと聞いたので、痛み止めは飲まないようにしています」と話す人が多くいます。 たしかにロキソプロフェンやイブプロフェンなどのNSAIDs(エヌセイズ:非ステロイド性抗炎症薬…
見た目は「肥満」でなくても。身長と比べた「お腹」が教える動脈硬化のリスク 2025/11/20Posted in健康, 医療全般, 文献 健康診断の時、お腹周りにメジャーが巻かれる瞬間は、少し緊張するものです。 思わず息を吸い込んでお腹を引っ込めたくなりますが、それは反則なので我慢します。 数値を聞いてホッとしたり、来年こそはと心に誓ったり。 その…
魚油サプリメント―オメガ3が透析患者の心血管リスクを減らす 2025/11/15Posted in医療全般, 文献, 透析関連 透析クリニックで日々患者さんたちと向き合っていると、多くの制約の中で真摯に治療に取り組む姿に、いつも頭が下がる思いです。 食事制限も多く、「あれもダメ、これもダメ」という指導の中で、何か一つでも「これを加えると良いか…
空の上の救急―7万件の機内医療事件が語るもの 2025/11/08Posted in医療全般, 文献 飛行機に乗るたび、心のどこかで身構えている自分がいます。 「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」という、あのアナウンス。 幸いまだその瞬間に立ち会ったことはありませんが、もし呼ばれたら、限られた医療機器で何…
「主治医」はどこへ行った? ── コンシェルジュ医療の台頭が問いかけるもの 2025/11/05Posted in医療全般, 文献 アメリカでは、かかりつけ医(プライマリケア医)を見つけることがきわめて難しくなっているそうです。 新しい医師の予約を取るのに数か月から1年待つことも珍しくなく、都市部では待機リストすら閉鎖されている地域もあるといいま…
ウイルスの再活性化が脳に刻む影―帯状疱疹と認知症の意外な関係 2025/10/24Posted in健康, 医療全般, 文献, 神経科学 先日、帯状疱疹でひどい痛みに悩む患者さんを診察しました。 電気が走るような、焼けるような痛みが昼夜を問わず続くと言います。 この病気は、多くの人が子供の頃にかかる水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、神経…
病気の受け止め方が変われば、人生も変わる――慢性腎臓病と心の関係 2025/10/23Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 外来で患者さんから「先生、腎臓の薬ってないんですか?」と尋ねられることがあります。 腎保護作用のある血圧の薬などをすでに内服してもらっていることを伝えますが、「腎臓を良くするわけではないんですね」とポツリとつぶやかれ…
尿検査が示す未来のサイン―アルブミン尿と認知症の意外なつながり 2025/10/19Posted in健康, 医療全般, 文献, 神経科学, 腎臓のこと 日々の診療で「タンパク尿が出ていますね」と患者さんにお伝えする場面は少なくありません。 タンパク尿が心臓病や脳卒中のリスクを高めることはよく知られていて、そういう時は食事や血圧の管理についてお話することになります。 …
赤血球のばらつきが告げる―腎臓の初期ダメージの知らせ 2025/10/17Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 日々の診療で、数多くの血液検査データに目を通します。 その中にある「RDW(Red cell Distribution Width:赤血球分布幅)」という項目は、赤血球の大きさのばらつきを示す指標で、主に貧血の種類を…
あなたにとって「大切なこと」とは―高齢者が語った“本当の優先順位” 2025/10/14Posted in健康, 医療全般, 文献 ある日、外来で診察を終えたご高齢の患者さんが、ふと笑ってこう言いました。 「先生、やっぱり人と話す時間が一番うれしいね。」 その一言が、胸の奥にやさしく残りました。 この方はしばらく前から膝を悪くしていて、ほとんど外…
医師の服装が信頼を左右する?―白衣の時代からスクラブの時代へ 2025/10/11Posted in医療全般, 文献, 日常 病院勤務医時代の私は、いわゆるベン・ケーシー(白い半袖の診療着)スタイルに白衣を重ねて診療していました。 しかし開業してからは、もっぱらスクラブを愛用しています。 外来と透析室を行き来するのも動きやすいですし、宿直の…
AIに頼りすぎた医師は腕が鈍るのか? 2025/10/10Posted inAI, 医療全般, 文献 先日、外来で診察の合間に胸部レントゲン写真の異常個所を「画像診断用AIアシスタント」が指摘してくれました。 見落としがちな影を瞬時にマークしてくれるのはありがたいのですが、同時に「自分の観察力が少しずつ鈍っているので…