「主治医」はどこへ行った? ── コンシェルジュ医療の台頭が問いかけるもの 2025/11/05Posted in医療全般, 文献 アメリカでは、かかりつけ医(プライマリケア医)を見つけることがきわめて難しくなっているそうです。 新しい医師の予約を取るのに数か月から1年待つことも珍しくなく、都市部では待機リストすら閉鎖されている地域もあるといいま…
ウイルスの再活性化が脳に刻む影―帯状疱疹と認知症の意外な関係 2025/10/24Posted in健康, 医療全般, 文献, 神経科学 先日、帯状疱疹でひどい痛みに悩む患者さんを診察しました。 電気が走るような、焼けるような痛みが昼夜を問わず続くと言います。 この病気は、多くの人が子供の頃にかかる水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、神経…
病気の受け止め方が変われば、人生も変わる――慢性腎臓病と心の関係 2025/10/23Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 外来で患者さんから「先生、腎臓の薬ってないんですか?」と尋ねられることがあります。 腎保護作用のある血圧の薬などをすでに内服してもらっていることを伝えますが、「腎臓を良くするわけではないんですね」とポツリとつぶやかれ…
尿検査が示す未来のサイン―アルブミン尿と認知症の意外なつながり 2025/10/19Posted in健康, 医療全般, 文献, 神経科学, 腎臓のこと 日々の診療で「タンパク尿が出ていますね」と患者さんにお伝えする場面は少なくありません。 タンパク尿が心臓病や脳卒中のリスクを高めることはよく知られていて、そういう時は食事や血圧の管理についてお話することになります。 …
赤血球のばらつきが告げる―腎臓の初期ダメージの知らせ 2025/10/17Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 日々の診療で、数多くの血液検査データに目を通します。 その中にある「RDW(Red cell Distribution Width:赤血球分布幅)」という項目は、赤血球の大きさのばらつきを示す指標で、主に貧血の種類を…
あなたにとって「大切なこと」とは―高齢者が語った“本当の優先順位” 2025/10/14Posted in健康, 医療全般, 文献 ある日、外来で診察を終えたご高齢の患者さんが、ふと笑ってこう言いました。 「先生、やっぱり人と話す時間が一番うれしいね。」 その一言が、胸の奥にやさしく残りました。 この方はしばらく前から膝を悪くしていて、ほとんど外…
医師の服装が信頼を左右する?―白衣の時代からスクラブの時代へ 2025/10/11Posted in医療全般, 文献, 日常 病院勤務医時代の私は、いわゆるベン・ケーシー(白い半袖の診療着)スタイルに白衣を重ねて診療していました。 しかし開業してからは、もっぱらスクラブを愛用しています。 外来と透析室を行き来するのも動きやすいですし、宿直の…
AIに頼りすぎた医師は腕が鈍るのか? 2025/10/10Posted inAI, 医療全般, 文献 先日、外来で診察の合間に胸部レントゲン写真の異常個所を「画像診断用AIアシスタント」が指摘してくれました。 見落としがちな影を瞬時にマークしてくれるのはありがたいのですが、同時に「自分の観察力が少しずつ鈍っているので…
人とのつながりが体内時計を巻き戻す?―社会性が老化を遅らせる 2025/10/08Posted in健康, 医療全般, 文献, 日常 テレビで見る明石家さんまさんや所ジョージさんの姿を思い浮かべると、年齢を重ねてもなお若々しく第一線で活躍し続けていることに驚かされます。 お二人の明るい人柄や幅広い人間関係は、単なる芸風ではなく、健康や活力の源なので…
運動療法が腎臓病患者に届かない理由―ヨーロッパの現場から見えた構造的な壁 2025/10/07Posted in健康, 医療全般, 文献, 腎臓のこと 私が外来で患者さんに「運動していますか」と尋ねると、多くの方が「運動した方がいいのは分かっているけど…」と歯切れが悪い返事をされます。 今年の夏は特に暑かったというのもありますが、忙しさや体調の波に加えて、誰かが一緒…
マグネシウムが血圧を下げる?―最新メタ解析が示す可能性 2025/10/06Posted in健康, 医療全般, 文献 外来で患者さんと話をしていると、「血圧が少し高いと言われて心配になった」という声をよく耳にします。 普段から生活習慣に気をつけていても、血圧は日によって上下しやすく、数字に不安を覚える方は少なくありません。 医師とし…
ビタミンAは多すぎても少なすぎても危険?―がんリスクと「ちょうどいい」量の科学 2025/10/04Posted in健康, 医療全般, 文献 外来で患者さんと話していると、「先生、ビタミン剤って飲んだほうがいいですか?」と尋ねられることがあります。 健康のために積極的に摂りたい気持ちはよくわかりますが、サプリメントの世界は単純に「多ければ多いほどよい」とは…
ダイエットのリバウンド問題―過剰なサポートも逆効果? 2025/10/02Posted in健康, 医療全般, 文献 体重減少を維持することの難しさを、日々の診療でも実感しています。 初めの数か月で大きく減量できても、その後少しずつリバウンドしてしまう患者さんは少なくありません。 今回紹介する研究は、そんな課題に挑んだもので、電話に…
低用量アスピリンが大腸がん再発を防ぐ?―新しい治療の可能性 2025/10/01Posted in医療全般, 文献 私のクリニックでは、血液をサラサラにする目的で、毎日アスピリンを飲んでいる患者さんが多くいらっしゃいます。 解熱鎮痛剤としても古くから使われており、私たちにとって最も身近な薬の一つです。 そのアスピリンが、がんの治療…
「効かない薬」の処方箋―医師の胸の内を映す“プラセボ” 2025/09/29Posted in医療全般, 文献 「先生、抗生物質を出してください。」 風邪で来院された患者さんから、時々こう頼まれることがあります。 ウイルス性の風邪に抗生物質は効かないと説明しつつも、「何か薬が欲しい」という切実な思いとの間で、医師として頭を抱え…
人生100年は幻想? ― 新しい時代の「質」へのシフト 2025/09/28Posted in健康, 医療全般, 文献 クリニックで90歳を超える患者さんと話していると、「人生100年時代」という言葉が現実味を帯びてきます。 一昔前なら考えられなかった長寿の方々が、元気に通院している。 その姿に医学の進歩と時代の変化を強く感じます。 …
糖尿病への分かれ道―健診の「血糖値が少し高め」から戻れる人、進む人 2025/09/26Posted in健康, 医療全般, 文献 健康診断で「C判定(要経過観察)」と記された項目があると、どうとらえていいのか、もやもやする人は多いかと思います。 逆に、「経過を見るってことは、様子見でいいってことね」と楽天的にとらえる方もいるかも知れません。 「…
春と昼に潜むリスク―パーキンソン病と転倒の時間割 2025/09/25Posted in医療全般, 文献, 日常 パーキンソン病を抱える方々にとって、転倒は生活の質を大きく左右する深刻な問題です。 これまで「どこで」「なぜ」起こるかという点は多くの研究で明らかにされてきましたが、「いつ」起こるのか、つまり時間や季節に関する側面は…
高齢者の腰痛に効く?鍼治療が示した確かな可能性 2025/09/24Posted in健康, 医療全般, 文献 高齢者の多くが、慢性的な腰の痛みに悩まされています。 世界的に見ても、腰痛は生活の質を損なう大きな要因であり、その苦しみは年齢とともに強まります。 痛み止めなどの薬は一時的な助けになりますが、特に日常的に多くの薬を併…
見えない傷跡―ストーカー被害が心臓病リスクを高める 2025/09/23Posted in健康, 医療全般, 文献 夜道で背後に感じる視線や、繰り返し届く脅迫めいた連絡。 こうした体験は一瞬の恐怖にとどまらず、心身の奥深くに刻み込まれていきます。 これまで身体的な暴力や性的虐待が心血管疾患のリスクを高めることは知られていましたが、…
心房細動アブレーション後の抗凝固薬―続けるか、やめれるか 2025/09/22Posted in医療全般, 文献 「一度飲み始めた薬を、いつまで続けるべきか。」 これは多くの人が一度は考える疑問です。 特に、治療によって病気の原因そのものが取り除かれた後なら、なおさらでしょう。 心房細動という不整脈の治療現場でも、まさに避けて通…
「1万歩神話」の終焉?―健康最適歩数は目標7000歩 2025/09/16Posted in健康, 医療全般, 文献 母と話すとき、歩数計のことをつい「万歩計」と呼んでしまいます。 紙おむつをパンパース、保存容器をタッパーと言うのと同じように、商標名が一般名称のように定着してしまった一例です。 「万歩計」は1965年、東京オリンピッ…
便潜血検査と1年後の死亡率―見逃せないサインをどう活かすか 2025/09/15Posted in健康, 医療全般, 文献 健康診断や検診で使われる便潜血検査は、大腸がんの早期発見に役立つことで知られています。 実際、日本の健診で「大腸がん検査」といわれるのは、便潜血二日法と呼ばれる方式です。 ところが、イギリス・ノッティンガムで行われた…
腎機能と感染症リスク―見えにくい関係を解き明かす 2025/09/12Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 慢性腎臓病と聞くと、多くの人は透析や心臓病などとの関連を思い浮かべるかもしれません。 しかし実際には、感染症もまた腎臓病患者にとって深刻な脅威となっています。 米国や欧州のデータでは、慢性腎臓病の患者のおよそ4分の1…
フライドポテトは糖尿病リスクを高める―長期研究から見えた食べ方の選択 2025/09/11Posted in健康, 医療全般, 文献 日常の食卓に登場するじゃがいもは、私たちにとって身近な食材です。 ビタミンCやカリウムを含む一方で糖質が多く、健康への影響は長年議論されてきました。 今回、アメリカの看護師健康調査や医療従事者追跡調査といった40年に…