時の輪郭がぼやけるとき―歳を重ねると時間があっという間に過ぎていくわけ 2025/11/10Posted in心理学, 文献, 神経科学 歳を重ねると、時間の流れが驚くほど早く感じられるものです。 心理学ではこの現象を“ジャネーの法則”と呼んでいて、人生の時間は年齢に反比例して速く感じられるとされています。 11月もこの時期になると、気づけば年の瀬が迫…
カリウムとの静かな闘い―透析患者における新薬の挑戦 2025/11/09Posted in文献, 透析関連 通常、透析クリニックでは、月に2回、透析前の採血検査を行います。 時々、検査会社から「異常値速報」と称してFAXで通知がくると、私たちの間に緊張が走ります。 あまりにも検査結果の異常値が過ぎると、場合によっては早急な…
空の上の救急―7万件の機内医療事件が語るもの 2025/11/08Posted in医療全般, 文献 飛行機に乗るたび、心のどこかで身構えている自分がいます。 「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」という、あのアナウンス。 幸いまだその瞬間に立ち会ったことはありませんが、もし呼ばれたら、限られた医療機器で何…
父親との2週間―育休が変える家族の未来 2025/11/07Posted in心理学, 文献, 日常 私が県立中部病院の勤務医だったころ、アメリカ留学帰りの先輩の先生が「産休」はもちろん、「育児休暇」をとったというのを聞いて、素直に驚いたことがあります。 当時、管理職の外科の先生は「自分は子どもの学校行事は一度も観に…
抗加齢のトレーニングは肌も若返らせる―筋トレがもたらす「内側からの美容効果」 2025/11/06Posted inスポーツ, 健康, 文献 運動は筋肉や心臓だけでなく、肌にも良い効果がある―そんな話を聞くと、少し疑い深い気持ちが頭をもたげるのですが、世代的にはやはり興味津々の話題です。 肌の張りやくすみ具合は、食事や睡眠、紫外線の影響だけでなく、日々の活…
「主治医」はどこへ行った? ── コンシェルジュ医療の台頭が問いかけるもの 2025/11/05Posted in医療全般, 文献 アメリカでは、かかりつけ医(プライマリケア医)を見つけることがきわめて難しくなっているそうです。 新しい医師の予約を取るのに数か月から1年待つことも珍しくなく、都市部では待機リストすら閉鎖されている地域もあるといいま…
星が一瞬、光って消えた―核実験とUAP(未確認異常現象)の“空の相関” 2025/11/04Posted in文献, 科学 動画投稿サイトなどに、夜空を横切る火球や、正体のわからない発光体の映像が流れてくることがあります。 ネットの時代になって、誰もが手元のスマートフォンで空を記録できるようになったことで、以前なら見過ごされていた“空の瞬…
音楽が刻む「思い出の座標」—青春とその余韻の科学 2025/11/03Posted in心理学, 文献, 音楽 雨上がりの夜、ラジオから流れたイントロに、ふと胸の奥がざわつくことがあります。 曲名を思い出せなくても、そのときの空気、友人の笑い声、胸の高鳴りがよみがえる。 どうして音楽は、これほどまでに記憶の底を震わせるのでしょ…
共感の“思い込みギャップ”が孤独を生む―人はなぜ、相手の優しさを過小評価してしまうのか 2025/11/02Posted in心理学, 文献, 日常 新しい環境に足を踏み入れるとき、胸の奥に小さな不安が生まれます。 教室や職場、地域の集まりなど、まわりは知らない人ばかり。 話しかけたいけれど、相手がどう思うかを考えると足がすくむ―そんな経験をしたことがある人は少な…
夜型生活が抱える“食の落とし穴”―気づきが変える深夜の衝動 2025/11/01Posted inマインドフルネス, 健康, 文献, 日常 夜が更けるころ、つい無意識に冷蔵庫のドアを開けてしまう。 小腹が空いているのか、それとも口寂しいだけなのか―自分でも判然としないまま「つまみ食い」をしてしまうことがあります。 夜型の生活が進むなかで、夜遅くに食べる習…
恐怖を楽しむ子どもたち――“ちょっと怖い”が心を育てる 2025/10/31Posted in心理学, 文献 子供たちが「お化け屋敷に行きたい」とせがんだり、ヒーローごっこでわざと悪役に追い詰められるフリをしてはキャーキャーと逃げ回ったりする姿は、昔からよく見られる光景です。 怖いのに笑いがこみあげてくる、その複雑な感情の混…
SNS断ちの効果は?―デジタル・デトックスと幸福感、その功罪 2025/10/30Posted in心理学, 文献, 日常 私の娘は、時々「デジタル・デトックス」をするのだと言っていました。 スクリーンタイムが増えて情報の渦に巻き込まれてしまうと、どうも心身のバランスが悪くなるのを感じるのだそうです。 XやInstagramなどのSNSア…
「小さな異常」を見逃さない―CKD早期発見に必要な“もう一度の検査” 2025/10/29Posted in文献, 腎臓のこと 外来で患者さんの検査結果を見ていると、eGFR(腎機能を示す数値)が少し低い、あるいは尿中アルブミンがやや高いという結果を目にすることがあります。 その場では大きな異常に見えなくても、こうした小さなサインが慢性腎臓病…
自力で歩けるということ―透析導入期のリハビリの力 2025/10/28Posted in文献 透析治療を始められた患者さん、特にご高齢の方が、治療開始の前後で体力が落ちてしまう姿を目にすることがあります。 入院生活の影響で筋力が低下し、歩行や立ち上がりが難しくなることも少なくありません。 家に帰ることを目標に…
過去の逆境がくれた「心のワクチン」―ストレス耐性の意外なメカニズム 2025/10/27Posted in心理学, 文献 診察室で患者さんの話を聴いていると、「昔はもっと大変だったけど、今はあの頃よりましです」と逞しく笑う方がいます。 苦しい経験を重ねても、困難に動じず、前を向いている方々です。 医師として、その強さの根源に興味を抱いて…
孤独が生む渇き―満たされない心はどこへ向かう? 2025/10/26Posted in心理学, 文献 新型コロナウイルスの影響で、人と会う機会が激減した時期がありました。 自宅で孤独な時間を過ごしていると、ふと甘いものに手が伸びたり、ネットショッピングのカートがいっぱいになっていたり。 あの妙な“満たされなさ”は何だ…
ランニングのピッチをあげる効果――ケガの予防にもフォームにもよし? 2025/10/25Posted inスポーツ, ランニング, 文献 ランニングをしていると、ふと自分の足の運びが妙にリズミカルに感じることがあります。 いつもより軽く、なんだか調子がいい。 そんな日は、走り終えたあとも疲れが少ないのです。 あとでスマートウォッチを確認すると、ピッチ(…
ウイルスの再活性化が脳に刻む影―帯状疱疹と認知症の意外な関係 2025/10/24Posted in健康, 医療全般, 文献, 神経科学 先日、帯状疱疹でひどい痛みに悩む患者さんを診察しました。 電気が走るような、焼けるような痛みが昼夜を問わず続くと言います。 この病気は、多くの人が子供の頃にかかる水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、神経…
病気の受け止め方が変われば、人生も変わる――慢性腎臓病と心の関係 2025/10/23Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 外来で患者さんから「先生、腎臓の薬ってないんですか?」と尋ねられることがあります。 腎保護作用のある血圧の薬などをすでに内服してもらっていることを伝えますが、「腎臓を良くするわけではないんですね」とポツリとつぶやかれ…
女性ホルモンが守る腎臓―分子レベルの探求 2025/10/22Posted in文献, 腎臓のこと 日常診療をしていると、腎臓の病気はなぜか男性のほうが重く進行していくように感じます。 実際、日本透析医学会の統計でも、透析を始める患者は男性がおよそ女性の2倍にのぼると報告されています。 数字の裏には、腎臓という臓器…
サバイバル社会でリーダーはどう見られる?―「競争的世界観」が判断を変える 2025/10/21Posted in心理学, 文献 映画『セッション』に登場する鬼教師、フレッチャー。 彼はイスを投げつけ、生徒を罵倒し、精神的に極限まで追い詰めます。 その指導は、ある者にとっては「偉大な才能を育むための情熱」であり、またある者にとっては「許されざる…
垂直跳びと水平跳びの力学―男女のパフォーマンスに差が出る理由 2025/10/20Posted inスポーツ, 文献, 科学 今夏、東京で開催された世界陸上。 満員の国立競技場で、男子棒高跳び決勝でスウェーデンのアルマンド・デュプランティス選手が6メートル30センチの世界新記録を打ち立てた瞬間は、多くの人の記憶に刻まれたことでしょう。 重力…
尿検査が示す未来のサイン―アルブミン尿と認知症の意外なつながり 2025/10/19Posted in健康, 医療全般, 文献, 神経科学, 腎臓のこと 日々の診療で「タンパク尿が出ていますね」と患者さんにお伝えする場面は少なくありません。 タンパク尿が心臓病や脳卒中のリスクを高めることはよく知られていて、そういう時は食事や血圧の管理についてお話することになります。 …
ゲームがくれる「ちょうどいい幸せ」――遊ぶ時間よりも大切なこと 2025/10/18Posted in健康, 心理学, 文献, 日常 子どものころ、ファミコンの電源を切るように言われると、いつも名残惜しくて「あと5分だけ」と懇願した記憶があります。 大人になった今でも、仕事の合間にSwitchを起動してティアキンでライネルを倒し切ると、不思議と気持…
赤血球のばらつきが告げる―腎臓の初期ダメージの知らせ 2025/10/17Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 日々の診療で、数多くの血液検査データに目を通します。 その中にある「RDW(Red cell Distribution Width:赤血球分布幅)」という項目は、赤血球の大きさのばらつきを示す指標で、主に貧血の種類を…