「ソクラテスの死」

 

哲学の基礎を築いたソクラテスは、多くの質問を投げかけることで人々から恐れられていました。

それは彼が全ての答えを持っているからではなく、逆に多くの問いを投げかけていたからです。

彼は形式的な講義よりも、友人や見知らぬ人と道徳や社会についての対話を好みました。

これらは討論でもなければ、ソクラテスが具体的な助言を提供するものでもありませんでした。

実際、「無知の知」で知られているように、ソクラテスは自分は何も知らないと主張し、対話者の言葉にさらに質問を返すだけだったのです。

この「ソクラテス式問答法」によって、彼らの論理の欠陥を明らかにし、両者がより強固な理解に達するのを助けたのでした。

この方法は、彼の教え子であるプラトンやクセノポンのような後継の哲学者に好まれました。

人々がまだ検討していない前提を引き出すことができましたし、また、それらの偏見に挑戦する方法でもありました。

特に、矛盾や循環的な論理を排除するのに役立ったのです。

但し、ちょっと実際に試みたらわかるように、この方法は教育者の能力と人格に大いに依存するものす。

効果的なソクラテス型教育者は自分の主題に精通していることが求められますし、自分の知識を誇示するのではなく、本当に好奇心を持って学生の貢献を肯定していかなければなりません。

そして、この方法が、臨床医学の教育に導入されたのは、当然のなりゆきでした。医学生が異なる診断に対する理論を提出し、指導医がその前提を問いなおし、議論を進めるのです。

これはルネサンス時代から続く医学教育の伝統となりました。

さて、「ソクラテスの死」という絵画があります。そこには、ソクラテスが死の床にあっても、終わりなき探求の旅に向けて好奇心を持つ哲学者として描かれています。

絵の中央には白いローブを着たソクラテスがベッドにまっすぐに座り、その右手をカップに伸ばし、左手は身振りを示しています。

その姿は、彼の「問いかける力」を最高に象徴するものと思います。

 

 

David - The Death of Socrates

 

良い行いをするように人びとを動機づける方法:TEDから

 

MITのスローン経営大学院の研究員であるエレス・ヨエリ氏のTEDでの講演です。

投票に出向く、寄付をする、資源を節約するなど、人びとに良い行いをさせるためにはどうしたら良いのか?についてのお話でした。

彼が電力会社と協力して取り組んだプロジェクトでの、ある失敗がありました。そのプロジェクトは、エネルギー消費ピーク時に節電することで停電を防ぐというものでした。しかし、電話ホットラインを設けて参加者を募集しましたが、電話はほとんどかかってきませんでした。

なぜなら、参加者が「良いこと」をしていることが公表されないシステムだったからです。

そこでヨエリ氏らは、記名簿を郵便受け近くに貼ってみました。すると、参加者数が3倍に増えたのです。

つまり、人々は他人の評価を気にかけ、他人に認識されることで善行を行う意欲が高まるというわけです。

けれども、ただ他人に見えるようにするだけでは、全ての問題が解決するわけではありません。

あるとき、ヨエリ氏は結核患者を支援するためのモバイルヘルススタートアップ、Kahilaと協力する機会がありました。結核の治療は困難で、患者は6ヵ月以上もの間、強力な抗生物質を服用しなければなりません。その抗生物質は副作用として頭痛や吐き気を引き起こし、さらには尿の色まで変えてしまうことさえあります。

これらの困難を乗り越えるために、ヨエリ氏たちは患者に毎日テキストメッセージを送り、薬を飲んだことを確認するシステムを設けました。さらに、患者が確認をしなかった場合には、再度メッセージを送るなどして、その「言い訳」を排除しました。

「観察可能性の増加」、「言い訳の排除」、そして「期待の伝達」。これらの三つのアプローチを用いることで、ヨエリ氏は、人々が善行を行うモチベーションを引き出す方法を提案しています。

そして、これらのツールは、追加の資金を調達したり、新たな高度な技術を開発したりする必要はありません。ただ、人々の評価を重視し、言い訳を許さず、善行の期待を伝えるだけで、社会的な変化をもたらすことができるのです。

 

 

 

 

「アドバイスモンスター」を手なずける

 

 

経営コンサルタントのマイケル・ブンゲイ・スタニエ氏は、自身の著書で、「人は皆、アドバイスの衝動を制御する方法を学ぶべきだ」と述べています。

彼によれば、「アドバイスモンスター」は、「テル・イット(教えたがる者)」、「セーブ・イット(救いたがる者)」、「コントロール・イット(制御したがる者)」と呼ばれる三つの人格が存在するのだと言います。

例えば、友人が頭を抱えて「最近、眠れなくて困っているんだ…」と語った時、アドバイスモンスターを持つ人は「カフェインを控えたら?」「運動すると眠れるようになるよ!」などとアドバイスを浴びせがちです。しかし、本当に必要なのはそのアドバイスではなく、彼の話を静かに聞くことだったりします。

「テル・イット(教えたがる者)」は、自分が全ての答えを持つべきだと思い込ませます。「セーブ・イット(救いたがる者)」は、他人を救うのが自分の役割だと信じ込ませます。「コントロール・イット(制御したがる者)」は、全てを自分の手の中に収めなければならないと誤信させます。しかし、これら全てがアドバイスモンスターの虚像であり、現実には、自分の力だけで全てを解決することなど不可能なのです。

では、この厄介なアドバイスモンスターを手なずけるにはどうすればいいのでしょうか。

それは、アドバイスをしそうになったら、質問をする習慣に置き換えることです。

「あなたにとって、本当の問題は何?」と質問し、それに対する答えが出たら「それ以外に何かある?」と尋ねます。

これにより、自分自身のアドバイスモンスターを鎮め、他人の真の問題を理解するのに役立つことになります。

その結果、人々に答えを与えるのではなく、自分たち自身で答えを見つけるのを促すことになります。

そして、アドバイスモンスターが他人を支配するのではなく、対話と理解によってお互いの成長を支え合うことになります。

 

 

ビートルズ「One After 909」

  

ビートルズの「One After 909」は、1970年に発売された12作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『レット・イット・ビー』に収録されています。

ジョン・レノンが作詞し、1960年春までに書かれた楽曲で、レノン=マッカートニーの初期の作品の1つとなっています。実は、1960年には未発表のホーム・レコーディングが作成されています。(アンソロジー1でその音が聴けます)

ビートルズ初期の楽曲らしく、ノリがいいロックンロールです。

1963年には、ビートルズが初めてレコーディングしましたが、この時はボツになり、しばらく日の目を見ることはありませんでした。

ビートルズは、この曲を含め、ライブで演奏するために新曲が必要だったのですが、作りかけの未完成の曲ばかりで曲数が足りなかったため、初期の頃の曲をもう一度掘り起こして演奏することが検討されたのでした。

それで、1969年1月28日にアップル・スタジオで行われたセッションで取り上げられ、同日のセッションでは4テイク録音されました。

その後、同月30日にアップル・コアの屋上で行われたルーフトップ・コンサートでも演奏されました。このテイクが映画「レット・イット・ビー」、そしてアルバムに収録されたものです。(もちろん、のちに映画「Get Back」にも収録)

2021年に発売された『レット・イット・ビー (スペシャル・エディション) 〈スーパー・デラックス〉』のディスク2にはテイク3が収録されています。

また、この曲のエンディング部分でジョンが歌っているのは、アイルランドの民謡「ダニー・ボーイ」の一節を意図的に変えたものです。

 

 

感情の管理:4つのステップ

 

感情がどう形づくられていくのか、そしてどう管理したら良いのかという理解を深めるために、さまざまなアプローチがあります。

そのひとつに「プロセスモデル」という心理学的フレームワークがあります。

このモデルによれば、感情が形成される過程は主に4つのステップからなります。

最初のステップは、現実か想像上の状況に立ち入ることです。

例えば、ある朝、あなたが仕事場へ向かう途中で、突然雨が降り始めたとしましょう。あなたの注意はこの新たな状況に引きつけられます。

二つ目のステップは、その状況を評価します。

雨が降るという状況は、あなたの目的(出勤すること)を助けるのか、それとも妨げるのかを評価します。この場合、雨はあなたの目的を妨げると評価されるでしょう。

三つ目のステップは、その評価が感情的な反応を引き起こします。

雨によってあなたの目的が妨げられたと感じると、それはあなたの感じ方、考え方、そして行動に変化をもたらします。例えば、不満や困惑といった感情が生じるかもしれません。

最後のステップは、感情的な反応を調整することです。

あなたが傘を持っていない場合、カバンで頭を覆うか、最寄りの店で新しい傘を買うか、または雨が止むのを待つかという選択肢があります。これらの行動は全て、あなたが感じた感情に対する対応の一部です。

これらのステップはすべて、感情を制御し、調整するための可能性を提供します。

感情は単に自動的に起こるものではなく、具体的な過程を通じて形成され、それぞれのステップで調整することが可能というわけです。

ところで、ここで立ち止まって考えるべきポイントがあります。

私たちは常に良い気分を保つべきなのかということです。

もちろん、その答えは「それは自分次第」です。

感情は状況によって役立つか役立たないかが決まるからです。

例えば、友人が大切な人を失ったと打ち明けてきた時、悲しみを感じ、それを表現することは適切な行為と言えます。それで、友人を支える手助けとなるわけですから。

感情についての深い理解とその管理法を身につけることは、人間関係をより良いものにするはずです。他者への共感を深めるために重要な理解になります。

 

 

「ダンバーの数」

 

心理学者ダンバー教授が提唱する「ダンバーの数」という理論があります。

この理論は、「人間は一度に150人以上の有意義な関係を維持することはできない」と言うものです。

それは、霊長類の脳の大きさとその社会的群れの大きさとの相関関係に基づいているとのこと。

例えば、B’zのような余程の大物アーチストでない限り、一度に1,000人以上の人とコネクションを持つというのは現実的ではありませんよね。(大物アーチストであっても、こっちは知っているがそっちは知らないというのが大部分でしょう。)

想像を絶するような人数の人々と交流を持つというのは、どういうことなのでしょうか。

カフェでのミーティング、返信すべきメッセージ、そして新たな人々との出会い。これら全てを一度に処理することは、人間の限界を超えています。

考えてみれば、これは非常に理にかなった話です。

人間が心の中に留めることができる人々の数には、一定の限界があるわけです。

人間は無限に多くの人々と深い関係を築くことはできないというこの理論は、ネットワーキングという観点からすると、一見、厳しい現実に思えるかもしれません。

しかし、制約があるからこそ、自分がどんな人々と繋がりを深めるべきか、また、どの関係を持続させるべきかを選択することが求められることになります。

電話帳で「この人誰だっけ?」と首を傾げる名前が見つかったら、それはもしかしたら、ダンバー教授のアドバイスに従って、新しいつながりを作る余地を作るべき合図なのかもしれませんね。

 

 

本日6月2日(金)は通常診療です

本日6月2日(金)は通常診療です。

 

昨夜は台風2号の風雨が強まっていましたので、県内各地の被害が心配されるところです。

これから台風2号の影響が少しずつ弱まっていきますが、大雨による地盤のゆるみなどが残っており、引き続き注意が必要です。

 

本日、公共交通機関は終日通常運行ですので、通常診療を行います。

まだ風も強く吹いていますので、外出される際には十分にご注意ください。

 

 

 

本日(6/1)の外来診療は通常通りです

 

皆様へのご連絡となります。

 

台風2号の接近に伴い、沖縄本島にて午前6時時点で暴風警報が発表されております。

しかしながら、バスやモノレールなどの公共交通機関の通常運行が確認されておりますので、予定通りの診療を実施する予定です。木曜日ですので、午前中の診療になります。

 

ただし、風雨の強まる中、診療所への往来は慎重に行っていただくことを強くお願いいたします。自身の安全を確保し、無理な外出を控えるよう、特に気象情報には十分にご注意ください。

 

皆様の十分な配慮と理解をいただけますようお願いいたします。

 

明日、6月2日(金)の外来診療については、公共交通機関の運行状況によって決定いたします。最新の情報を確認していただきますようにお願いいたします。

 

 

 

「楽天主義」と「楽観主義」

 

町の誰もが太陽の下でステップを踏み、人々に「すべて順調だ」と笑顔を振りまく、カラフルなミュージカル映画のようなシーンは理想かも知れません。

けれども、そんな映画でも、あるシーンではちょっとだけ陰りが見え隠れするものです。物語に奥行きをもたらすのは、そんな「ちょっとしたネガティブ」な要素です。

「何でもかんでもうまくいくさ!」と思い込むのは、ある種の魅力があります。人は心配したくないのです。

どんなことがあっても、何とかなると思っている状態を「楽天主義」と言います。自分で何とかしようとはしません。

しかし、その「楽天主義」の先には見えない危険が潜んでいるものです。それこそ定番の展開でしょう。

それが、極度のポジティブ思考の落とし穴です。

逆境に立ち向かうために、時には「ちょっとしたネガティブ」を持つことが必要です。

「ちょっとしたネガティブ」は、何事もすんなりと進むという甘い幻想から一歩引いて、現実を冷静に見つめることを助けてくれます。

誰もが自分だけが特別で、問題から逃れられるとは限りません。

うまくいかない可能性について考えることで、事前にリスクマネジメントを行うことができるわけです。

幸せとは、すべてがうまくいくという甘い幻想ではなく、困難と直面しても立ち上がり続ける勇気から生まれるものです。

「楽観主義」は、どんなことがあっても何とかしようと行動することです。

 

 

琉球キングス優勝!

 

週末は、沖縄は琉球ゴールデンキングス一色でした。

Bリーグのファイナルで、琉球ゴールデンキングスが千葉ジェッツを下し、見事Bリーグ初優勝を手に入れました。

「史上最強」ともいわれる千葉ジェッツを相手だからこそ、さらに意義深い勝利となりました。

第1クオーターで、瞬く間に10点のリードを奪い、ゲームのペースを握りました。いずれ追いつかれるだろうけど、このリードをいつまで保てるだろうかとドキドキでした。

千葉のキャプテン、富樫勇樹選手もさすがのプレーが続きました。前半終了時には、琉球が9点のリードを保持。

第3クオーターには千葉の反撃が始まりました。富樫選手とキャビン・エドワーズ選手が一瞬の逆転劇を演じました。その直後、琉球のコー・フリッピン選手がスリーポイントを決め、リードを取り戻しました。

最終クオーター、ここでフリッピン選手がゾーンに入ります。次々にスリーポイントを沈め、ドライブからも得点を重ね、このクオーターだけで13得点を挙げる活躍。

試合結果は88対73。琉球ゴールデンキングスが千葉ジェッツに2連勝し、Bリーグ初優勝を達成しました。歴史的な勝利です。

昨シーズンの選手たちの涙が印象的だっただけに、今回の優勝はドラマを見ているかのように興奮しました。

おめでとうございます!