脳トレ、やり方次第で未来は変わる?―20年追跡で見えた認知症診断の違い 2026/02/19Posted in健康, 文献, 神経科学 かつて「脳トレ」という言葉が、テレビや書店を埋めていた時期がありました。 計算問題を解き、漢字を思い出し、短時間で正解数を競う。 家庭の引き出しのどこかに、あの頃のゲーム機やソフトが残っているかもしれません。 やがて…
余裕がないと、人はやさしくなる?―環境の「豊かさ」が変える、私たちの判断 2026/02/18Posted in心理学, 文献 私たちは、心の余裕と懐の余裕は比例すると、どこかで信じています。 お金や時間にゆとりがあれば、人は穏やかで寛大になる。 逆に、追い詰められれば、他人どころではなくなる。 理屈でなく、それが人間なのだと思っています。 …
孫の世話は、高齢者の脳の健康につながる―祖父母の育児参加と認知機能を調べた心理学研究 2026/02/17Posted in健康, 心理学, 文献 「孫はかわいいけれど、1日ずっと一緒に過ごすのは疲れる」と、母はよく言っていました。 体力的な理由だけではなく、気持ちのほうが先に疲れるのだそうです。 質問に答え、様子をうかがい、先回りして動く。 その積み重ねが、あ…
失敗の処方箋―情動調節と目標への再コミットメントを巡る分析 2026/02/16Posted in心理学, 文献 若いころ、成功哲学や自己啓発書を手当たり次第に読んでいた時期がありました。 誰の言葉だったかは思い出せませんが、「諦める一歩先に必ず宝がある」という一文は、今も胸に残っています。 その言葉と重なるように思い浮かぶ…
体が先に反応した日―サッカー決勝戦と、からだに現れた高ぶりの記録 2026/02/15Posted inスポーツ, 心理学, 文献 スタジアムの歓声、張り詰めた空気、そして勝敗が決した瞬間の爆発的な感情。 スポーツ観戦が私たちの心を揺さぶるのは自明のことです。 そのとき私たちの「体」の内部では一体何が起きているのでしょうか。 ドイツの研究チームが…
声にならない音が、身体を先に落ち着かせる―ハミングと自律神経に起きていた反応 2026/02/14Posted in心理学, 文献, 神経科学 気がつくと、妻はよく鼻歌を口ずさんでいます。 歌と呼ぶほど整った旋律ではなく、正体のわからないメロディに、「んー」という発声が重なっているだけのものです。 「機嫌がいいんだね」と声をかけると、妻はきょとんとした顔で「…
眠らなければ終わる夜に、なぜ目だけが冴えるのか―新奇環境で覚醒が続く理由と「初日効果」が残した回路 2026/02/13Posted in文献, 日常, 神経科学 出張の前泊で、慣れないホテルに泊まった夜、電気を消してからが本番になる。 明日は朝から大事な仕事がある。 失敗は許されない。 体は疲れている。 条件は揃っている。 なのに眠れない。 布団の感触も、空調の音も、いつもよ…
吐き出すという判断―猫のペリットと、初期ペルム紀の捕食者が共有していた身体の知恵 2026/02/12Posted in文献, 歴史, 生物 私たちが「吐しゃ物」と聞いてまず思い浮かべるのは、猫が毛や骨をまとめて吐き出すペリットかもしれません。 あれは体調不良でもなんでもなく、消化できないものを一度体内で集め、途中で外に出す、ごく普通の生理反応として知られ…
あくびは失礼か、それとも必要か―マナーの裏で、身体が先に実行していること 2026/02/11Posted in文献, 日常, 神経科学 会議中、ふいに口が開きそうになり、慌ててあくびを噛み殺す。 喉の奥がきゅっと引きつり、首の中で何かが途中停止したような感触が残る。 多くの社会人にとって、この一連の動作は「大人として正しい振る舞い」です。 あくびは集…
見終えたはずの標本が、もう一度口を開くとき―ゲーテの琥珀に閉じ込められていたのは、アリではなく私たちの注意だった 2026/02/10Posted in文献, 生物, 科学 ドイツ中部の町ワイマールにある旧邸宅。 その廊下の一角に、長いあいだ動かされることのなかった木製のキャビネットがあります。 引き出しには、石や鉱物、植物片が詰め込まれ、数えれば一万八千点を超える自然物が収められていま…
体は、食べた瞬間には変わらない―オーツ麦が残した“時間差の反応”を、腸内で読み解く 2026/02/09Posted in健康, 文献, 日常 健康食品には流行があります。 ファッションと同じで、ある時期に評価が高まり、しばらくすると別のものに置き換わっていく。 その流れの中で、私たち自身も、意識するほどではなく、流行に乗ったり降りたりを繰り返しています。 …
読む気は、いつどこで失われるのか―登場人物の性別をめぐる誤解 2026/02/08Posted in文献, 物語, 読書 ミステリーもSFも、興味があれば手に取っている。 話題にあがれば読んでいますし、読むか読まないかを迷った記憶は、ほとんどありません。 そんな私には、登場人物の性別が読書の障壁になるという発想も、あまりありませんでした…
円と四角は、なぜ一つの絵に収まったのか―《ウィトルウィウス的人体図》を読み直す 2026/02/07Posted in数学, 文献, 日常, 歴史 十五世紀の終わり、レオナルド・ダ・ヴィンチは一枚の素描を描きました。 円と正方形の中に、手足を大きく広げた人の体が重ねて描かれているその図は、今もなお世界で最も有名な人体図の一つです。 多くの人がその美しさに目を奪わ…
正しい答えが三つあっても、世界は一つにならない―GHZ型パラドックスが示した量子の文脈 2026/02/06Posted in文献, 科学 会議で三人の同僚が、同じ出来事について報告している場面を想像してみてください。 一人目の説明は筋が通っている。 二人目の話も、別の角度から見れば正しい。 三人目も同様です。 誰も嘘はついていないし、論理の飛躍もない。…
暖かい光の記憶―赤外線が欠けた世界で、私たちの目に起きていたこと 2026/02/05Posted in健康, 文献, 日常, 科学 冬の夕方、低い太陽の光に手をかざすと、理由もなくほっとすることがあります。 キャンプで焚き火を囲んでいるときも同じです。 炎を見つめているだけなのに、目の奥がほどけ、景色の輪郭がやわらぐ。 眩しいわけでも、明るさが増…
植物は状況を解釈している―長期電気信号観測が捉えた、ストレス対応の違い 2026/02/04Posted in文献, 生物, 科学 鉢植えの土が乾いてきても、植物はすぐには萎(しお)れません。 葉はハリを保ち、昨日と同じ姿をしています。 そのあいだ、植物の内部では、水が減っているという情報が処理され、まだ耐えるのか、方針を切り替えるのかが検討され…
わからないと認めたとき、科学は前に進む― 進化の袋小路に立つ「キノコのゴジラ」 2026/02/03Posted in文献, 歴史, 生物, 科学 “それ”の高さは最大8メートル。 太さは直径1メートル近くに達します。 人が横に立てば、見上げるしかない円柱状の存在が、4億年前の地球で、陸上に突き立っていました。 枝も葉もなく、根が広がる様子もない。 ただ巨大な柱…
自分を差し出す匂い — アリのサナギが放つ「利他的サイン」 2026/02/02Posted in文献, 生物, 科学 集団の中で体調が悪くなったとき、人はなるべくそれを隠そうとします。 弱っていると知られれば、役割を外されたり、距離を置かれたりするかもしれないからです。 学校でも職場でも、少し無理をして平然を装う場面は珍しくありませ…
患者になりたがる私たち— SNS利用を「依存」と呼ぶことは、本当に救いなのか 2026/02/01Posted in心理学, 文献, 日常 夜、ベッドに腰を下ろした瞬間、特に理由もなくスマホを手に取ってしまう。 画面を閉じたあと、胸の奥に薄い重さが残る。 「またやってしまった」 この一言を、私たちはずいぶん手際よく強い言葉に置き換えてきました。 自分はS…
脳は「忘れる」まで粘り続ける― 記憶が抜ける瞬間の背後で起きていること 2026/01/31Posted in文献, 神経科学 リビングの真ん中で立ち尽くし、「あれ、何を取りに来たんだっけ」と天井を仰ぐ。 あるいは、旧友の名前が喉元でつっかえて出てこない。 そんなありふれた日常の一コマに、ふと冷たい影が差すことがあります。 「私の脳は、もう縮…
「やる気が出ない」「重たい腰」の正体 — 価値はわかっていても動き出せない 2026/01/30Posted in心理学, 文献, 神経科学 やるべきことは分かっている。 終われば報酬があり、意味も理解している。 それでも、どうしても始められない。 「やる気が出ない」「腰が重い」。 私たちはこの感覚を、意志の弱さや気分の問題として処理しがちです。 しかし研…
遅咲きの暴君王―ティラノサウルスはいつ大人になったのか 2026/01/29Posted in文献, 生物, 科学 博物館に並ぶティラノサウルスの骨格は、いつも威圧的な姿を見せています。 巨大な頭骨、太い脚、圧倒的な体の大きさ。 その姿から私たちは、「これほど強い存在なら、若いうちに一気に成長したに違いない」と自然に考えてしまいま…
音楽教育は、貧困による学業の遅れから子どもを守る―アメリカの大規模追跡研究から見えてきたこと 2026/01/28Posted in文献, 日常, 音楽 子どもが新しい言葉を覚える瞬間は、案外あっけないものです。 意味を正確に理解していなくても、音のかたちや使われ方を真似しながら、会話の中に滑り込ませていく。 その様子を見ていると、言葉は教室で与えられるというより、日…
睡眠時血圧と腎機能の新たな視点―夜の血圧が何を変えるのか 2026/01/27Posted in健康, 医療全般, 文献, 腎臓のこと 夜中にふと目が覚めたとき、耳のあたりで脈の拍動を感じることがあります。 体は横になっていますし、呼吸も落ち着いていますが、心臓の鼓動を意識してしまう時間です。 朝になれば忘れてしまって、起床後に測った血圧が問題なけれ…
雨は、どこから来るのか―南部アマゾンで見えてきた、森林消失と降雨の連鎖 2026/01/26Posted in文献, 自然環境 最近はスマホアプリの雨雲レーダーで雨の様子が視覚化されるようになりました。 雲の形、天気図、気圧の動き。 けれども、そこに映っているのは、その時の雨の姿だけです。 雨粒が落ちるまでの過程には、その前に「水が空へ戻る工…