平均の食卓から、こぼれ落ちる人がいる―肉の摂取量とAPOE ε4遺伝子型と認知症リスク 2026/04/03Posted in健康, 医療全般, 文献 食卓に肉が続くと、少し野菜も食べなきゃという気になります。 量の問題だけではありません。肉には、それだけで少し身構えさせる空気があります。 「赤肉は老化に悪い」という見出しを目にすると、その感覚にもっともらしい根拠を…
時刻という変数―2型糖尿病の体内時計が運動の効き方を書き換える 2026/03/28Posted in健康, 医療全般, 文献 運動不足を自覚したとき、一念発起して朝活を習慣化しようと試みます。 何度試みたことか知れません。 早朝、まだ薄暗い中を走る。冷たい空気を肺に満たし、体に活力を注ぎ込む。健康のために正しいことをしているという達成感はあ…
風邪に、亜鉛はどこまで効くのか―急性ウイルス性呼吸器感染症の予防と治療をめぐる検討 2026/03/15Posted in健康, 医療全般, 文献 幼いころ、夏風邪で高い熱を出して寝込んだことがあります。 そんなとき、オバアがカチューユをつくってくれました。 どんぶりに削り節と味噌を入れ、湯を注ぐだけの、ごく簡素な汁物です。 沖縄では、風邪のときの家庭の手当てと…
動ける人と、動けなくなる人のあいだ―7つのがん種・1万7141人を10年以上追跡した診断後運動とがん死亡 2026/03/04Posted in健康, 医療全般, 文献 がんと診断されたとき、多くの人はまず「安静にしなければ」と感じます。 体は治療の副作用で消耗し、気力も落ちています。 周囲も「無理しないで」と言います。 運動どころか、日常の買い物や散歩さえためらう人は少なくありませ…
食べる回数は、体を変えるのか―3食か、こまめに分けるか。研究が見た「空腹」とのつきあい方 2026/03/02Posted in健康, 文献, 日常 昼前になると、少しそわそわします。 お腹が鳴る。集中力が落ちる。イライラする。 私たちはその感覚を「よくないもの」だと思いがちです。 だから、なるべく空腹にならないように食べます。 3食きちんと。あるいは2時間おきに…
脳は、いつ変わるのだろう―12万人のデータが教えてくれた、更年期とホルモン治療の話 2026/02/26Posted in健康, 文献, 神経科学 外来で更年期を迎えた女性の話を聞いていると、「最近、自分が自分でない気がする」と言われることがあります。 理由がはっきりしない不安。 急に落ち込む気持ち。 夜中に目が覚めてしまい、そのまま眠れないこともあります。 検…
身体は「一つの得意技」だけでは足りない―運動の多様性と死亡リスク 2026/02/24Posted inスポーツ, 健康, 医療全般, 文献 大人になると、運動にも肩書きが生まれます。 私は走る人。 僕はジムに行く人。 同じ時間に同じことを繰り返せば、それは習慣となり、生活は整います。 迷いが減り、管理している感覚も得られます。 けれど、整っていることと、…
1日2~3杯のコーヒーが記憶を未来に届けてくれる―13万人・43年追跡が測った認知症リスク 2026/02/23Posted in健康, 医療全般, 文献, 日常, 神経科学 正直な話、世の中、コーヒー擁護の論文が多すぎる気がしています。 心臓にいい、糖尿病にいい、肝臓にいい、うつにいい、死亡率を下げる―そして今度は「認知症」が対象です。 いつものことですが、半分ジョークでこう言い…
夜のスマホは、脳を覚醒させているのか―心拍データが映した、子どもたちの夜 2026/02/21Posted in健康, 文献, 神経科学 夜、布団に入り、顔のすぐ横にスマートフォンの光が浮かぶ。 部屋は暗く、体は横たわっているのに、親指だけが静かに画面を動かしている。 こうした光景を前に、「寝る前のスマホはよくない」と言われることは少なくありません。 …
脳トレ、やり方次第で未来は変わる?―20年追跡で見えた認知症診断の違い 2026/02/19Posted in健康, 文献, 神経科学 かつて「脳トレ」という言葉が、テレビや書店を埋めていた時期がありました。 計算問題を解き、漢字を思い出し、短時間で正解数を競う。 家庭の引き出しのどこかに、あの頃のゲーム機やソフトが残っているかもしれません。 やがて…
孫の世話は、高齢者の脳の健康につながる―祖父母の育児参加と認知機能を調べた心理学研究 2026/02/17Posted in健康, 心理学, 文献 「孫はかわいいけれど、1日ずっと一緒に過ごすのは疲れる」と、母はよく言っていました。 体力的な理由だけではなく、気持ちのほうが先に疲れるのだそうです。 質問に答え、様子をうかがい、先回りして動く。 その積み重ねが、あ…
体は、食べた瞬間には変わらない―オーツ麦が残した“時間差の反応”を、腸内で読み解く 2026/02/09Posted in健康, 文献, 日常 健康食品には流行があります。 ファッションと同じで、ある時期に評価が高まり、しばらくすると別のものに置き換わっていく。 その流れの中で、私たち自身も、意識するほどではなく、流行に乗ったり降りたりを繰り返しています。 …
暖かい光の記憶―赤外線が欠けた世界で、私たちの目に起きていたこと 2026/02/05Posted in健康, 文献, 日常, 科学 冬の夕方、低い太陽の光に手をかざすと、理由もなくほっとすることがあります。 キャンプで焚き火を囲んでいるときも同じです。 炎を見つめているだけなのに、目の奥がほどけ、景色の輪郭がやわらぐ。 眩しいわけでも、明るさが増…
睡眠時血圧と腎機能の新たな視点―夜の血圧が何を変えるのか 2026/01/27Posted in健康, 医療全般, 文献, 腎臓のこと 夜中にふと目が覚めたとき、耳のあたりで脈の拍動を感じることがあります。 体は横になっていますし、呼吸も落ち着いていますが、心臓の鼓動を意識してしまう時間です。 朝になれば忘れてしまって、起床後に測った血圧が問題なけれ…
なぜ鼻呼吸が重要なのか―成長する時期の呼吸が、脳の働きを形づくる理由 2026/01/21Posted in健康, 文献, 神経科学 私たちは毎日、当たり前のように息をしています。 でも、その息を鼻で吸っているのか、口で吸っているのかを、ふだん意識することはほとんどありません。 それでも、鼻がつまった夜に眠りにくくなったり、かぜをひいたあとに頭がぼ…
助ける側でいられる時間―援助行動と認知機能、20年追跡研究が見た人生後半の速度 2026/01/14Posted in健康, 文献, 神経科学 役所の机に向かい、誰にも気づかれない仕事を淡々とこなす日々。 黒澤明監督の映画『生きる』は、そんな時間の中で、人がいつのまにか社会から“透明”になっていく感覚を描いていました。 主人公を動かしたのは、病そのものではな…
紫色の守護者―紅いもに含まれる色素と、体の中で続く防御の話 2026/01/13Posted in健康, 文献, 日常 強い日差しの下で育つ植物は、逃げることができません。 光は恵みである一方、過剰になれば細胞を傷つけ、遺伝情報を壊します。 そこで植物は、自分の内側に防御の仕組みを組み込みました。 その一つが、紫色として私たちの目に映…
骨の話だと思っていたものが、腸の話だった―ビタミンDと消化管疾患をめぐって 2026/01/10Posted in健康, 医療全般, 文献 外来で腹部症状を訴える患者を診ているとき、その鑑別にビタミンDの関連を入れることはまずありません。 骨粗鬆症や転倒予防が主な関心事で、腸の不調と直結させて考える習慣は、少なくとも日本の臨床現場では一般的ではないでしょ…
父親の体は、思っているより未来に近い―6週間の食事が示した、見えない変化 2026/01/09Posted in健康, 医療全般, 文献 「精子は、ただ遺伝子を運ぶだけの存在だ。」 私たちは長いあいだ、そう理解してきました。父親の体調や食生活が、子どもの将来に影響する―そんな話は、どこか眉に唾をつけて聞くものだったはずです。 しかし、もし「たった6…
「走りすぎると心臓に悪い」は本当なのか―10年後の検査で明らかになったこと 2026/01/08Posted inスポーツ, ランニング, 健康, 医療全般, 文献 私のような、いわゆる「レクリエーション・ランナー」にとっても、マラソンシーズンは心躍る季節です。 調子が良ければひと冬に三、四回はフルマラソンのスタートラインに立ちます。 しかし、その高揚感の裏で、常に小さな影を落と…
走るほど健康、という神話の揺らぎ― 臨床医が考える「運動と大腸がん」の関係 2026/01/05Posted inランニング, 健康, 医療全般, 文献 健康のために良かれと思って続けている習慣が、身体に別の負荷を残しているかもしれない。 臨床の場にいると、そうした医学的な逆説に出会うことがあります。 外来で長距離ランナーと話していると、走ったあとの下血や腹部違和感を…
健康志向が裏目に出るとき―ビタミンB6の過剰摂取の落とし穴 2026/01/04Posted in健康, 医療全般, 文献, 神経科学 外来で「足の裏がジンジンする」「指先の感覚が鈍い」と訴えられる場面は、決して珍しくありません。 糖尿病、甲状腺疾患、頸椎症、腎機能障害、薬剤性――鑑別診断は多岐にわたります。 問診を進め、検査を重ねても、決め手に欠け…
脳の健康には、チェダーチーズの方が良いのか―25年追跡研究が問い直す「脂肪は敵」 2025/12/31Posted in健康, 文献, 神経科学 栄養指導というと、私たち医療者は長いあいだ、決まった言葉を繰り返してきました。 「塩分は控えめに」「脂肪はできるだけ避けましょう」。 とくに心臓や血管を守るという目的のもとでは、動物性の脂肪、とりわけ飽和脂肪酸を遠ざ…
動かなくなった時間が、命を削っていた―透析患者の日常に潜んでいた「軽い活動」の意味 2025/12/26Posted in健康, 文献, 透析関連 今から振り返ると、ずいぶん極端な時代でした。 腎臓の病気を持つ人は、とにかく安静にしていなさい。 私が学生だった頃、その考え方はごく当たり前のように受け入れられていました。 身体を動かすことは負担であり、危険であり、…
運動前サプリの1杯―若者の睡眠時間に起きていた変化 2025/12/23Posted inスポーツ, 健康, 文献 だいぶ前の話になりますが、勤務医だった頃、夜にスポーツジムへ通っていた時期がありました。 診療を終えた後のジムでは、シェイカーを振る乾いた音と、色のついたドリンクが当たり前のようにありました。 トレーニングを終え、体…