平均の食卓から、こぼれ落ちる人がいる―肉の摂取量とAPOE ε4遺伝子型と認知症リスク

平均の食卓から、こぼれ落ちる人がいる―肉の摂取量とAPOE ε4遺伝子型と認知症リスク

  食卓に肉が続くと、少し野菜も食べなきゃという気になります。 量の問題だけではありません。肉には、それだけで少し身構えさせる空気があります。 「赤肉は老化に悪い」という見出しを目にすると、その感覚にもっともらしい根拠を…
風邪に、亜鉛はどこまで効くのか―急性ウイルス性呼吸器感染症の予防と治療をめぐる検討

風邪に、亜鉛はどこまで効くのか―急性ウイルス性呼吸器感染症の予防と治療をめぐる検討

  幼いころ、夏風邪で高い熱を出して寝込んだことがあります。 そんなとき、オバアがカチューユをつくってくれました。 どんぶりに削り節と味噌を入れ、湯を注ぐだけの、ごく簡素な汁物です。 沖縄では、風邪のときの家庭の手当てと…
動ける人と、動けなくなる人のあいだ―7つのがん種・1万7141人を10年以上追跡した診断後運動とがん死亡

動ける人と、動けなくなる人のあいだ―7つのがん種・1万7141人を10年以上追跡した診断後運動とがん死亡

  がんと診断されたとき、多くの人はまず「安静にしなければ」と感じます。 体は治療の副作用で消耗し、気力も落ちています。 周囲も「無理しないで」と言います。 運動どころか、日常の買い物や散歩さえためらう人は少なくありませ…
食べる回数は、体を変えるのか―3食か、こまめに分けるか。研究が見た「空腹」とのつきあい方

食べる回数は、体を変えるのか―3食か、こまめに分けるか。研究が見た「空腹」とのつきあい方

  昼前になると、少しそわそわします。 お腹が鳴る。集中力が落ちる。イライラする。 私たちはその感覚を「よくないもの」だと思いがちです。 だから、なるべく空腹にならないように食べます。 3食きちんと。あるいは2時間おきに…
脳は、いつ変わるのだろう―12万人のデータが教えてくれた、更年期とホルモン治療の話

脳は、いつ変わるのだろう―12万人のデータが教えてくれた、更年期とホルモン治療の話

  外来で更年期を迎えた女性の話を聞いていると、「最近、自分が自分でない気がする」と言われることがあります。 理由がはっきりしない不安。 急に落ち込む気持ち。 夜中に目が覚めてしまい、そのまま眠れないこともあります。 検…
1日2~3杯のコーヒーが記憶を未来に届けてくれる―13万人・43年追跡が測った認知症リスク

1日2~3杯のコーヒーが記憶を未来に届けてくれる―13万人・43年追跡が測った認知症リスク

  正直な話、世の中、コーヒー擁護の論文が多すぎる気がしています。   心臓にいい、糖尿病にいい、肝臓にいい、うつにいい、死亡率を下げる―そして今度は「認知症」が対象です。   いつものことですが、半分ジョークでこう言い…
孫の世話は、高齢者の脳の健康につながる―祖父母の育児参加と認知機能を調べた心理学研究

孫の世話は、高齢者の脳の健康につながる―祖父母の育児参加と認知機能を調べた心理学研究

  「孫はかわいいけれど、1日ずっと一緒に過ごすのは疲れる」と、母はよく言っていました。 体力的な理由だけではなく、気持ちのほうが先に疲れるのだそうです。 質問に答え、様子をうかがい、先回りして動く。 その積み重ねが、あ…
体は、食べた瞬間には変わらない―オーツ麦が残した“時間差の反応”を、腸内で読み解く

体は、食べた瞬間には変わらない―オーツ麦が残した“時間差の反応”を、腸内で読み解く

  健康食品には流行があります。 ファッションと同じで、ある時期に評価が高まり、しばらくすると別のものに置き換わっていく。 その流れの中で、私たち自身も、意識するほどではなく、流行に乗ったり降りたりを繰り返しています。 …
助ける側でいられる時間―援助行動と認知機能、20年追跡研究が見た人生後半の速度

助ける側でいられる時間―援助行動と認知機能、20年追跡研究が見た人生後半の速度

  役所の机に向かい、誰にも気づかれない仕事を淡々とこなす日々。 黒澤明監督の映画『生きる』は、そんな時間の中で、人がいつのまにか社会から“透明”になっていく感覚を描いていました。 主人公を動かしたのは、病そのものではな…
「走りすぎると心臓に悪い」は本当なのか―10年後の検査で明らかになったこと

「走りすぎると心臓に悪い」は本当なのか―10年後の検査で明らかになったこと

  私のような、いわゆる「レクリエーション・ランナー」にとっても、マラソンシーズンは心躍る季節です。 調子が良ければひと冬に三、四回はフルマラソンのスタートラインに立ちます。 しかし、その高揚感の裏で、常に小さな影を落と…
走るほど健康、という神話の揺らぎ― 臨床医が考える「運動と大腸がん」の関係

走るほど健康、という神話の揺らぎ― 臨床医が考える「運動と大腸がん」の関係

  健康のために良かれと思って続けている習慣が、身体に別の負荷を残しているかもしれない。 臨床の場にいると、そうした医学的な逆説に出会うことがあります。 外来で長距離ランナーと話していると、走ったあとの下血や腹部違和感を…
脳の健康には、チェダーチーズの方が良いのか―25年追跡研究が問い直す「脂肪は敵」

脳の健康には、チェダーチーズの方が良いのか―25年追跡研究が問い直す「脂肪は敵」

  栄養指導というと、私たち医療者は長いあいだ、決まった言葉を繰り返してきました。 「塩分は控えめに」「脂肪はできるだけ避けましょう」。 とくに心臓や血管を守るという目的のもとでは、動物性の脂肪、とりわけ飽和脂肪酸を遠ざ…
動かなくなった時間が、命を削っていた―透析患者の日常に潜んでいた「軽い活動」の意味

動かなくなった時間が、命を削っていた―透析患者の日常に潜んでいた「軽い活動」の意味

  今から振り返ると、ずいぶん極端な時代でした。 腎臓の病気を持つ人は、とにかく安静にしていなさい。 私が学生だった頃、その考え方はごく当たり前のように受け入れられていました。 身体を動かすことは負担であり、危険であり、…