加齢と細胞の顔ぶれ ― 1,828種類のうち499種類に年齢差 2026/09/03Posted in健康, 医療全般, 文献, 腎臓のこと だいぶ前の話ですが、鏡の前で眉毛に白いものを見つけ、少なからず動揺しました。 耳の周りの白髪は、その前から目立つようになっていました。 「いよいよ広がってきたか」 年を取っていく自分の体を、まざまざと見せつけられた気…
ふくらはぎの硬さでは分からないもの ― 押し出す力と、足の潰瘍 2026/09/02Posted in健康, 医療全般, 文献 足がむくんで心配だと言って外来にみえる方が、ときどきいらっしゃいます。 まず脛の前を指で押します。 跡がへこんだまま残るか、何秒で戻るか。 それから両手でふくらはぎを包んで、硬さと張りを確かめます。 長く診ていると、…
マインドフルネスで調子を崩すということ ― 「起きた」と「起こした」のあいだ 2026/09/01Posted inマインドフルネス, 健康, 医療全般, 文献 瞑想や坐禅で調子を崩すことは、新しい話ではありません。 私は長く瞑想に関心を持ち、白隠禅師が経験したという「禅病」についても、これまで詳しく調べてきました。 白隠は厳しい修行のさなかに心身の調子を崩し、白幽仙人から教…
走りの平熱計 ― 徹夜の跡は「いつもの自分」との差に現れた 2026/08/28Posted inスポーツ, ランニング, 健康, 文献 マラソン大会の前夜は、なかなか寝つけないものです。 とくに前泊したときは、枕が合わなかったり、翌日のレースが気になったりして、時計を見るたびに焦り、ますます眠れなくなります。 寝不足の朝は、思い通りには走れないだろう…
40歳の近く、60歳を越えて ― 免疫細胞の発現差に現れた2つの山 2026/08/27Posted in健康, 医療全般, 文献, 日常 年齢は、とにかく律儀です。 こちらが忘れていても、誕生日ごとにきっちり一つ増えます。 39歳から40歳も、59歳から60歳も、足すのはどちらも同じ1歳ずつです。 ところが、異なる年齢の人々から得た免疫細胞のRNAを比…
座るのをやめて、立った ― えっ、まだ動けって? 2026/08/25Posted in健康, 医療全般, 文献 座りすぎは健康に良くない――そんな話を何度も耳にしてきました。 何年か前、テレビを見ている時間を座っている時間の目安にして、長い人ほど健康を損ないやすいという論文を読んだ記憶もあります。 ならば、座っている時間をその…
冷房の風と、夏風邪の始まる場所 2026/08/20Posted in健康, 医療全般, 文献 外来で、喉がいがらっぽくて鼻水も出ていると言う高齢の患者さんが、「クーラーをつけて寝ているから、そのせいだと思う」と話していました。 「熱中症に気をつけろと子どもたちがうるさいから、仕方なくつけている。でも、だからク…
心の健康をめぐる専門家の判断 ― 19項目で合意し、向きは決まらなかった 2026/08/19Posted in健康, 心理学, 文献 親しい人と話したあと、気持ちが軽くなることがあります。 会話に救われたのか、もともと心に余裕があったから楽しく話せたのか。 その一度の出来事だけでは、どちらが先だったのか分かりません。 心の健康という言葉を扱う専門家…
認知症のない年数という目盛り 2026/08/14Posted in健康, 医療全般, 文献, 神経科学 健診の結果をお渡しするとき、患者さんの目はたいてい一つの数字の上で止まります。 血圧が140を超えているかどうか、HbA1cが6.5%に届いているかどうか。 線を越えたか越えていないか、そこで話が決まるように見えます…
声と鉛筆と算数の30分 ― 12週間後の認知検査に残った小さな変化 2026/08/11Posted in健康, 医療全般, 文献, 神経科学 コンビニの雑誌コーナーには、脳を鍛えるとうたうドリルやパズル誌が並んでいます。 子どもの学習用ではなく、大人向けの「脳トレ」です。 2005年に発売された『脳を鍛える大人のDSトレーニング』はシリーズ化され、大人やシ…
一足に集まる走行距離 ― ランニングシューズと故障の関係 2026/08/06Posted inランニング, 健康, 文献 私はポッドキャストが好きで、車のオーディオにつないだり、ジョギングをしながら聴いたりしています。 毎週の更新を楽しみにしている番組の一つが、上田玲さんの「ランニングチャンネル」です。 毎回一つのテーマを決め、リスナー…
コーヒーカップには、2つの時計がある 2026/08/03Posted in健康, 医療全般, 文献, 日常 「血圧を測る前は、コーヒーを飲まないでください」 私は日ごろ、患者さんにそう伝えています。 カフェインを摂った直後には、血圧が上がることがあるからです。 そうなると、その1杯を毎日重ねることで、何年か先に病気になる危…
抜け毛の記録を日付からたどる ― GLP-1受容体作動薬と最初の1年 2026/08/02Posted in健康, 医療全般, 文献 風呂の排水口にたまった髪を、指でつまんで捨てます。 前より多い気がすると、年齢、体質、季節の変わり目と、原因はいくつも浮かびます。 けれど、量ばかり見ていると、もう一つの手がかりが抜けます。 増え始めたのは、いつだっ…
夏に靴ひもを結ぶ理由 ― 暑熱順化4週間で見えたもの 2026/07/31Posted inスポーツ, ランニング, 健康, 医療全般, 文献 夏になると走る気が起きません。 7月の午後は、外に出る前から気力のほうが先に落ちています。 そういう時期に雑誌をめくっていて、夏のランには高地トレーニングに近い効果が期待できる、という趣旨の見出しに目が止まりました。…
インフルエンザの予防接種は午前中に受けたほうがいい? 2026/07/30Posted in健康, 医療全般, 文献 インフルエンザの予防接種は午前中に受けたほうがいい、という話をどこかで聞いたことがあります。 それを信じて、午前の接種にこだわる人もいます。 実際、朝に接種した人のほうが抗体の反応が大きかった例も報告されてきました。…
一枚の紙で変わる一杯 ― コーヒーとコレステロール 2026/07/29Posted in健康, 医療全般, 文献, 日常 朝、出勤前にコンビニでコーヒーを買うのが日課です。 店によって、ボタンを押すのは客だったり店員だったりします。 けれど、誰が押しても、私たちに見えるのは始まりと終わりだけです。 豆を挽く音がして、しばらくすると湯気の…
1日の摂取エネルギーはほぼ同じ ― 夜型で違った脂肪のつき方 2026/07/25Posted in健康, 医療全般, 文献, 日常 ダイエットの話は、たいてい量の話です。 何を、どれだけ食べたか。 菓子を1つ減らす、ごはんを軽くよそう、揚げ物を控える。 減らした分だけ体は軽くなるはずで、裏を返せば、1日の摂取エネルギーが同じくらいなら、体も似てく…
支度と後片づけという山場 2026/07/21Posted inスポーツ, 健康, 文献, 日常 カレンダーに赤い丸をつけた一日があります。 発表の日、手術の日、大会の日。 私たちはその一日に向けて身構え、そこがいちばん重い時間になると考えます。 当日を越えれば、あとはゆるやかに下っていくはずでした。 ところが振…
運動の置き土産は腸にもあった ― 動かさない筋肉を守った2つの代謝物 2026/07/18Posted in健康, 医療全般, 文献, 生物 朝のランニングを終えると、ふくらはぎは張り、息はまだ少し速く、シャツには汗が残ります。 運動の効果が生まれる場所として思い浮かぶのは、動いた筋肉や心臓、肺です。 反対に、ギプスで固定された脚の筋肉が減るのは、その脚を…
体重計の下の名簿 ― 食事を減らすとき、血液のなかで入れ替わるもの 2026/07/17Posted in健康, 医療全般, 文献 朝、体重計に現れる数字は、私たちにとって小さな判決のようなものです。 ゆうべ食べすぎたか、今週は少し抑えられたか。 数字が下がれば安堵し、上がれば小さく落胆します。 食事を減らした効果は、この数字に表れる。 それが体…
週末の寝だめ ― 睡眠不足は足し算だけでは清算できない 2026/07/04Posted in健康, 医療全般, 文献, 日常 週末の朝、目覚ましを止めて、布団に戻る。 平日に削られた眠りを、今日こそ取り返す。 生活のリズムが多少崩れても、それはあとで考える。 いまは眠るほうが先です。 私たちは眠りを、口座の残高のように考えがちです。 平日に…
同じ住所でも、同じ環境ではない ― 体が出会う場所を測る 2026/06/26Posted in健康, 医療全般, 文献 健康と環境の関係を調べるとき、研究者は一人ひとりを、地図の上の一点として置きます。 多くの人にとって、それは夜に眠る家の住所です。 その点を中心に半径3kmほどの円を描き、円の中の空気の汚れや緑の量を平均して、それを…
百寿者の血液に残るもの ― 脳の老いは、こぼれ出るものにも表れる 2026/06/21Posted in健康, 医療全般, 文献, 神経科学 長く使った道具には、表面に汚れがこびりつきます。 脳の老化について語るときにも、似たような「汚れ」が問題になります。 アミロイドβです。 神経細胞のあいだに年月をかけて沈着するたんぱく質で、アルツハイマー病の代表的な…
フランクリンも数えていた — おならの「ふつう」をめぐる36万回 2026/06/17Posted in健康, 文献, 日常 1781年、ベンジャミン・フランクリンは、自分が1日に「腸から風を出す」回数を7回と書き残しました。 いたずら心も混じる、妙にまじめな記述です。 電気の実験で知られ、合衆国建国にも名を連ねる人物が、そんな体の出来事…
鉄はあるのに、届かない ― ビタミンCと透析貧血のあいだ 2026/06/15Posted in健康, 医療全般, 文献, 透析関連 戸棚を開けると、奥まで食材で満ちています。 それなのに、今夜すぐ食卓に出せるものが、見当たらない。 買い置きはあるのに、手が止まる。 そんな夜が、たまにあります。 蓄えがあることそのものを、足りている証拠だと思ってい…