息が上がれば、同じ運動なのか ― 水泳とランニングで違った、心臓への手ごたえ

息が上がれば、同じ運動なのか ― 水泳とランニングで違った、心臓への手ごたえ

  以前にジムに通っていた頃のことです。 私はトレーニング器具のある上階には向かわず、いつもプールへ直行していました。 決して泳ぎが達者な方ではありません。 それでも、水に浸かっている時間そのものが気持ちよかったのです。…
息が続くことは、体だけの話なのか ― 400万7638人の追跡で見えた、心肺持久力と心と記憶

息が続くことは、体だけの話なのか ― 400万7638人の追跡で見えた、心肺持久力と心と記憶

  健康診断の検査項目で、「体力」は測定されません。 まして、認知機能や心の病といった分野とも、あまり結びつけて見られていません。 階段で息が切れた話と、最近気分が沈むという話と、同じことを何度も聞き返すようになった話は…
病原体に出会う前、T細胞は何を準備していたのか ― 食後の脂質代謝で、免疫の初動が変わっていた

病原体に出会う前、T細胞は何を準備していたのか ― 食後の脂質代謝で、免疫の初動が変わっていた

  幼いころ、風邪をひくと、おばあがカチューユを作ってくれました。 お椀にたっぷりのかつお節と味噌を入れ、お湯を注ぐだけの汁物です。 医学的に万能薬という話ではありません。 それでも、体調を崩したとき、食べ物が体を支えて…
腹に力が入ると、脳が動く ― 覚醒マウスで見えた、腹圧・脳運動・脳内液体流のつながり

腹に力が入ると、脳が動く ― 覚醒マウスで見えた、腹圧・脳運動・脳内液体流のつながり

  運動が脳によい、という話はすっかり常識になりました。 散歩を続ける人は、年を重ねても頭の働きが保たれやすい。 体を動かすことは、認知機能を保つ助けになるらしい。 そう聞くと、血流がよくなる、酸素が届く、筋肉からよい物…
ランニングシューズで足の故障は防げるのか――成人ランナー1万1240人と12試験で見た、靴選びと下肢傷害

ランニングシューズで足の故障は防げるのか――成人ランナー1万1240人と12試験で見た、靴選びと下肢傷害

  ランナーは靴売り場で、少しだけ未来を買っています。 厚いクッション、軽い素材、足の倒れ込みを抑える構造、足型を見て選んでもらう一足。 どれも「これなら痛めにくい」と思わせます。 値札を見ると、先に財布のほうが痛みそう…
朝の一杯を待っていたのは、脳だけではなかった―健康成人62人で見た、コーヒー習慣・腸内細菌・気分と記憶のつながり

朝の一杯を待っていたのは、脳だけではなかった―健康成人62人で見た、コーヒー習慣・腸内細菌・気分と記憶のつながり

  朝の出勤途中、私はよくコンビニに寄って、ホットのカフェラテを注文します。 カップを受け取り、一口飲んで、ホッと息をつく。 そこから脳がようやく仕事用のモードに入っていく感じがあります。 これが、コーヒー好きという言葉…
落ち込むから飲むのか、飲むから落ち込むのか ― 一般成人816人を12か月追った、心の状態と飲酒量の時間順序

落ち込むから飲むのか、飲むから落ち込むのか ― 一般成人816人を12か月追った、心の状態と飲酒量の時間順序

  何度目かのアラームの音で、「彼」はようやく目を開けました。 頭が重い。胃がむかむかしている。 みぞおちあたりに、昨日の酒がまだ残っている感じがします。 カーテンの隙間から入る朝の光が、目に刺さるほどまぶしい。 昨夜は…
宇宙放射線は、宇宙飛行士の健康リスクを変えるのか—がんと心血管疾患の共通原因を長期追跡で検証

宇宙放射線は、宇宙飛行士の健康リスクを変えるのか—がんと心血管疾患の共通原因を長期追跡で検証

  宇宙では、地上とは違う粒子が届きます。 地球の磁場と大気に守られていた場所を離れると、電離放射線は人の体の細胞を通り抜けます。 がんの原因になりうることはよく知られていますし、心臓や血管にも影響する可能性が語られてき…
疲れは、生活の乱れだけでは読めない―米国成人のビタミンD・B12・オメガ3不足からみた疲労の背景

疲れは、生活の乱れだけでは読めない―米国成人のビタミンD・B12・オメガ3不足からみた疲労の背景

  朝、目覚ましのアラームを止めたあと、体が重い日があります。 前の晩にとくべつ遅くまで起きていたわけでもないし、週末に休みを取ったばかりなのに、頭がぼんやりしている。 そういうとき、多くの人はまず自分の生活を疑います。…
サツマイモの離乳食は、赤ちゃんの眠りを助けるのか―乳児281人の4か月試験でみえた、夜間覚醒からの戻りやすさ

サツマイモの離乳食は、赤ちゃんの眠りを助けるのか―乳児281人の4か月試験でみえた、夜間覚醒からの戻りやすさ

  赤ちゃんが夜中に目を覚ます。 授乳し、抱き上げ、背中をさすり、もう一度寝かせる。 親にとってこの時間は、実際よりも長く感じるものです。 3割から5割の親が子どもの眠りを問題と感じていて、夜泣きや頻回覚醒は育児相談で最…
平均の食卓から、こぼれ落ちる人がいる―肉の摂取量とAPOE ε4遺伝子型と認知症リスク

平均の食卓から、こぼれ落ちる人がいる―肉の摂取量とAPOE ε4遺伝子型と認知症リスク

  食卓に肉が続くと、少し野菜も食べなきゃという気になります。 量の問題だけではありません。肉には、それだけで少し身構えさせる空気があります。 「赤肉は老化に悪い」という見出しを目にすると、その感覚にもっともらしい根拠を…
風邪に、亜鉛はどこまで効くのか―急性ウイルス性呼吸器感染症の予防と治療をめぐる検討

風邪に、亜鉛はどこまで効くのか―急性ウイルス性呼吸器感染症の予防と治療をめぐる検討

  幼いころ、夏風邪で高い熱を出して寝込んだことがあります。 そんなとき、オバアがカチューユをつくってくれました。 どんぶりに削り節と味噌を入れ、湯を注ぐだけの、ごく簡素な汁物です。 沖縄では、風邪のときの家庭の手当てと…
動ける人と、動けなくなる人のあいだ―7つのがん種・1万7141人を10年以上追跡した診断後運動とがん死亡

動ける人と、動けなくなる人のあいだ―7つのがん種・1万7141人を10年以上追跡した診断後運動とがん死亡

  がんと診断されたとき、多くの人はまず「安静にしなければ」と感じます。 体は治療の副作用で消耗し、気力も落ちています。 周囲も「無理しないで」と言います。 運動どころか、日常の買い物や散歩さえためらう人は少なくありませ…
食べる回数は、体を変えるのか―3食か、こまめに分けるか。研究が見た「空腹」とのつきあい方

食べる回数は、体を変えるのか―3食か、こまめに分けるか。研究が見た「空腹」とのつきあい方

  昼前になると、少しそわそわします。 お腹が鳴る。集中力が落ちる。イライラする。 私たちはその感覚を「よくないもの」だと思いがちです。 だから、なるべく空腹にならないように食べます。 3食きちんと。あるいは2時間おきに…
脳は、いつ変わるのだろう―12万人のデータが教えてくれた、更年期とホルモン治療の話

脳は、いつ変わるのだろう―12万人のデータが教えてくれた、更年期とホルモン治療の話

  外来で更年期を迎えた女性の話を聞いていると、「最近、自分が自分でない気がする」と言われることがあります。 理由がはっきりしない不安。 急に落ち込む気持ち。 夜中に目が覚めてしまい、そのまま眠れないこともあります。 検…
1日2~3杯のコーヒーが記憶を未来に届けてくれる―13万人・43年追跡が測った認知症リスク

1日2~3杯のコーヒーが記憶を未来に届けてくれる―13万人・43年追跡が測った認知症リスク

  正直な話、世の中、コーヒー擁護の論文が多すぎる気がしています。   心臓にいい、糖尿病にいい、肝臓にいい、うつにいい、死亡率を下げる―そして今度は「認知症」が対象です。   いつものことですが、半分ジョークでこう言い…
孫の世話は、高齢者の脳の健康につながる―祖父母の育児参加と認知機能を調べた心理学研究

孫の世話は、高齢者の脳の健康につながる―祖父母の育児参加と認知機能を調べた心理学研究

  「孫はかわいいけれど、1日ずっと一緒に過ごすのは疲れる」と、母はよく言っていました。 体力的な理由だけではなく、気持ちのほうが先に疲れるのだそうです。 質問に答え、様子をうかがい、先回りして動く。 その積み重ねが、あ…
体は、食べた瞬間には変わらない―オーツ麦が残した“時間差の反応”を、腸内で読み解く

体は、食べた瞬間には変わらない―オーツ麦が残した“時間差の反応”を、腸内で読み解く

  健康食品には流行があります。 ファッションと同じで、ある時期に評価が高まり、しばらくすると別のものに置き換わっていく。 その流れの中で、私たち自身も、意識するほどではなく、流行に乗ったり降りたりを繰り返しています。 …