助ける側でいられる時間―援助行動と認知機能、20年追跡研究が見た人生後半の速度

助ける側でいられる時間―援助行動と認知機能、20年追跡研究が見た人生後半の速度

  役所の机に向かい、誰にも気づかれない仕事を淡々とこなす日々。 黒澤明監督の映画『生きる』は、そんな時間の中で、人がいつのまにか社会から“透明”になっていく感覚を描いていました。 主人公を動かしたのは、病そのものではな…
「走りすぎると心臓に悪い」は本当なのか―10年後の検査で明らかになったこと

「走りすぎると心臓に悪い」は本当なのか―10年後の検査で明らかになったこと

  私のような、いわゆる「レクリエーション・ランナー」にとっても、マラソンシーズンは心躍る季節です。 調子が良ければひと冬に三、四回はフルマラソンのスタートラインに立ちます。 しかし、その高揚感の裏で、常に小さな影を落と…
走るほど健康、という神話の揺らぎ― 臨床医が考える「運動と大腸がん」の関係

走るほど健康、という神話の揺らぎ― 臨床医が考える「運動と大腸がん」の関係

  健康のために良かれと思って続けている習慣が、身体に別の負荷を残しているかもしれない。 臨床の場にいると、そうした医学的な逆説に出会うことがあります。 外来で長距離ランナーと話していると、走ったあとの下血や腹部違和感を…
脳の健康には、チェダーチーズの方が良いのか―25年追跡研究が問い直す「脂肪は敵」

脳の健康には、チェダーチーズの方が良いのか―25年追跡研究が問い直す「脂肪は敵」

  栄養指導というと、私たち医療者は長いあいだ、決まった言葉を繰り返してきました。 「塩分は控えめに」「脂肪はできるだけ避けましょう」。 とくに心臓や血管を守るという目的のもとでは、動物性の脂肪、とりわけ飽和脂肪酸を遠ざ…
動かなくなった時間が、命を削っていた―透析患者の日常に潜んでいた「軽い活動」の意味

動かなくなった時間が、命を削っていた―透析患者の日常に潜んでいた「軽い活動」の意味

  今から振り返ると、ずいぶん極端な時代でした。 腎臓の病気を持つ人は、とにかく安静にしていなさい。 私が学生だった頃、その考え方はごく当たり前のように受け入れられていました。 身体を動かすことは負担であり、危険であり、…
眠りすぎってどうなの?―9時間睡眠が語るもの

眠りすぎってどうなの?―9時間睡眠が語るもの

  昔話には、眠りが特別な力をもつ世界が描かれています。 グリム童話の「茨姫」では、姫が深い眠りに落ちることで物語が動き始めます。 長く続く眠りは、外からは静止して見えても、その奥では何かが変わろうとしている“時間”とし…
ピックルボールのコートで起きていること―“遊ぶ量”が心をどう動かすのか

ピックルボールのコートで起きていること―“遊ぶ量”が心をどう動かすのか

  「ピックルボール」というスポーツがあるらしいです。 この論文を読むまで、私は聞いたこともありませんでした。 調べてみると、アメリカでは高齢者を中心に人気が広がり、朝の公園でも人が自然に集まるといいます。 激しい動きは…
いつ動くかが脳を守る―フラミンガム研究が描く「中年期・老年期の運動」と認知症リスク

いつ動くかが脳を守る―フラミンガム研究が描く「中年期・老年期の運動」と認知症リスク

  映画『ファーザー』(2020年)の序盤には、不穏な静けさがあります。 さっきまでそこにあった椅子がわずかに動いていたり、娘だと思っていた人物の顔が別人のように入れ替わったり、時間の継ぎ目がどこか噛み合わない。 観客は…
抗加齢のトレーニングは肌も若返らせる―筋トレがもたらす「内側からの美容効果」

抗加齢のトレーニングは肌も若返らせる―筋トレがもたらす「内側からの美容効果」

  運動は筋肉や心臓だけでなく、肌にも良い効果がある―そんな話を聞くと、少し疑い深い気持ちが頭をもたげるのですが、世代的にはやはり興味津々の話題です。 肌の張りやくすみ具合は、食事や睡眠、紫外線の影響だけでなく、日々の活…
尿検査が示す未来のサイン―アルブミン尿と認知症の意外なつながり

尿検査が示す未来のサイン―アルブミン尿と認知症の意外なつながり

  日々の診療で「タンパク尿が出ていますね」と患者さんにお伝えする場面は少なくありません。 タンパク尿が心臓病や脳卒中のリスクを高めることはよく知られていて、そういう時は食事や血圧の管理についてお話することになります。 …