同じ年数を、性格には数えていない

同じ年数を、性格には数えていない

  「三つ子の魂百まで」といいます。 60歳を過ぎて何十年ぶりかに同級生と会うと、最初は誰なのかわかりません。 ところが、共通の思い出をたどりながら話しているうちに、目の前の顔へ昔の面影が少しずつ重なってきます。 そして…
坂は一本ではない

坂は一本ではない

  人の名前がとっさに出てこない。 暗算に前より少し手間取る。 若いころほど頭が回らなくなった、と感じる場面は、40を過ぎたあたりから増えてきます。 こうした手応えから、多くの人が一つの見取り図を持っています。 頭の働き…
疲れているのに、なぜ長く走ってしまうのか ― スマートウォッチに残った、努力と回復のずれ

疲れているのに、なぜ長く走ってしまうのか ― スマートウォッチに残った、努力と回復のずれ

  疲れている日ほど、早く休めばいい。 頭ではそうわかっています。 けれど現実には、そうならないことがあります。 遅れた仕事を片づける。 足りなかった勉強時間を埋める。 昨日できなかった分を、今日の自分に上乗せする。 そ…
楽器を習ってきた人と、そうでない人 ― 退屈な課題で見えた、注意の途切れにくさ

楽器を習ってきた人と、そうでない人 ― 退屈な課題で見えた、注意の途切れにくさ

  月に3回ほど通うギター教室で、私はよく講師の先生に苦笑いされます。 大好きなビートルズの初期の曲を弾きたくて、自分で課題曲に選びました。 聴いていると若々しく、リズムも小気味よく、こちらの足まで動きそうになります。 …
卵は、控えたほうが安心なのか ― 39,498人を15年追って見えた、食卓とアルツハイマー病の関係

卵は、控えたほうが安心なのか ― 39,498人を15年追って見えた、食卓とアルツハイマー病の関係

  外来で栄養の話になると、「卵はどのくらい食べてもいいのでしょうか」と聞かれることがあります。 すぐに答えられそうで、案外そうでもありません。 卵は長いあいだ、食卓の人気者であり、少し疑われてきた食材でもあります。 コ…
誰かと食べた回数に、幸福感の差が表れる ― 142カ国15万人と米国20年の調査で見た、共食と幸福感

誰かと食べた回数に、幸福感の差が表れる ― 142カ国15万人と米国20年の調査で見た、共食と幸福感

  昼食を一人で済ませる日があります。 スマホを見ながら弁当のふたを開け、食べたことは覚えていても、どんな時間だったかはあまり覚えていない。 別の日には、誰かと同じ机につき、同じ弁当を前にして、短い会話を交わす。 食事は…
落ち込むから飲むのか、飲むから落ち込むのか ― 一般成人816人を12か月追った、心の状態と飲酒量の時間順序

落ち込むから飲むのか、飲むから落ち込むのか ― 一般成人816人を12か月追った、心の状態と飲酒量の時間順序

  何度目かのアラームの音で、「彼」はようやく目を開けました。 頭が重い。胃がむかむかしている。 みぞおちあたりに、昨日の酒がまだ残っている感じがします。 カーテンの隙間から入る朝の光が、目に刺さるほどまぶしい。 昨夜は…
学会発表でウケ狙いはアリか―会場で冗談と笑いを本気で数えた人たちがいた

学会発表でウケ狙いはアリか―会場で冗談と笑いを本気で数えた人たちがいた

  学会の午後2時すぎ。 ランチョンセミナーでしっかり食べたあとの、最初のセッション。 人類が最も眠くなる時間帯です。 スライドは6枚目、グラフは縦軸も横軸も正しく、色分けも完璧で、そして誰も聞いていません。 聴衆の目は…
友だちとドラムをたたくと、オキシトシンは上がった―でも、気分が上向いたのは初対面の輪だった

友だちとドラムをたたくと、オキシトシンは上がった―でも、気分が上向いたのは初対面の輪だった

  歓迎会の班分け、初対面の研修、子ども会のワークショップ。 知らない同士でも、同じことを一緒にやれば距離は縮まる。 そう信じて、私たちは輪をつくり、手を打ち、声をそろえます。 ああいう場が何度も組まれるのは、それが人を…
ひらめきたいなら、少し手を動かすほうがいい ―退屈な動画と少し面白い動画で見えた、発想の条件

ひらめきたいなら、少し手を動かすほうがいい ―退屈な動画と少し面白い動画で見えた、発想の条件

  シャワーを浴びているとき、散歩をしているとき、庭の草をむしっているとき。 机の前では出てこなかった答えが、不意に形を取り始めることがあります。 こうした経験から、多くの人は一つの考えを信じてきました。 単調で退屈な時…
つられ笑いは、誰にでも通じるのか―自閉スペクトラム症成人でみた、笑い声の効く場面・効かない場面

つられ笑いは、誰にでも通じるのか―自閉スペクトラム症成人でみた、笑い声の効く場面・効かない場面

  誰かが笑っている。 内容はよく聞こえない。 それなのに、つられて口元がゆるむ。 あとから「何がおかしかったの」と聞かれると、うまく答えられない。 あのとき反応していたのは、話の中身ではなく、先に聞こえた笑い声だったの…
涙が届く場所―「女性の涙」は、男性の攻撃性にブレーキをかけていた

涙が届く場所―「女性の涙」は、男性の攻撃性にブレーキをかけていた

  サンジや冴羽獠のように、女性の涙の前で男性の勢いが急にほどける場面は、アニメや映画で何度も繰り返されてきました。 私たちはそれを、やさしさや騎士道精神の表れとして理解してきました。 あるいは、攻撃を控えるための演技だ…