足元ではなく、斜め下流に

足元ではなく、斜め下流に

  浅い川に足を入れると、足の後ろで水が小さく巻きます。 流れがぶつかってできた乱れは、足のすぐ後ろにあって、少し下流へ行けば消えていく。 乱れがおよぶのは、それを生んだものの足元あたり。 海底に残る跡も、そのそばにある…
夜の森で、サンショウウオは何色だったのか ― ファイアサラマンダーの皮膚分泌物に見えた青緑の合図

夜の森で、サンショウウオは何色だったのか ― ファイアサラマンダーの皮膚分泌物に見えた青緑の合図

  ヨーロッパでよく調べられてきた両生類の一つに、ファイアサラマンダーがいます。 黒地に黄色い斑(まだら)模様を持ち、毒を持つ生きものです。 その派手な色彩は、「食べるな」と知らせる警告色の代表例として、長く教科書的に扱…
雨音の届く深さで、種は目を覚ます — イネ種子の発芽を早めた雨滴音と重力感知細胞

雨音の届く深さで、種は目を覚ます — イネ種子の発芽を早めた雨滴音と重力感知細胞

   海の音山の音みな春しぐれ 中川宋淵   雨が降ると、世界の音の構造が変わります。 普段は別々に聞こえていた音が、雨音という一つの層の中で重なり、海鳴りも山の響きも、春の時雨の一部として耳に届きます。 人間はその音を…
最初の一息は、一頭では始まらない―ドミニカ沖で記録されたマッコウクジラの協力出産とコーダ変化

最初の一息は、一頭では始まらない―ドミニカ沖で記録されたマッコウクジラの協力出産とコーダ変化

  水中で息を吐ききると、体はゆっくり底へ向かって引かれていきます。 プールの底で仰向けになり、遠ざかる水面を見上げたときの、あの頼りなさです。 水の中でも重力は消えません。 マッコウクジラの新生児も、生まれた瞬間からこ…
何日先の天気を予測できるようになったのか―ECMWFの中期予報50年史と、衛星観測・アンサンブル・AI予報システム

何日先の天気を予測できるようになったのか―ECMWFの中期予報50年史と、衛星観測・アンサンブル・AI予報システム

  台風の季節になると、かつては気象庁が発表する情報が、ほぼ唯一の手がかりでした。 ところが最近では、スマートフォンのアプリを開けば、1週間単位で先を見通す台風の予想進路図を確認することができます。 複数の数値予報モデル…
氷を育てる塩、氷を溶かす塩

氷を育てる塩、氷を溶かす塩

  元アメリカ副大統領ゴア氏が出演したドキュメンタリー映画『不都合な真実』(2006年)で、南極の巨大な氷の塊が轟音とともに崩れ落ちるシーンは、地球温暖化の象徴として、私たちの脳裏に深く刻まれました。 ですから、「南極の…