祈りのあとに、雨が来た ― 雨乞いと乾燥期間の確率 2026/07/24Posted in文献, 日常, 科学, 自然環境 今年、沖縄本島のダム貯水率は、4月末から5月初めにかけて50%を下回りました。 その後の雨で、7月半ばには平年並みまで回復しています。 雨を待つことは、沖縄では昔話だけではありません。 2024年3月31日、うる…
熱波と進行した腎臓病 ― 負担と病院までの時間にみる地域格差 2026/07/22Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと, 自然環境 沖縄の夏は、少し歩くだけで背中に汗がにじみ、喉が渇きます。 汗で体の水分が減ると、腎臓は尿として出す水分を減らし、体液の量と濃さを保とうとします。 腎臓の病気と聞くと、多くの人は血圧や血糖、年齢といった、その人自身の…
先に入れた火が、巨木を残した ― ジャイアントセコイアと計画的な火入れ 2026/07/20Posted in文献, 自然環境 たき火をするとき、私たちは足元の枯れ葉を払い、燃えるものと火を離します。 火を近づけないことは、森を守る基本ともされてきました。 カリフォルニアのシエラネバダ山脈でも、1世紀以上、火を消す管理が続きました。 そこに群…
光合成のはじまりをたどる ― ツノゴケの葉に紛れた小さな緑 2026/06/23Posted in文献, 生物, 科学, 自然環境 24億年前、太陽光の力で水を分解する仕組みが現れると、地球の空気に酸素が含まれ始めました。 私たちが日々目にする緑は、その仕組みの現役の末裔です。 窓辺の観葉植物も、街路樹も、光を浴びて水と空気から糖を作り、生き物の…
海は、ずっとそこにあったのか ― 地球の水のはじまりをたどる 2026/06/20Posted in文献, 科学, 自然環境 海はずっとそこにあります。 足元に大地があるように、海もまた、地球ができたときからそこにあるものだと、私たちは感じています。 ところが科学者たちは長いあいだ、この海の水は、最初から地球の表面にあったのではないと考えて…
硬い殻の傷のあと ― バッタの脚に残るもの 2026/06/18Posted in文献, 生物, 科学, 自然環境 夏の終わり、木の幹にセミの抜け殻が残っていることがあります。 指でつまむと、軽くて、固くて、中はからっぽです。 私たちはそれを見て、虫の殻とは、いちど固まれば作り直せない、出来上がったきりの入れ物なのだと考えがちです…
縁まで、あと少し ― エルニーニョと雨雲の境目 2026/06/16Posted in文献, 日常, 科学, 自然環境 沖縄の夏、海の上に湧き上がる雲をながめていると、午後には雨が降ります。 海が暖かいほど雲は高くなり、雨脚も強くなる。 そう感じるのは自然です。 大きな原因には、大きな結果がついてくる。 強く押せば、それだけ大きく返っ…
足元ではなく、斜め下流に 2026/06/11Posted in文献, 科学, 自然環境 浅い川に足を入れると、足の後ろで水が小さく巻きます。 流れがぶつかってできた乱れは、足のすぐ後ろにあって、少し下流へ行けば消えていく。 乱れがおよぶのは、それを生んだものの足元あたり。 海底に残る跡も、そのそばにある…
夜の森で、サンショウウオは何色だったのか ― ファイアサラマンダーの皮膚分泌物に見えた青緑の合図 2026/06/03Posted in文献, 生物, 科学, 自然環境 ヨーロッパでよく調べられてきた両生類の一つに、ファイアサラマンダーがいます。 黒地に黄色い斑(まだら)模様を持ち、毒を持つ生きものです。 その派手な色彩は、「食べるな」と知らせる警告色の代表例として、長く教科書的に扱…
雨音の届く深さで、種は目を覚ます — イネ種子の発芽を早めた雨滴音と重力感知細胞 2026/04/30Posted in文献, 生物, 科学, 自然環境 海の音山の音みな春しぐれ 中川宋淵 雨が降ると、世界の音の構造が変わります。 普段は別々に聞こえていた音が、雨音という一つの層の中で重なり、海鳴りも山の響きも、春の時雨の一部として耳に届きます。 人間はその音を…
最初の一息は、一頭では始まらない―ドミニカ沖で記録されたマッコウクジラの協力出産とコーダ変化 2026/04/09Posted in文献, 生物, 自然環境 水中で息を吐ききると、体はゆっくり底へ向かって引かれていきます。 プールの底で仰向けになり、遠ざかる水面を見上げたときの、あの頼りなさです。 水の中でも重力は消えません。 マッコウクジラの新生児も、生まれた瞬間からこ…
雨は、どこから来るのか―南部アマゾンで見えてきた、森林消失と降雨の連鎖 2026/01/26Posted in文献, 自然環境 最近はスマホアプリの雨雲レーダーで雨の様子が視覚化されるようになりました。 雲の形、天気図、気圧の動き。 けれども、そこに映っているのは、その時の雨の姿だけです。 雨粒が落ちるまでの過程には、その前に「水が空へ戻る工…
エウロパに欠けているもの―生命を支える条件は何か 2026/01/23Posted in文献, 科学, 自然環境 木星のまわりを回っている衛星エウロパは、太陽系の中でも注目されてきた天体です。 その理由は、分厚い氷の下に液体の海があり、そのさらに下には岩があると考えられているからです。 水と岩がふれ合う場所は、生命にとって大切だ…
何日先の天気を予測できるようになったのか―ECMWFの中期予報50年史と、衛星観測・アンサンブル・AI予報システム 2026/01/15Posted in台風, 文献, 科学, 自然環境 台風の季節になると、かつては気象庁が発表する情報が、ほぼ唯一の手がかりでした。 ところが最近では、スマートフォンのアプリを開けば、1週間単位で先を見通す台風の予想進路図を確認することができます。 複数の数値予報モデル…
環境の速度と身体の時間―工業化とミスマッチの進化史 2025/12/18Posted in文献, 日常, 歴史, 自然環境 映画『Koyaanisqatsi(コヤニスカッツィ)』では、雲の影が大地を横切り、光が山肌を流れていく映像が続きます。 そのゆるやかな流れのあと、映像は突然、都市の光の格子へと切り替わります。 高速道路を走る車列が光…
アフリカの森は“吸収源”ではなくなった―衛星が見た大陸規模の反転 2025/12/17Posted in文献, 自然環境 夜のアフリカ大陸を、衛星がゆっくり横切ります。 雲の割れ目からのぞく濃い緑は、地球が吸い込む二酸化炭素の大きな受け皿です。 けれど、かつて濃い緑で埋まっていた帯が、ある年を境にわずかに薄くなっている。 10年分の記録…
生き物のいない呼吸―土がひとりで炭素を燃やすとき 2025/12/04Posted in文献, 科学, 自然環境 映画『オデッセイ』で、取り残された宇宙飛行士が火星の砂にジャガイモ畑をつくる場面があります。 乾いた赤い地面に、人間の排泄物や残り物を混ぜ、酸素や水を与えることで、「ただの砂」が食料を生み出す場へと変わっていきます。…
“予測”する社会が次に望むもの―AIが挑む地震の未来図 2025/12/01Posted in文献, 科学, 自然環境 映画『カリフォルニア・ダウン』(2015年、ブラッド・ペイトン監督)には、巨大地震の前触れを捉えた研究者が、迫る破壊の気配をどうにか伝えようとする場面があります。 都市の地表がわずかに揺れ、その変化がやがて大きな崩壊…
緑が支える心のバランス―室内の小さな自然がつくるストレスの緩衝帯 2025/11/30Posted in心理学, 文献, 自然環境 映画『サンシャイン2057』には、宇宙船イカロス2号という閉ざされた人工空間が登場します。 その船内で唯一“生命の色”を放つのが、「オキシジェン・ガーデン」と呼ばれる緑の部屋でした。 金属と機械音に満ちた環境のなかで…
空からの警鐘―衛星が捉えた地震の「息づかい」 2025/11/17Posted in文献, 科学, 自然環境 忘れもしない、あの記憶。 テレビの画面に目が離せず、ただ事態が収まるのを待つしかない無力感。 地震大国に住む私たちにとって、地震や津波は日常と隣り合わせの現象です。 もし、ほんの数日でも前に「何か」が分かれば。そんな…
マングローブ発・耐熱サンゴ作戦―気候変動時代のサンゴ礁再生 2025/08/24Posted in文献, 自然環境 サンゴ礁は地球温暖化による海水温の上昇や酸性化、酸素濃度低下など、複合的な環境変化にさらされ、生き残りの危機に直面しています。 近年では、熱耐性を持つサンゴを利用して礁全体の回復力を高める「積極的な復元戦略」が注目さ…
太陽光発電とヒートアイランド現象―昼の光、夜の熱 2025/08/17Posted in文献, 科学, 自然環境 クリーンなエネルギーの象徴として、太陽光発電は世界各地で設置面積を広げています。 屋根の上から広大な砂漠まで、整然と並んだパネル群は、その風景を異世界めいた空気に包み込みます。 しかし、「ひとつ手を打てば、別の所でし…
風を読む鳥―アカアシカツオドリの省エネ飛行術 2025/08/14Posted in文献, 生物, 自然環境 私たち人間が、乗り換え案内アプリで楽なルートを探すように、海を生きる鳥もまた、日々の移動に知恵を絞っています。 インド洋のチャゴス諸島に暮らすアカアシカツオドリもその一例です。 彼らの主食は、海面を滑空するトビウオ。…
童謡?を歌うヒョウアザラシ―そのメロディーに込めたメッセージ 2025/08/11Posted in文献, 生物, 自然環境 南極の氷の世界。 繁殖期を迎えたオスのヒョウアザラシは、水中で何時間もぶっ通しで歌い続けるのだそうです。 これは求愛や縄張りを主張するための行動だとされています。 彼らは数種類の決まった鳴き声を組み合わせて、個体ごと…
氷を育てる塩、氷を溶かす塩 2025/07/17Posted in文献, 自然環境 元アメリカ副大統領ゴア氏が出演したドキュメンタリー映画『不都合な真実』(2006年)で、南極の巨大な氷の塊が轟音とともに崩れ落ちるシーンは、地球温暖化の象徴として、私たちの脳裏に深く刻まれました。 ですから、「南極の…