年が明けると、多くの人が何かを始めようとします。
運動、節酒、減量、貯金。
紙に書いたり、家族に宣言したり、スマートフォンにメモを残したりもする。
それでも二月になる頃には、その話題は自然に消えていきます。
三日坊主という言葉がありますが、実際には三日も続かないことも少なくありません。
新年の抱負が続かない理由は、意志の弱さだけでは説明しきれません。
調査では、多くの人が最初から「どうせ続かないだろう」と感じながら抱負を立てており、すべての目標を達成できたと答える人はごく一部にとどまっています。
失敗は例外ではなく、むしろ前提に近い。
その前提の上で、私たちは同じ形の目標を毎年くり返し立てています。
その前提の上に立ったままでも、見方を少し変える余地はあります。
近年の行動科学では、目標の内容そのものよりも、その目標がどのように位置づけられているかが重要だと考えられています。
鍵になるのは、「何をするか」ではなく、「なぜそれをするのか」をどのような形で言語化しているかです。
提案されているのは、行動を支える目的を三つの観点から捉え直す方法です。
1.長期的な方向づけ
2.自分自身にとっての意味
3.自分以外への影響。
この三つが重なったとき、行動は一時的な決意ではなく、生活の一部として残りやすくなります。
まず一つ目は、目標を長い時間軸に置くことです。
「今年は運動する」という抱負は分かりやすい一方で、どこへ向かっているのかが見えません。
これを、「年齢を重ねても自分の足で出かけられる体力を保つために、今年は週2回30分歩く」と書き換える。
すると、運動は一年限りの挑戦ではなく、これから先につながる途中経過になります。
短期的な成果が出なくても、方向は失われにくくなります。
二つ目は、その行動が自分にとってなぜ大切なのかを言葉にすることです。
「体重を減らす」ではなく、「息切れせずに階段を上りたい」「診察室で生活の話をするとき、説得力を失いたくない」といった具合です。
ここでは立派な理由は必要ありません。
むしろ、他人に説明しなくても自分が納得できる理由であることが重要です。
意味が自分の内側にあると、途中で調子を崩しても立て直しが効きやすくなります。
三つ目は、目標を自分の外に少しだけ開くことです。
「運動する」という目標を、「子どもや孫と出かける時間を楽しむために、私が元気でいるため週2回運動する」と書き換える。
あるいは、「家族に余計な心配をかけないため」「仕事を最後まで続ける体力を保つため」としてもよい。
行動が誰かの生活と結びついた瞬間、続ける理由は一つではなくなります。
こうした考え方を支える研究では、人生に目的意識を持つ人ほど、困難な状況でも感情や行動を調整しやすく、健康や仕事の面でも安定しやすいことが報告されています。
ただし、ここで紹介している論考は提案型であり、達成率が何%改善したといった具体的な数値を示すものではありません。
それでも、新年の抱負が消えていく過程を思い返すと、この視点には現実味があります。
多くの場合、消えているのは行動そのものではなく、その行動を支えていた理由です。
理由が一つしかない目標は折れやすい。
複数の文脈につながった目標は、形を変えながら残りやすい。
行動を一本の糸で支えるか、いくつかの糸で編むか。
その違いに近いと言えるかもしれません。
新年の抱負を達成する秘訣は、特別な意志力ではありません。
目標を少し書き換え、生活の中に置き直すこと。
それだけで、同じ行動が違った重さを持ち始めます。
今年の抱負が、二月になってもまだ言葉として残っているかどうか。
達成できるかどうかよりも、途中で消えない形にできるか。
その最初の書き方の工夫が、新しい一年を現実に近づけてくれます。
参考資料:
Ghinassi F, Chen MRJ. How putting purpose into your New Year’s resolutions can bring meaning and results. The Conversation. December 19, 2019. Accessed December 31, 2025. https://theconversation.com/how-putting-purpose-into-your-new-years-resolutions-can-bring-meaning-and-results-129182

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。
