熱波と進行した腎臓病 ― 負担と病院までの時間にみる地域格差 2026/07/22Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと, 自然環境 沖縄の夏は、少し歩くだけで背中に汗がにじみ、喉が渇きます。 汗で体の水分が減ると、腎臓は尿として出す水分を減らし、体液の量と濃さを保とうとします。 腎臓の病気と聞くと、多くの人は血圧や血糖、年齢といった、その人自身の…
低たんぱく食は腎臓を守るのか ― 尿から見えた、食事指導と実際の摂取量の差 2026/06/05Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 低たんぱく食が腎臓を守るのかどうか。 この問題に、専門家たちは30年以上、はっきりした答えを出せずにいました。 ある研究では効果あり、別の研究では差なし。 同じ病気を扱い、似た食事を指示しているのに、結論が研究ごとに…
AIは病気を当てた。そのあと、何が動いたのか ― 腎臓診療で見えた、予測と一手の距離 2026/06/04Posted inAI, 医療全般, 文献, 腎臓のこと, 透析関連 入院した人の腎臓が、働きを落とし始める。 その急変を、AIが半日から2日ほど前に知らせる。 検査値がまだ正常に見える段階で、カルテに並ぶ細かな数字の動きから、危険を見積もる仕組みです。 腎臓の領域では、こうした予測の…
腎臓を守る薬が逆効果に見えるとき―検査の数字が悪く見えても、薬を続ける理由 2026/04/04Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 腎臓の中には、糸球体と呼ばれる微小なフィルターが、左右あわせておよそ200万個あります。 血液はここでこし取られ、老廃物や余分な水分が尿として外に出されます。 ところが、高血圧や糖尿病が長く続くと、このフィルターには…
「遺伝」という言葉の正体―CRIC研究が見つめた、家族と腎臓病の進行 2026/03/12Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 家族に同じ病気の人が多いとき、多くの人はこう考えます。 「これは遺伝だろう」と。 そして不思議なことに、「遺伝」と説明されると、それ以上深く考えなくても、どこか納得してしまうものです。 仕組みを詳しく知らなくても、原…
睡眠時血圧と腎機能の新たな視点―夜の血圧が何を変えるのか 2026/01/27Posted in健康, 医療全般, 文献, 腎臓のこと 夜中にふと目が覚めたとき、耳のあたりで脈の拍動を感じることがあります。 体は横になっていますし、呼吸も落ち着いていますが、心臓の鼓動を意識してしまう時間です。 朝になれば忘れてしまって、起床後に測った血圧が問題なけれ…
慢性腎臓病(CKD)と痛み止め―ロキソプロフェンなどの“NSAIDs”をどう考えればいいのか 2025/11/23Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 慢性腎臓病(CKD)の人の外来では、「腎臓に悪いと聞いたので、痛み止めは飲まないようにしています」と話す人が多くいます。 たしかにロキソプロフェンやイブプロフェンなどのNSAIDs(エヌセイズ:非ステロイド性抗炎症薬…
「小さな異常」を見逃さない―CKD早期発見に必要な“もう一度の検査” 2025/10/29Posted in文献, 腎臓のこと 外来で患者さんの検査結果を見ていると、eGFR(腎機能を示す数値)が少し低い、あるいは尿中アルブミンがやや高いという結果を目にすることがあります。 その場では大きな異常に見えなくても、こうした小さなサインが慢性腎臓病…
病気の受け止め方が変われば、人生も変わる――慢性腎臓病と心の関係 2025/10/23Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 外来で患者さんから「先生、腎臓の薬ってないんですか?」と尋ねられることがあります。 腎保護作用のある血圧の薬などをすでに内服してもらっていることを伝えますが、「腎臓を良くするわけではないんですね」とポツリとつぶやかれ…
女性ホルモンが守る腎臓―分子レベルの探求 2025/10/22Posted in文献, 腎臓のこと 日常診療をしていると、腎臓の病気はなぜか男性のほうが重く進行していくように感じます。 実際、日本透析医学会の統計でも、透析を始める患者は男性がおよそ女性の2倍にのぼると報告されています。 数字の裏には、腎臓という臓器…
尿検査が示す未来のサイン―アルブミン尿と認知症の意外なつながり 2025/10/19Posted in健康, 医療全般, 文献, 神経科学, 腎臓のこと 日々の診療で「タンパク尿が出ていますね」と患者さんにお伝えする場面は少なくありません。 タンパク尿が心臓病や脳卒中のリスクを高めることはよく知られていて、そういう時は食事や血圧の管理についてお話することになります。 …
赤血球のばらつきが告げる―腎臓の初期ダメージの知らせ 2025/10/17Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 日々の診療で、数多くの血液検査データに目を通します。 その中にある「RDW(Red cell Distribution Width:赤血球分布幅)」という項目は、赤血球の大きさのばらつきを示す指標で、主に貧血の種類を…
運動療法が腎臓病患者に届かない理由―ヨーロッパの現場から見えた構造的な壁 2025/10/07Posted in健康, 医療全般, 文献, 腎臓のこと 私が外来で患者さんに「運動していますか」と尋ねると、多くの方が「運動した方がいいのは分かっているけど…」と歯切れが悪い返事をされます。 今年の夏は特に暑かったというのもありますが、忙しさや体調の波に加えて、誰かが一緒…
運動は腎臓を守る?―11年間にわたる追跡調査から見えたこと 2025/10/03Posted in健康, 文献, 腎臓のこと 診察室で患者さんに「腎臓を長持ちさせる方法はありますか」と尋ねられることがあります。 減塩や体重管理といった生活習慣の改善はよく知られていますが、「運動」についてはどうでしょう。 かつては腎臓に負担をかけることを避け…
腎臓とビタミンC―隠された濃度のルール 2025/09/30Posted in健康, 文献, 腎臓のこと, 透析関連 意外に思うかも知れませんが、犬や猫など、多くの動物は自分の体内でビタミンCを合成できます。 私たちヒトは合成に必要な酵素の遺伝子が働かなくなっているので、外から補うしかありません。 この生物学的な事実を思うと、日常診…
足し算ではなく掛け算の効果―腎臓と糖尿病を守る併用療法のインパクト 2025/09/18Posted in文献, 腎臓のこと 診察室で、この言葉を口にするとき、私たち医療者も沈痛な思いです。 「残念ですが、そろそろ透析の準備を始めなければなりません。」 その瞬間、患者さんの表情が曇り、ご家族の手にも力がこもるのを感じます。 食事療法や薬の調…
腎機能と感染症リスク―見えにくい関係を解き明かす 2025/09/12Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 慢性腎臓病と聞くと、多くの人は透析や心臓病などとの関連を思い浮かべるかもしれません。 しかし実際には、感染症もまた腎臓病患者にとって深刻な脅威となっています。 米国や欧州のデータでは、慢性腎臓病の患者のおよそ4分の1…
腎生検なしでIgA腎症を診断できないか―インド研究の挑戦 2025/08/18Posted in文献, 腎臓のこと IgA腎症は、腎臓の糸球体にIgAという抗体が沈着して起こる、比較的よく見られる腎疾患です。 確定診断には腎生検が必要ですが、この検査は入院や体への負担が避けられません。 採血だけで診断や予後の見通しが立てられれば、…
ご長寿の温かな思い―70歳以上の生体腎提供は可能か? 2025/05/24Posted in文献, 腎臓のこと 紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。 人生100年という言葉をよく耳にするようになりました。 年齢を重ねるとどうしても病気との付き合いが長くなり…
慢性腎臓病患者にGLP-1受容体作動薬はどのように役立つのか 2025/05/16Posted in文献, 腎臓のこと 紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。 慢性的に腎臓の機能が低下した状態を慢性腎臓病(CKD)と呼びます。 特に糖尿病を併発しているとCKDが進行…
70代からでも間に合う!運動が腎臓にもたらす効果 2025/03/16Posted in健康, 文献, 腎臓のこと 長期にわたる体力づくりが腎臓にも良いかどうかを調べたユニークな研究が、ノルウェーのトロンハイムで行われました。 研究対象は70~77歳の住民1,156人で、平均年齢は72歳。高齢になるほど慢性腎臓病(CKD)のリスク…
持続効果で腎臓を守る ― 長期メリットが示された研究 2025/03/06Posted in文献, 腎臓のこと エンパグリフロジンは、当初は糖尿病の血糖コントロールを目的に開発されたSGLT2阻害薬です。 しかし、近年の研究で腎保護効果が注目され、慢性腎臓病(CKD)への適応拡大が進みました。 NEJMに掲載された試験(202…
経口球状炭素吸着薬の再評価 2025/03/04Posted in文献, 腎臓のこと, 透析関連 慢性腎臓病(CKD)の進行を遅らせるとされる経口球形吸着炭(OSCA)AST-120という薬剤があります。 この薬剤は腎機能が低下した際に増加する尿毒素を吸着し、体内に蓄積するのを防ぐことで、透析導入の時期を遅らせる…
高カリウム血症と慢性腎臓病(CKD) 2025/03/02Posted in腎臓のこと 高カリウム血症は、慢性腎臓病(CKD)の方に比較的よくみられる電解質異常です。 推計では、CKD患者の14〜20%に生じ、腎機能の低下に応じて増加すると報告されています。 カリウムは筋肉や神経の活動に不可欠ですが、過…
糖尿病患者の血管と慢性腎臓病(CKD)の関係 2025/02/26Posted in文献, 腎臓のこと 糖尿病の患者にとって、血管の健康を保つことは非常に重要です。 その評価指標のひとつとして「足関節上腕血圧比(ABI)」があり、これは足首と腕の血圧を比べることで血管の状態を測る検査です。 ABIは、動脈硬化による末梢…