70代からでも間に合う!運動が腎臓にもたらす効果 2025/03/16Posted in健康, 文献, 腎臓のこと 長期にわたる体力づくりが腎臓にも良いかどうかを調べたユニークな研究が、ノルウェーのトロンハイムで行われました。 研究対象は70~77歳の住民1,156人で、平均年齢は72歳。高齢になるほど慢性腎臓病(CKD)のリスク…
持続効果で腎臓を守る ― 長期メリットが示された研究 2025/03/06Posted in文献, 腎臓のこと エンパグリフロジンは、当初は糖尿病の血糖コントロールを目的に開発されたSGLT2阻害薬です。 しかし、近年の研究で腎保護効果が注目され、慢性腎臓病(CKD)への適応拡大が進みました。 NEJMに掲載された試験(202…
経口球状炭素吸着薬の再評価 2025/03/04Posted in文献, 腎臓のこと, 透析関連 慢性腎臓病(CKD)の進行を遅らせるとされる経口球形吸着炭(OSCA)AST-120という薬剤があります。 この薬剤は腎機能が低下した際に増加する尿毒素を吸着し、体内に蓄積するのを防ぐことで、透析導入の時期を遅らせる…
高カリウム血症と慢性腎臓病(CKD) 2025/03/02Posted in腎臓のこと 高カリウム血症は、慢性腎臓病(CKD)の方に比較的よくみられる電解質異常です。 推計では、CKD患者の14〜20%に生じ、腎機能の低下に応じて増加すると報告されています。 カリウムは筋肉や神経の活動に不可欠ですが、過…
糖尿病患者の血管と慢性腎臓病(CKD)の関係 2025/02/26Posted in文献, 腎臓のこと 糖尿病の患者にとって、血管の健康を保つことは非常に重要です。 その評価指標のひとつとして「足関節上腕血圧比(ABI)」があり、これは足首と腕の血圧を比べることで血管の状態を測る検査です。 ABIは、動脈硬化による末梢…
尿路は「無菌」ではなかった? 2025/02/24Posted in文献, 腎臓のこと 人間の腎臓は長らく「無菌状態」と考えられてきましたが、最近の研究によって、その前提が覆されつつあります。 尿路には自然に形成される細菌コミュニティが存在し、それらは健康な状態でも見られるというものです。 研究では、腎…
FLOW試験とSELECT試験 2025/02/20Posted in文献, 腎臓のこと GLP-1はもともとヒトの小腸から食事のたびに分泌され、インスリンを分泌する膵臓の細胞に働きかけるホルモンとして知られています。 それを人工的に活用した「GLP-1受容体作動薬(以下、GLP-1RA)」には、血糖コン…
「腎臓が悪いとタンパク質を食事制限」 : これは間違っていたのか? 2025/02/17Posted in文献, 腎臓のこと 慢性腎臓病(CKD)の食事療法といえば、長年「タンパク質を控える」が王道とされてきました。 腎臓が傷むのはタンパク質の摂りすぎが原因と考えられていたためです。実際、動物実験では高タンパク食が腎臓の負担を増やし、病気の…
痛風と慢性腎臓病(CKD) 2025/02/06Posted in医療全般, 腎臓のこと 慢性腎臓病(CKD)を抱える方は腎臓機能の低下によって尿酸を十分に排泄できず、高尿酸血症を生じやすいといわれています。米国NHANESの調査によると、痛風と診断された人のうち約3分の2がCKDステージ2以上であり、5…
高齢者の腎臓を守るために:SGLT2阻害薬の光と影 2025/02/01Posted in腎臓のこと 腎臓内科医として日常診療をしていると、腎機能低下をきたすほどの脱水状態になっている患者さんに出会います。高齢者の方に多いのですが、他院で処方されたSGLT2阻害薬をそのまま継続されているケースが多いのです。SGLT2…
体脂肪率を推定する新しい方法 2025/01/28Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 慢性腎臓病(CKD)の患者さんは、過度な体脂肪が腎機能の低下や病状の進行に影響すると報告されています。今回の研究では、スペインのコルドバ大学病院でステージIIIまたはIVのCKD患者さんを対象に、新しい推定式を用いて…
腎機能が低下しても糖尿病治療薬を諦めないために 2025/01/24Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと メトホルミンは世界中で広く使われている2型糖尿病の治療薬で、血糖値を安定的に下げるうえに体重増加の抑制も期待できるとされています。ただし、腎機能が低下した患者には注意が必要と考えられてきました。乳酸アシドーシスという…
糖尿病患者の足首上腕血圧比(ABI)と腎臓病のリスク予測 2025/01/19Posted in文献, 腎臓のこと 糖尿病を患っている方の足首と上腕の血圧の比(ABI)を長期間にわたって測定し、その変化が腎臓の機能低下とどのように関係するかを調べた研究結果が報告されました。 慢性腎臓病(CKD)は、世界人口の約10%が罹患して…
慢性腎疾患と血圧管理:「120mmHg未満」は理想的か? 2025/01/17Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 慢性腎疾患(CKD)を抱える人にとって、血圧管理は健康維持の要です。しかし、近年、従来の血圧目標値を見直す動きが出てきています。従来は「140mmHg未満」を目標としていましたが、近年発表された研究では、「120mm…
慢性腎臓病とスタチン:知っておきたいこと 2025/01/16Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の機能が徐々に低下し、体内の老廃物を十分に排出できなくなる疾患です。近年、患者数が増加傾向にあり、国民の健康を脅かす深刻な問題となっています。実はCKDの方は、心臓病や脳卒中などの心血管疾…
猫の尿臭が教えてくれること—腎臓の健康とフェリニンの秘密 2024/12/20Posted in文献, 生物, 腎臓のこと 猫を飼っている方なら一度はあの独特な尿の臭いを経験したことがあるでしょう。 その原因は「フェリニン」と呼ばれる物質にあります。 フェリニンは猫の尿に含まれるアミノ酸の一種で、分解されることで硫黄を含む揮発性化合物を生…
血圧の積み重ねが腎臓病のリスクを高める!? 2024/12/12Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 健康診断で血圧が高いと指摘された経験はありますか? 実は、高血圧は心臓病や脳卒中だけでなく、腎臓病のリスクも高めることが知られています。 最近の研究では、一時的な高血圧だけでなく、長年の血圧の積み重ねが腎臓病の発症リ…
慢性腎臓病とミネラル代謝異常 2024/11/16Posted in文献, 腎臓のこと 慢性腎臓病(CKD)は、体内のミネラルバランスを崩し、骨を弱くしてしまいます。 この状態は「CKD-ミネラルと骨障害(CKD-MBD)」と呼ばれ、骨折のリスクを高めるだけでなく、心血管疾患にもつながることが知られてい…
「永続性有機汚染物質」:PFASが腎臓に与える影響 2024/11/14Posted in文献, 腎臓のこと 最近、 PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物) という言葉がニュースなどで取り上げられる機会が増えてきました。 PFASは、フライパンのコーティングや食品包装、消火剤など、私たちの身の…
慢性腎臓病とスピロノラクトン 2024/10/25Posted in文献, 腎臓のこと 慢性腎臓病(CKD)患者における心血管リスクを減らすための方法として、これまで「スピロノラクトン」という薬が使われてきました。 価格が手頃なこともありますが、いくつかの研究から心臓や腎臓を守る可能性が期待されていたた…
尿検査で「タンパクが出ています」と言われたら 2024/10/18Posted in文献, 腎臓のこと 健診などで尿検査で「タンパクが出ています」と言われたことはありませんか? これは一見すると小さな問題に思えるかもしれませんが、腎臓の健康に深く関わる重要なサインです。 尿タンパクが検出された場合、次のような段階的な検…
慢性腎臓病(CKD)とグリコアルブミン 2024/10/14Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 慢性腎臓病(CKD)患者にとって、糖尿病管理は非常に重要です。 特に糖尿病を併発している場合、血糖コントロールの指標として一般的に「HbA1c」が使用されますが、CKDが進行すると、この指標の信頼性が低下することが知…
腎臓の健康度を代謝物が示す:リスクと保護のサイン 2024/10/01Posted in文献, 腎臓のこと 慢性腎臓病(CKD)が進行すると、腎不全に陥り、体内の老廃物が正常に排出されなくなるリスクが飛躍的に高まります。 この状態を予測する方法は数多く提案されていますが、最新の研究によると、尿や血液中の代謝物が鍵を握る可能…
腎結石のリスクを運動が減らしてくれる 2024/09/30Posted in文献, 腎臓のこと 尿管結石を経験したことのある人は、その激しい痛みをよくご存じでしょう。 しかし、日常の運動が腎結石のリスクを減らす可能性があるとしたら? 最近の大規模な研究が、腎結石予防における運動の重要性を明らかにしました。 …
慢性腎臓病(CKD)と抗酸化物質―その効果について 2024/09/27Posted in文献, 腎臓のこと 実は日本だけで約1300万人の方が慢性腎臓病(CKD)に罹患しています。 そして、この病気は、心血管疾患(CVD)を引き起こしやすいことがわかっています。 実際、CKD患者の2/3が心血管疾患に関連して亡くなってい…