心ない言葉の重さ—SNSの言葉の刃 2025/07/31Posted in心理学, 文献, 日常 ソーシャルメディアが私たちの生活を覆い尽くして久しいですね。 遠く離れた友人とも簡単につながれる便利さがある反面、匿名の背後に隠れて心ない言葉を投げつける人もいます。 このデジタルな悪意が、人の心にどれほどの波紋を広…
テレビ好きの犬たち―画面の向こうに何を見ているのか 2025/07/30Posted in文献, 日常, 生物 家で飼っている犬が、テレビに映った馬に向かってキャンキャンと吠え立てている。 かと思えば、サスペンスドラマのドアベルの音を聞いて、玄関へすっ飛んでいく。 現代ではそんな光景も決して珍しくなくなりました。 アメリカでは…
AIを使う医師は低評価?—患者心理のギャップ 2025/07/29Posted inAI, 医療全般, 文献 最近、医療の世界でも人工知能(AI)の活用が急速に進んでいます。 診断から治療計画の立案、さらには事務的な処理まで、その用途は実に多彩です。 そこで医師が、例えば「当院ではAI(人工知能)を導入しています」と宣言した…
脳の始まり、脳の終り—タウタンパク質の二つの顔 2025/07/28Posted in文献, 神経科学 人間の脳には不思議がたくさん詰まっています。 アルツハイマー病認知症という言葉を聞けば、多くの人が「タウタンパク質」を連想するかもしれませんね。 実際、タウタンパク質はこの病気の病態に深く関わっています。 今回取り上…
合理性より意地をとる―後戻りできないヒトの心理 2025/07/27Posted in心理学, 文献 1983年公開のコメディ映画に、『ナショナル・ランプーン/ホリデーロード4000キロ』というのがあります。 主人公である父親のクラークは、家族をオンボロの車に乗せ、シカゴからカリフォルニアのテーマパークを目指します。…
スマホでプロファイルされる私たち―デジタル精神医学の応用 2025/07/26Posted in心理学, 文献, 神経科学 私たちは一日に何度スマホをチェックしているでしょう。 時間を確認したり、通知を見たり、何気なく画面を点けたり消したり。 恐らく、朝起きて最初に触ってしまうのはスマホでしょうし、寝床で最後まで触れているのもスマホでしょ…
「大きな計画」を手放し、「小さな実験」で生きる 2025/07/25Posted in心理学 人生の成功は、よく一直線の階段を駆け上がるようなイメージで語られます。 次のステップへ、そしてさらにその先へと計画的に進んでいく―それが当然と考えられがちです。 ところが、この計画性が行き過ぎると、ときに私たちを追い…
体を透過する太陽光とは?―視覚への健康効果 2025/07/24Posted in健康, 文献, 科学 映画に登場するスーパーマンは、黄色い太陽の光を浴びて超人的な力を得ます。 植物が光合成をするように、彼は太陽エネルギーを自身の細胞に蓄え、驚異的な能力を発揮するのです。 一方、現実の世界でも、冬が長く日照時間が短い北…
とろけるオムライスと、冴えわたる脳の話―卵が認知症予防に貢献 2025/07/23Posted in健康, 文献, 日常, 神経科学 伊丹十三監督の映画『タンポポ』はご存知の方も多いでしょう。 この映画はラーメンをテーマにした作品ですが、強烈な印象を残しているのが作中に登場する「オムライス」です。忍び込んだ厨房で、ホームレスの男(演じているのは、あ…
子どもを傷つける親の嘲笑―「いじめ」の引き金 2025/07/22Posted in文献 自分の子どものことをどれほど理解しているのか。 2014年に公開された映画『渇き。』では、元刑事の父親が失踪した娘を探す中で、彼女が全く別の顔を持っていたという衝撃的な事実に直面します。 成績優秀で天使のように見えた…
痛風と慢性腎臓病―少しずつ、慎重に 2025/07/21Posted in健康, 医療全般, 文献 「風が吹いても痛い」から痛風。 なんとも詩的な病名ですが、経験者にとっては悪夢以外の何物でもありません。 特に慢性腎臓病(CKD)の患者さんにとっては、痛風は厄介な日常の難題です。 痛風は尿酸の結晶が関節に沈着し、激…
イギリスに学ぶ終末期医療―慎重さの光と影 2025/07/20Posted in医療全般, 文献 高齢化が進むにつれて、「人生の終盤にどれほどの治療を受けるべきか」という問題は重要です。 特に米国では(日本でも)、高齢者や認知症の進んだ方に対しても、積極的に人工呼吸器や集中治療室(ICU)での高度医療が行われる傾…
点滴対決の決着―生理食塩水vs乳酸リンゲル液 2025/07/19Posted in医療全般, 文献 この季節ですから、熱中症が疑われたり、脱水症と診断される方が多くなっています。 案内された処置室のベッドに横たわると、まず腕に針を刺される。点滴です。 あの透明な袋の中身が何かなんて、患者さんはほとんど気にしていない…
Simple is Best―音楽療法のデバイス選び 2025/07/18Posted in心理学, 文献, 音楽 どんな音楽を聞こうか。普通は曲そのものに意識が向きます。 ラジオでもスマートフォンでも、音楽を聴く手段にそれほど違いがあるとは思えないかもしれませんが、実はそう単純な話でもないようです。 英国レディング大学の研究…
氷を育てる塩、氷を溶かす塩 2025/07/17Posted in文献, 自然環境 元アメリカ副大統領ゴア氏が出演したドキュメンタリー映画『不都合な真実』(2006年)で、南極の巨大な氷の塊が轟音とともに崩れ落ちるシーンは、地球温暖化の象徴として、私たちの脳裏に深く刻まれました。 ですから、「南極の…
食直後10分のウォーキングが血糖値を下げる―短くても侮れない効果 2025/07/16Posted in健康, 医療全般, 文献 食後の血糖コントロールには運動が効果的だという話は、もはや定番です。 特に食後に30分歩くのが理想とされていますが、いざ実行するとなると、ちょっと気が重いと感じる人も多いでしょう。 実際、食後に30分も歩き続けるとい…
机上のAI、現場の人間 ―「やってみなくちゃわからない」 2025/07/15Posted inAI, 文献, 日常 人工知能(AI)が研究のアイデアまで出す時代になりました。小説を書き、絵を描き、ついには科学の世界にまで進出してきています。 これまでの研究では、大規模言語モデル(LLM)が生み出した研究アイデアが、人間の専門家が考…
変わる心肺蘇生―ひとつの正解では、もう足りない 2025/07/14Posted in医療全般, 文献 私が研修医なりたての頃に習った心肺蘇生法は、今とは少し違いました。当時は「心臓マッサージ30回、人工呼吸2回」が黄金律として教えられていました。 しかし現在は、「とにかく胸を押せ。人工呼吸は無理にしなくていい」という…
汗をかけばいいわけじゃない―ゆるい運動と心のほどよい関係 2025/07/13Posted in健康, 心理学, 文献 運動が体に良い。これはまあ、自明の理でしょう。 では、心の健康についてはどうでしょうか。 私などは昭和の人間ですから、イヤなことがあったりムシャクシャしたりするとガムシャラに汗を流して、気分を晴らそうとする派です。 …
なぜ私たちは、見知らぬ誰かの不幸をクリックするのか 2025/07/12Posted in心理学, 文献 ネットニュースで流れてくる悲惨な事件の記事を、ついクリックしてしまう。 遠い国の戦争や自然災害、映画や小説に描かれる悲劇に、私たちはなぜ心を奪われるのでしょうか。 自分とは何の関係もない、見知らぬ誰かの苦しみ。 それ…
だから、年をとってから楽器をやる 2025/07/11Posted in健康, 文献, 神経科学, 音楽 歳を重ねてから何か新しいことに手を出すというのは、なかなか骨が折れるものです。 特に音楽なんかは若いうちに始めなければ遅い、なんて言われますが、本当にそうでしょうか。 2016年公開の映画『オケ老人!』では、若い…
足跡は語る―動物たちのグレートジャーニー 2025/07/10Posted in文献, 生物, 自然環境 2001年に公開されたフランスのドキュメンタリー映画『WATARIDORI』(Le Peuple Migrateur)は、渡り鳥の視点そのものになって、彼らの長大な旅を追体験させてくれます。 スタッフは鳥たちを雛の時…
誰もいないのに誰かを感じる―気配の心理学 2025/07/09Posted in心理学, 文献 2001年に公開された映画『アザーズ』は、観る者の静かな恐怖をかき立てる作品です。 第二次世界大戦後のイギリス、人里離れた大きな屋敷で、ニコール・キッドマン演じる母親グレースが暮らしています。 屋敷には光に過敏な病気…
悪用されたら?―かくしてAIは嘘をつく 2025/07/08Posted inAI, 健康, 文献 2008年に公開された『イーグル・アイ』という映画があります。 ある日突然、見知らぬ女性から携帯電話に届く不可解な指示。それに逆らえば、自分や家族の命が危ない。 主人公たちは、姿なき脅迫者に駒のように使われ、街中を奔…
怖いもの見たさは本能だった?―不安と注意の関係 2025/07/07Posted in心理学, 文献 映画『NOPE/ノープ』(2022年)では、空に潜む謎の飛行物体が、直接視線を向けた者を襲うという設定があります。 主人公のOJはその存在が危険だと理解していながらも、ついつい空を見上げ、その不気味な存在から目を逸ら…