補充する側が、先に壊れていた―ターコイズキリフィッシュの腎骨髄で見えた、前駆細胞のDNA損傷

補充する側が、先に壊れていた―ターコイズキリフィッシュの腎骨髄で見えた、前駆細胞のDNA損傷

  免疫細胞には寿命があります。 古くなった細胞は消え、新しい細胞が骨髄の前駆細胞(成熟した免疫細胞の"もと"になる細胞)から絶えず補充される。 この補充ラインが動いているかぎり、免疫の前線は保たれます。 では、年をとっ…
涙が届く場所―「女性の涙」は、男性の攻撃性にブレーキをかけていた

涙が届く場所―「女性の涙」は、男性の攻撃性にブレーキをかけていた

  サンジや冴羽獠のように、女性の涙の前で男性の勢いが急にほどける場面は、アニメや映画で何度も繰り返されてきました。 私たちはそれを、やさしさや騎士道精神の表れとして理解してきました。 あるいは、攻撃を控えるための演技だ…
歴史の時間軸を揺さぶる脛骨— 7400万年前の地層が問い直す巨大ティラノサウルスの出自

歴史の時間軸を揺さぶる脛骨— 7400万年前の地層が問い直す巨大ティラノサウルスの出自

  ティラノサウルス・レックスは、体重およそ10トン、白亜紀の最末期に北米大陸の生態系を支配した捕食者です。 北米で知られる同時代以前の近縁種の多くが2〜3トン級にとどまるなかで、この動物だけが桁違いの体格に到達しました…
怒りの届け先が、関係の形を決めている―チンパンジーとボノボ22集団・189頭の攻撃行動をくらべた研究

怒りの届け先が、関係の形を決めている―チンパンジーとボノボ22集団・189頭の攻撃行動をくらべた研究

  穏やかで誰にでも優しい友人が、特定の相手にだけ、ひどく冷たい言葉を放つ瞬間を見たときの、あの戸惑い。 普段の温厚な姿からは想像もつかないような険しい表情。 そういう時、私たちはどちらが本当の姿なのだろうと考えます。 …
棲めない砂漠に残されたオウムの羽―パチャカマク遺跡が明かした、生きた鳥の山越え移送

棲めない砂漠に残されたオウムの羽―パチャカマク遺跡が明かした、生きた鳥の山越え移送

  ペルーの太平洋岸は、地球上でも極端に乾いた土地のひとつです。 年間降水量はほぼゼロに近く、見渡すかぎり砂と岩の風景が続きます。 熱帯雨林に棲む大型のオウムが、生きて暮らせる環境ではありません。 その砂漠の聖地パチャカ…
傷は、どこで最初に気づかれるのか―マクロファージ核が読み取る“形”の変化と即時血管応答

傷は、どこで最初に気づかれるのか―マクロファージ核が読み取る“形”の変化と即時血管応答

  「そこ、耳の後ろ、少し血が出てるよ」   そう言われて、はじめて触れてみる。 自分ではまったく気づいていなかったのに、指先にわずかな湿り気が残る。 痛みは、そのあとから追いついてくる。 異変は、自覚よりも先に、どこか…
吐き出すという判断―猫のペリットと、初期ペルム紀の捕食者が共有していた身体の知恵

吐き出すという判断―猫のペリットと、初期ペルム紀の捕食者が共有していた身体の知恵

  私たちが「吐しゃ物」と聞いてまず思い浮かべるのは、猫が毛や骨をまとめて吐き出すペリットかもしれません。 あれは体調不良でもなんでもなく、消化できないものを一度体内で集め、途中で外に出す、ごく普通の生理反応として知られ…
見終えたはずの標本が、もう一度口を開くとき―ゲーテの琥珀に閉じ込められていたのは、アリではなく私たちの注意だった

見終えたはずの標本が、もう一度口を開くとき―ゲーテの琥珀に閉じ込められていたのは、アリではなく私たちの注意だった

  ドイツ中部の町ワイマールにある旧邸宅。 その廊下の一角に、長いあいだ動かされることのなかった木製のキャビネットがあります。 引き出しには、石や鉱物、植物片が詰め込まれ、数えれば一万八千点を超える自然物が収められていま…
シャチが黙るとき―異種の知性が接続される海

シャチが黙るとき―異種の知性が接続される海

  ドキュメンタリー映画『オーシャンズ』には、解説がほとんどありません。 海が広がり、生き物が現れ、互いの距離が変わっていくだけです。 そこに友情や物語は与えられず、どこにいるのか、どこに向かうのかだけが展開されていきま…