脳の健康には、チェダーチーズの方が良いのか―25年追跡研究が問い直す「脂肪は敵」 2025/12/31Posted in健康, 文献, 神経科学 栄養指導というと、私たち医療者は長いあいだ、決まった言葉を繰り返してきました。 「塩分は控えめに」「脂肪はできるだけ避けましょう」。 とくに心臓や血管を守るという目的のもとでは、動物性の脂肪、とりわけ飽和脂肪酸を遠ざ…
続けてきただけ、かもしれません。 2025/12/30Posted in記念日 2012年12月30日に、このブログを始めました。 それから気がつけば、いつの間にか今日で13年が経ちます。 明日からは14年目に入ります。 数字にすると簡単ですが、振り返れば、ホントにいろいろなことがありました。 …
会話が途切れた一瞬で、指は画面へ伸びる―不安な心は、なぜ目の前の人よりスマホを選ぶのか 2025/12/29Posted in心理学, 文献, 日常 会話が途切れた、その一瞬です。 気まずさが生まれる前に、指は自然とスマートフォンへ伸びます。 隣に誰かが座っていても、この動きは止まりません。 気づけば、沈黙を埋める相手は人ではなく、画面になっています。 この反射の…
猫は何を話しているのか―ミャーとゴロゴロが分かれた理由 2025/12/28Posted in文献, 生物, 科学 私のクリニックは、猫と暮らしている“猫派”のスタッフが多いです。 話を聞くと、猫の鳴き声を聞いただけで状況が分かるのだと言います。 空腹なのか、かまってほしいのか、あるいは少し機嫌が悪いのか。 猫の鳴き声は、意味を運…
シャチが黙るとき―異種の知性が接続される海 2025/12/27Posted in文献, 生物 ドキュメンタリー映画『オーシャンズ』には、解説がほとんどありません。 海が広がり、生き物が現れ、互いの距離が変わっていくだけです。 そこに友情や物語は与えられず、どこにいるのか、どこに向かうのかだけが展開されていきま…
動かなくなった時間が、命を削っていた―透析患者の日常に潜んでいた「軽い活動」の意味 2025/12/26Posted in健康, 文献, 透析関連 今から振り返ると、ずいぶん極端な時代でした。 腎臓の病気を持つ人は、とにかく安静にしていなさい。 私が学生だった頃、その考え方はごく当たり前のように受け入れられていました。 身体を動かすことは負担であり、危険であり、…
女性はどうやって嘘を見抜くのか―恋愛で騙されないための行動戦略 2025/12/25Posted in心理学, 文献 コメディ映画『ラブ・アゲイン』のクライマックスでは、ある家族の庭先で、積み上げられてきた関係が一気に崩壊します。 娘が「運命の人」だと信じて連れてきた恋人は、実は父親に恋愛の手ほどきをしていた人物でした。 家族という…
動かしていない時間が、上達を決めていた―休憩中に固まる技能の記憶 2025/12/24Posted in文献, 日常, 神経科学 「音楽は、音符と音符の間にある」 フランスの作曲家クロード・ドビュッシーが残したとされるこの言葉は、芸術の核心を突いたものでしょう。 鳴っている音そのものではなく、そのあいだに生まれる緊張や流れが、音楽を音楽たらしめ…
運動前サプリの1杯―若者の睡眠時間に起きていた変化 2025/12/23Posted inスポーツ, 健康, 文献 だいぶ前の話になりますが、勤務医だった頃、夜にスポーツジムへ通っていた時期がありました。 診療を終えた後のジムでは、シェイカーを振る乾いた音と、色のついたドリンクが当たり前のようにありました。 トレーニングを終え、体…
座りすぎると、体はどう弱っていくのか―日本人を追い続けた研究が示した「もう一つの生活習慣」 2025/12/22Posted in文献 診察室で生活の話を聞いていると、「運動はしています」という返事はよく返ってきます。 週に数回のウォーキングや体操。 悪くありません。 けれど続く言葉が、「仕事は一日中デスクで、家ではテレビを見ています」だと、話は少し…
石の傷跡は残った―ネアンデルタールの「火起こし」 2025/12/21Posted in文献, 歴史 ジャン=ジャック・アノー監督の映画『人類創世(Quest for Fire)』では、火は守るものとして描かれます。 消えれば終わり。 雨は脅威で、夜は敵です。 登場人物たちは、火を中心に集まり、移動し、眠ります。 火…
自己診断の落とし穴―疾患の啓発の副作用 2025/12/20Posted in健康, 医療全般, 心理学, 文献 2020年のドキュメンタリー映画『Social Dilemma(日本語タイトル:監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影)』では、日常の何気ないクリックが、知らないうちに「自分はこういう人間だ」という確信へ形を変え…
言葉を拾う犬―ラベル・ラーナーという“稀な知性” 2025/12/19Posted in文献, 生物 世界には、言葉を“音”ではなく“構造”として受け取る犬がいます。 その数、わずか十数頭。 研究者たちは彼らを ラベル・ラーナー(label-learner)と呼び、別の知性として扱ってきました。 新しいおもちゃを…
環境の速度と身体の時間―工業化とミスマッチの進化史 2025/12/18Posted in文献, 日常, 歴史, 自然環境 映画『Koyaanisqatsi(コヤニスカッツィ)』では、雲の影が大地を横切り、光が山肌を流れていく映像が続きます。 そのゆるやかな流れのあと、映像は突然、都市の光の格子へと切り替わります。 高速道路を走る車列が光…
アフリカの森は“吸収源”ではなくなった―衛星が見た大陸規模の反転 2025/12/17Posted in文献, 自然環境 夜のアフリカ大陸を、衛星がゆっくり横切ります。 雲の割れ目からのぞく濃い緑は、地球が吸い込む二酸化炭素の大きな受け皿です。 けれど、かつて濃い緑で埋まっていた帯が、ある年を境にわずかに薄くなっている。 10年分の記録…
勝手にマジシャン紹介 ―アルバート・ゴッシュマンと「The Magic is You(魔法はあなた自身)」という奇跡― 2025/12/16Posted in勝手にマジシャン・シリーズ マジックショップの棚に並ぶ赤いスポンジボール。 そのパッケージに描かれた、ちょび髭の男性の笑顔を見たことがある人も多いはずです。 私が初めてそのボールを手に取ったとき、その柔らかい感触の奥に、ひとりの奇術師の濃密な人…
書くことは脳を編み直す―言葉がレジリエンスを育てる理由 2025/12/15Posted in心理学, 文献, 日常 映画『潜水服は蝶の夢を見る』(2007年)。 脳卒中によって身体の自由をほとんど失った編集長ジャン=ドミニク・ボビーは、左目のまばたきだけを使って自伝を書き上げます。 動かない身体は潜水服のように彼を閉じ込め、まばた…
世界はどこから始まったのか—個と宇宙をつなぐ新しい仮説 2025/12/14Posted in哲学, 文献, 科学 映画『惑星ソラリス』(1972年)では、主人公の前に立ち現れた存在が、彼自身の記憶と向き合う場面があります。 その背後に広がる惑星の海は、観測者の内面に応じて世界の輪郭を変える存在として描かれています。 この象徴的な…
脳の回転数を上げる一粒―ピーナツがもたらす“微細な加速” 2025/12/13Posted in健康, 文献, 神経科学 映画『リミットレス(2011)』では、主人公が謎の薬を飲んだ瞬間、景色の輪郭が鮮明さを増し、情報が一気に処理されていきます。 脳の働きが底から押し上げられると、世界の手触りが変わる―そんな映像が印象に残ります。 現実…
報酬と感情のズレを聴き分ける脳―人間関係の「見えない計算式」 2025/12/12Posted in心理学, 文献, 神経科学 映画『ソーシャル・ネットワーク』(2010年)には、裏切りの瞬間が“数字”と“感情”の二重露光のように重なる場面があります。 共同創業者エドゥアルドが、書類に記された自分の持ち株―30%超だった数字が、0.03%へと…
T. レックス の幼体ではなかった―ナノティラヌスが描く“もう一つの捕食者” 2025/12/11Posted in文献, 歴史, 生物, 科学 映画『ジュラシック・パーク』(1993年)の豪雨のシーンで、ティラノサウルスが闇を裂くように現れる場面があります。 観客はあの巨体に圧倒されますが、もし画面の端に、もっと細身で俊敏な影が潜んでいたとしたらどうでしょう…
眠りすぎってどうなの?―9時間睡眠が語るもの 2025/12/10Posted in健康, 文献 昔話には、眠りが特別な力をもつ世界が描かれています。 グリム童話の「茨姫」では、姫が深い眠りに落ちることで物語が動き始めます。 長く続く眠りは、外からは静止して見えても、その奥では何かが変わろうとしている“時間”とし…
AI書記は診察室の空気をどう変えるのか―画面に奪われた視線の、その先で 2025/12/09Posted inAI, 医療全般, 文献 診察室で患者が話し始めても、医師の視線は必ずしも相手の表情に向かっていないことがあります。 カルテへ入力する文字列が遅れないようにと、モニターに釘づけになってしまうことがあるからです。 距離は近いのに、視線だけが交わ…
ピックルボールのコートで起きていること―“遊ぶ量”が心をどう動かすのか 2025/12/08Posted inスポーツ, 健康, 心理学, 文献 「ピックルボール」というスポーツがあるらしいです。 この論文を読むまで、私は聞いたこともありませんでした。 調べてみると、アメリカでは高齢者を中心に人気が広がり、朝の公園でも人が自然に集まるといいます。 激しい動きは…
猫は誰に声を向けるのか―玄関100秒のコミュニケーション 2025/12/07Posted in文献, 日常, 生物 ロンドンの歩道を、青年の肩に乗った茶トラが見下ろす。 映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』のあの場面では、鳴き声よりも、首の傾け方やしっぽの動きが、青年の表情を変えていきます。 言葉を持たないはずの猫が、確かな…