誰かと食べた回数に、幸福感の差が表れる ― 142カ国15万人と米国20年の調査で見た、共食と幸福感

誰かと食べた回数に、幸福感の差が表れる ― 142カ国15万人と米国20年の調査で見た、共食と幸福感

  昼食を一人で済ませる日があります。 スマホを見ながら弁当のふたを開け、食べたことは覚えていても、どんな時間だったかはあまり覚えていない。 別の日には、誰かと同じ机につき、同じ弁当を前にして、短い会話を交わす。 食事は…
落ち込むから飲むのか、飲むから落ち込むのか ― 一般成人816人を12か月追った、心の状態と飲酒量の時間順序

落ち込むから飲むのか、飲むから落ち込むのか ― 一般成人816人を12か月追った、心の状態と飲酒量の時間順序

  何度目かのアラームの音で、「彼」はようやく目を開けました。 頭が重い。胃がむかむかしている。 みぞおちあたりに、昨日の酒がまだ残っている感じがします。 カーテンの隙間から入る朝の光が、目に刺さるほどまぶしい。 昨夜は…
時間より速く、空間より狭く ― 石垣島のオオヒキガエルに観察された100年未満の形態分岐

時間より速く、空間より狭く ― 石垣島のオオヒキガエルに観察された100年未満の形態分岐

  進化は、長い時間と広い空間があって初めて大きく動く。 そう考えると、小さな島の路肩にいる一匹のカエルは、進化の主役には見えません。 ところが石垣島のオオヒキガエルは、その見方を崩します。 わずか十数匹から始まった集団…
学会発表でウケ狙いはアリか―会場で冗談と笑いを本気で数えた人たちがいた

学会発表でウケ狙いはアリか―会場で冗談と笑いを本気で数えた人たちがいた

  学会の午後2時すぎ。 ランチョンセミナーでしっかり食べたあとの、最初のセッション。 人類が最も眠くなる時間帯です。 スライドは6枚目、グラフは縦軸も横軸も正しく、色分けも完璧で、そして誰も聞いていません。 聴衆の目は…
友だちとドラムをたたくと、オキシトシンは上がった―でも、気分が上向いたのは初対面の輪だった

友だちとドラムをたたくと、オキシトシンは上がった―でも、気分が上向いたのは初対面の輪だった

  歓迎会の班分け、初対面の研修、子ども会のワークショップ。 知らない同士でも、同じことを一緒にやれば距離は縮まる。 そう信じて、私たちは輪をつくり、手を打ち、声をそろえます。 ああいう場が何度も組まれるのは、それが人を…
ひらめきたいなら、少し手を動かすほうがいい ―退屈な動画と少し面白い動画で見えた、発想の条件

ひらめきたいなら、少し手を動かすほうがいい ―退屈な動画と少し面白い動画で見えた、発想の条件

  シャワーを浴びているとき、散歩をしているとき、庭の草をむしっているとき。 机の前では出てこなかった答えが、不意に形を取り始めることがあります。 こうした経験から、多くの人は一つの考えを信じてきました。 単調で退屈な時…
宇宙放射線は、宇宙飛行士の健康リスクを変えるのか—がんと心血管疾患の共通原因を長期追跡で検証

宇宙放射線は、宇宙飛行士の健康リスクを変えるのか—がんと心血管疾患の共通原因を長期追跡で検証

  宇宙では、地上とは違う粒子が届きます。 地球の磁場と大気に守られていた場所を離れると、電離放射線は人の体の細胞を通り抜けます。 がんの原因になりうることはよく知られていますし、心臓や血管にも影響する可能性が語られてき…
疲れは、生活の乱れだけでは読めない―米国成人のビタミンD・B12・オメガ3不足からみた疲労の背景

疲れは、生活の乱れだけでは読めない―米国成人のビタミンD・B12・オメガ3不足からみた疲労の背景

  朝、目覚ましのアラームを止めたあと、体が重い日があります。 前の晩にとくべつ遅くまで起きていたわけでもないし、週末に休みを取ったばかりなのに、頭がぼんやりしている。 そういうとき、多くの人はまず自分の生活を疑います。…
一つの証拠が支えていた1億5000万年―シンクロトロン分析が崩した「最古のタコ」の年代支点

一つの証拠が支えていた1億5000万年―シンクロトロン分析が崩した「最古のタコ」の年代支点

  たった一度の遅刻で、その人のすべてをルーズだと決めてしまうことがあります。 たった一通のそっけないメールで、関係の終わりを予感してしまうこともあります。 私たちは、ひとつの断片に全体像を背負わせがちです。 欠片が小さ…
サツマイモの離乳食は、赤ちゃんの眠りを助けるのか―乳児281人の4か月試験でみえた、夜間覚醒からの戻りやすさ

サツマイモの離乳食は、赤ちゃんの眠りを助けるのか―乳児281人の4か月試験でみえた、夜間覚醒からの戻りやすさ

  赤ちゃんが夜中に目を覚ます。 授乳し、抱き上げ、背中をさすり、もう一度寝かせる。 親にとってこの時間は、実際よりも長く感じるものです。 3割から5割の親が子どもの眠りを問題と感じていて、夜泣きや頻回覚醒は育児相談で最…
つられ笑いは、誰にでも通じるのか―自閉スペクトラム症成人でみた、笑い声の効く場面・効かない場面

つられ笑いは、誰にでも通じるのか―自閉スペクトラム症成人でみた、笑い声の効く場面・効かない場面

  誰かが笑っている。 内容はよく聞こえない。 それなのに、つられて口元がゆるむ。 あとから「何がおかしかったの」と聞かれると、うまく答えられない。 あのとき反応していたのは、話の中身ではなく、先に聞こえた笑い声だったの…
歳をとると変わるのは、眠る長さより眠りの中身―脳波のパターンと睡眠恒常性から見た加齢の変化

歳をとると変わるのは、眠る長さより眠りの中身―脳波のパターンと睡眠恒常性から見た加齢の変化

  夜中に何度も目が覚める。 寝つきに時間がかかる。 朝が早すぎる。 歳を重ねるにつれて眠りへの不満は増え、睡眠薬を求めて診察室を訪れる人も少なくありません。 そこには一つの前提があります。 十分な時間さえ眠れれば、脳は…
最初の一息は、一頭では始まらない―ドミニカ沖で記録されたマッコウクジラの協力出産とコーダ変化

最初の一息は、一頭では始まらない―ドミニカ沖で記録されたマッコウクジラの協力出産とコーダ変化

  水中で息を吐ききると、体はゆっくり底へ向かって引かれていきます。 プールの底で仰向けになり、遠ざかる水面を見上げたときの、あの頼りなさです。 水の中でも重力は消えません。 マッコウクジラの新生児も、生まれた瞬間からこ…
クローンは、どこまで続けられるのか―マウス20年・58世代で見えた、哺乳類の連続クローン作成の限界

クローンは、どこまで続けられるのか―マウス20年・58世代で見えた、哺乳類の連続クローン作成の限界

  クローンと聞くと、少し前までは「羊のドリー」が代表格でした。 名前だけで通じるほど有名になったのは、「同じ個体をもう一度つくれる」という事実が、それまでの生命観に大きな衝撃を与えたからです。 そこから私たちは、つい想…
査読を越えたAI論文―人はどこに本物を見るのか

査読を越えたAI論文―人はどこに本物を見るのか

  人気のテレビ番組のように、銘柄を隠して飲み比べると、高級ワインを言い当てられないことがあります。 署名を伏せた絵や詩でも、私たちの審美眼は名前に引っぱられがちです。 だから科学の世界には、論文から著者名を外し、同じ分…