脳ネットワークの配線が変わる年齢―9歳、32歳、66歳、83歳の“転回点” 2025/12/06Posted in文献, 神経科学 映画『インサイド・ヘッド』では、少女の頭の中に感情の舞台が広がり、成長とともに装置の配線が組み替わっていきます。 あの鮮やかな変化は、実際の脳の中で起きている“配線の折れ曲がり”と重なります。 今回の研究は、0歳…
尿酸の“裏の顔”―筋力との意外な関係 2025/12/05Posted in医療全般, 文献 尿酸といえば、健診で必ず注意される「悪者」の代表格です。 痛風の原因として恐れられ、プリン体と聞けばすぐに身構えてしまう人もいます。 数値がわずかに上がっただけで、食事や飲酒を振り返ってため息をついた経験は、多くの人…
生き物のいない呼吸―土がひとりで炭素を燃やすとき 2025/12/04Posted in文献, 科学, 自然環境 映画『オデッセイ』で、取り残された宇宙飛行士が火星の砂にジャガイモ畑をつくる場面があります。 乾いた赤い地面に、人間の排泄物や残り物を混ぜ、酸素や水を与えることで、「ただの砂」が食料を生み出す場へと変わっていきます。…
心のレコード針を持ち上げるために─“やめられない行動”はどこで生まれるのか 2025/12/03Posted in文献, 神経科学 古いレコードは、針がわずかに逸れただけで同じフレーズを延々と繰り返すことがあります。 旋律の流れが断ち切られ、円環の中へ閉じ込められる瞬間です。人の心にも、この「針飛び」が起こります。 鍵を何度も確認したり、決まった…
細胞を動かす“連結のフック”―キネシン-2が荷物を選ぶ仕組み 2025/12/02Posted in文献, 生物, 科学 映画『ヒューゴの不思議な発明』には、止まった自動人形の内部で、少年が小さな歯車の欠けを見つける場面があります。 大きな機構よりも、見落としがちな細部が全体の動きを左右する。その構図は、細胞の中にも息づいています。 …
“予測”する社会が次に望むもの―AIが挑む地震の未来図 2025/12/01Posted in文献, 科学, 自然環境 映画『カリフォルニア・ダウン』(2015年、ブラッド・ペイトン監督)には、巨大地震の前触れを捉えた研究者が、迫る破壊の気配をどうにか伝えようとする場面があります。 都市の地表がわずかに揺れ、その変化がやがて大きな崩壊…
緑が支える心のバランス―室内の小さな自然がつくるストレスの緩衝帯 2025/11/30Posted in心理学, 文献, 自然環境 映画『サンシャイン2057』には、宇宙船イカロス2号という閉ざされた人工空間が登場します。 その船内で唯一“生命の色”を放つのが、「オキシジェン・ガーデン」と呼ばれる緑の部屋でした。 金属と機械音に満ちた環境のなかで…
動き続けるバランス―夫婦の“収入と身体”がつくる交換の力学 2025/11/29Posted in心理学, 文献, 日常 映画『アメリカン・ビューティー』(1999)には、夫婦の経済的な力関係の均衡がきしみ始める瞬間が描かれています。 仕事に押しつぶされかけたレスターは、成功を積み上げる妻キャロリンの姿を前に、自らの価値が目に見えてしぼ…
予測の影が立ち上がるとき―既視感が生む“未来を知る気がする”錯覚 2025/11/28Posted in心理学, 文献 1999年公開の映画『マトリックス』では、主人公が同じ黒猫を二度見る場面が描かれています。 その一瞬のズレが世界の裏側を示す“兆し”のように感じられ、観客の胸にざらりとした既視感が残ります。 日常でも、同じように「こ…
いつ動くかが脳を守る―フラミンガム研究が描く「中年期・老年期の運動」と認知症リスク 2025/11/27Posted in健康, 文献, 神経科学 映画『ファーザー』(2020年)の序盤には、不穏な静けさがあります。 さっきまでそこにあった椅子がわずかに動いていたり、娘だと思っていた人物の顔が別人のように入れ替わったり、時間の継ぎ目がどこか噛み合わない。 観客は…
脳を動かす刺激のかけ方―短い全力と長い強度のあいだ 2025/11/26Posted inスポーツ, 健康, 文献, 神経科学 高強度インターバルトレーニング(HIIT)は「心臓に効く運動」として語られることが多いのですが、最近は「脳にもいい」という話題が増えています。 短時間で強い負荷をかける運動が気分や集中力を整えてくれるなら、文字通りの…
治療方針は“数”に揺れる―選択肢の増減が医師をどう動かすのか 2025/11/25Posted in医療全般, 文献 実際の診療では、同じ症例でも医師によって治療の選び方が揺れるものです。 腰痛の患者さんにオピオイドを続ける医師もいれば、別の薬へ切り替える医師もいます。 股関節痛の患者さんをすぐに手術に紹介する診療所もあれば、薬物治…
心房細動とコーヒー :「やめる」より「いつもの一杯」を続ける選択 2025/11/24Posted in健康, 医療全般, 文献 心房細動の患者さんから、「先生、コーヒーはもう一生やめた方がいいですよね?」と訊かれることがあります。 動悸が出た日の朝にコーヒーを飲んでいたという記憶が重なると、「これが悪かった」と感じても不思議ではありません。 …
慢性腎臓病(CKD)と痛み止め―ロキソプロフェンなどの“NSAIDs”をどう考えればいいのか 2025/11/23Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 慢性腎臓病(CKD)の人の外来では、「腎臓に悪いと聞いたので、痛み止めは飲まないようにしています」と話す人が多くいます。 たしかにロキソプロフェンやイブプロフェンなどのNSAIDs(エヌセイズ:非ステロイド性抗炎症薬…
カメレオンの眼はなぜ別々に動くのか――視神経に仕込まれた“たるみ”の進化 2025/11/22Posted in文献, 生物 昭和40年男の自分にとって、カメレオンといえば仮面ライダー第6話の「カメレオン男」でした。 体色を変え、壁をよじ登り、左右に飛び出した眼球がぎょろりと動く。 あの怪人像が、幼い感覚を今もどこかで支配している。 しかし…
その翼竜は海を濾していた―捕食者の吐き戻しが語る進化の系譜 2025/11/21Posted in文献, 生物 映画『ジュラシック・ワールド』で、翼竜の大群が観光客に襲いかかるシーンは衝撃的でした。 空から急降下し、鋭い嘴(くちばし)で人を捕らえるあの獰猛(どうもう)な姿は、多くの人にとって「翼竜」のイメージそのものかもしれま…
見た目は「肥満」でなくても。身長と比べた「お腹」が教える動脈硬化のリスク 2025/11/20Posted in健康, 医療全般, 文献 健康診断の時、お腹周りにメジャーが巻かれる瞬間は、少し緊張するものです。 思わず息を吸い込んでお腹を引っ込めたくなりますが、それは反則なので我慢します。 数値を聞いてホッとしたり、来年こそはと心に誓ったり。 その…
勝手にマジシャン紹介:「魔術の皇帝」―P.C.ソーカ 2025/11/19Posted inマジック, 勝手にマジシャン・シリーズ 私が好きな、いわゆる“ペット・マジック”と呼ばれるものは、他の愛好家たちと同じく、扱いやすいクロースアップマジックです。カード、コイン、ロープ。 手のひらの中に小さな宇宙が宿る感覚がたまらない。 けれども、やはり憧れ…
「折れない心」と不安のあいだ―「ポジティブ・シンキング」の逆説 2025/11/18Posted in心理学, 文献 若い学生さんたちや、あるいは患者さんを見ていても感じることですが、同じ困難に直面しても、すぐに立ち直る人と、深く落ち込んでしまう人がいます。 特に大学入学のような新しい環境では、人前での発表や新しい人間関係に強い不安…
空からの警鐘―衛星が捉えた地震の「息づかい」 2025/11/17Posted in文献, 科学, 自然環境 忘れもしない、あの記憶。 テレビの画面に目が離せず、ただ事態が収まるのを待つしかない無力感。 地震大国に住む私たちにとって、地震や津波は日常と隣り合わせの現象です。 もし、ほんの数日でも前に「何か」が分かれば。そんな…
ウニは脳がないのではなく、脳だけを持っている 2025/11/16Posted in文献, 生物, 科学 グレッグ・イーガンの長編『順列都市』では、人間の意識がデータとしてスキャンされ、コンピュータ上で「コピー」として生き続ける未来が描かれます。 そこでは、私たちの「自己」や「意識」は、頭蓋の中の脳という器官にすべてが収…
魚油サプリメント―オメガ3が透析患者の心血管リスクを減らす 2025/11/15Posted in医療全般, 文献, 透析関連 透析クリニックで日々患者さんたちと向き合っていると、多くの制約の中で真摯に治療に取り組む姿に、いつも頭が下がる思いです。 食事制限も多く、「あれもダメ、これもダメ」という指導の中で、何か一つでも「これを加えると良いか…
ランニング:走りすぎの境界―「10%の壁」が故障を招く 2025/11/14Posted inスポーツ, ランニング, 文献 最近はもっぱら朝ランを専門にしています。 湿り気を含んだ風が心地よく、走っていくうちに一日の輪郭が少しずつ見えてきます。 そして、調子のいい朝ほど、足が勝手に前へ出てしまうものです。 クリニック前の坂を上り、コンビニ…
バットマン効果―日常の「バグ」が優しさを呼び覚ます 2025/11/13Posted in心理学, 文献, 日常 私はマイカー通勤なので、ゆいレールはほとんど利用しないのですが、たまに乗るとその混み具合に驚かされます。 県民としては「利用者が増えているのは良いことだ」と安心する一方で、「空港まで立ちっぱなしは少しつらいな」と内心…
脳が歩数に応える―アルツハイマー病を遠ざける7,000歩の力 2025/11/12Posted in健康, 文献, 神経科学 外来では、ほとんど椅子に座って診療していますから、ランニングのない日は2000歩も歩いていない気がします。 案の定、スマホの歩数計の機能で調べてみると(どういう仕組みで測定しているのかわかりませんが)だいたい1500…