食後の血糖コントロールには運動が効果的だという話は、もはや定番です。
特に食後に30分歩くのが理想とされていますが、いざ実行するとなると、ちょっと気が重いと感じる人も多いでしょう。
実際、食後に30分も歩き続けるというのは、日常的にはなかなか大変です。
ところが、その「30分」という常識に一石を投じる興味深い研究が発表されました。
立命館大学の研究チームは、健康な若者12名にブドウ糖を摂ってもらい、3つのグループに分けて血糖値の動きを追いかけました。
一つは食後ひたすら安静にする「コントロール群」。
もう一つは、これまで推奨されてきたように食後30分たってから30分歩く「30分歩行群」。
そして最後が、今回の主役、食後すぐにたった10分だけ歩く「10分歩行群」です。
さて、結果はどうだったか。
2時間で体内に吸収された糖の総量を見てみると、歩いた両群(10分、30分)は、安静にしていた群よりも明らかに少ないという結果が出ました。
ここまでは想定内です。
面白いのは、たった10分歩いた群と、30分きっちり歩いた群とで、この総量にほとんど差がなかったことです。
しかし、勝負は「血糖値のピーク」、つまり血糖値が最も高く跳ね上がる瞬間で決まりました。
安静にしていた群のピーク値が平均181.9mg/dLだったのに対し、30分歩行群は175.8mg/dLと、統計的にはっきりとした差はありませんでした。
ところが、食後すぐに10分歩いた群は、ピーク値を164.3mg/dLまで抑え込むことに成功したのです。
血糖値が頂点を目指して駆け上がろうとする、そのまさにスタート直後を狙って歩き出すことが、どうやら効果的だったようです。
運動のつらさを表す主観的な評価でも、10分歩行は30分歩行よりずっと楽だったと報告されています。
お腹の不快感にも差はありませんでした。
忙しい日々の中で30分の運動時間をひねり出すのは難しいかもしれませんが、10分ならどうにかなりそうです。
食後に、少しだけ歩いてみる。
そんな気軽な動きが、実は体の中で意外といい仕事をしてくれるようです。
参考文献:
Hashimoto,K.,Dora,K.,Murakami,Y. etal. Positiveimpactofa10-minwalkimmediatelyafterglucoseintakeonpostprandialglucoselevels. SciRep 15,22662(2025).https://doi.org/10.1038/s41598-025-07312-y

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。
