自分の子どものことをどれほど理解しているのか。
2014年に公開された映画『渇き。』では、元刑事の父親が失踪した娘を探す中で、彼女が全く別の顔を持っていたという衝撃的な事実に直面します。
成績優秀で天使のように見えた娘・加奈子は、その裏で同級生を操り、破滅に追い込む悪魔のような側面を隠し持っていました。
この映画が示すように、親が見ている子どもの姿は一面的で、家庭環境と親の態度が子どもの性格形成に大きく影響していることがあります。
同じように、学校でのいじめ問題も家庭内に原因が潜んでいる場合があります。
親子間の会話において、ユーモアというスパイスが程よく効けば家庭は温かな場所になるでしょう。
しかし、そのスパイスが度を超え、「嘲笑」や「皮肉」として子どもに向けられると、深い心の傷となります。
2019年の研究によると、カナダのコンコルディア大学とスウェーデンのウプサラ大学の研究者が、中学生1,409人を3年間追跡調査しました。
親が子どもに批判的で皮肉な言葉を繰り返す「嘲笑的な子育て」は、子どもの心に制御できない怒りを生み出し、学校で攻撃的になったり、いじめをしたり、逆にいじめられたりするリスクを高めることが明らかになりました。
特に重要なのは、「いじめ被害加害者」になる可能性です。
この立場の子どもたちは純粋な加害者や被害者に比べて精神的に追い込まれやすく、自殺を考えるリスクも最も高いと言われています。
研究チームは、親の愛情や体罰、躾の厳しさなどを考慮しても、「嘲笑」そのものが子どもの対人関係に負の影響を与えることを強調しています。
家庭での軽い皮肉や冗談も、子どもの人間関係を徐々に傷つけてしまいます。
親から子に伝わるのは愛情や価値観だけではありません。
人との関わり方や感情のコントロール法など、目に見えない習慣も伝わってしまうのです。
子どもにとって家庭が安心できる場所であり続けるために、私たちは普段の言葉や態度を見直す必要がありますね。
何気ない軽口にも、子どもの未来を左右するほどの重みが潜んでいることを、この研究は教えてくれています。
参考文献:
Dickson, D.J., Laursen, B., Valdes, O. et al. Derisive Parenting Fosters Dysregulated Anger in Adolescent Children and Subsequent Difficulties with Peers. J Youth Adolescence 48, 1567–1579 (2019). https://doi.org/10.1007/s10964-019-01040-z

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。
