ソーシャルメディアが私たちの生活を覆い尽くして久しいですね。
遠く離れた友人とも簡単につながれる便利さがある反面、匿名の背後に隠れて心ない言葉を投げつける人もいます。
このデジタルな悪意が、人の心にどれほどの波紋を広げるのか。
英国ウォーリック大学の研究チームは、その影響を明らかにしようと実験を行いました。
実験には128人の成人(女性85人、男性43人)が参加し、架空のSNSでブログを投稿しました。
その内容は「レゴを組み立てた」や「ガーデニングを楽しんだ」といった穏やかなものでした。
参加者はその後ランダムに3つのグループに分けられ、それぞれのブログに対してネガティブ、中立、ポジティブのいずれかのコメントを読みました。
ポジティブなグループには「あなたのレゴは才能の塊ですね!」といった励ましのコメントが寄せられました。
ネガティブなグループには「そのレゴ、何歳の方が作っているのですか?」、「子供っぽすぎませんか?」という皮肉なコメントが与えられ、中立的なグループには「そのレゴセットはどこで買うのですか?」という普通の質問が向けられました。
結果は明確でした。
ネガティブなコメントを読んだグループは、中立やポジティブなグループよりも不安が著しく増加し、気分も大幅に悪化しました。
不安スコアでは、ネガティブ群は4点満点中平均2.42点に対して、ポジティブ群は1.55点に留まりました。
気分の良さを示すスコアも、ポジティブ群の3.25点に対してネガティブ群は2.37点と、明らかな差がありました。
この影響は性別による差はほとんど見られませんでしたが、年齢によって興味深い違いが現れました。
35歳未満の若年層は、それ以上の年齢層よりもネガティブなコメントに強い不安を感じました。
若い世代はアイデンティティ形成の途上で、社会的な評価や他者との比較に敏感であり、SNS特有の「見逃すことへの恐れ(FOMO)」(他人の投稿を見逃すことへの不安や焦り)も影響しているのでしょう。
年齢が上がると、こうしたネガティブなコメントへの感受性が下がる傾向がありました。
これは経験を積むことで、心理的な強さやストレスへの対処能力が高まるためだと考えられています。
しかし、この研究から得られる教訓は明確です。
オンラインでのネガティブなやり取りが私たちの心に与える影響は決して小さくありません。
特に若い世代には、自分を守るために、オンライン上での適切な距離の取り方やメンタルヘルスのサポート体制を含めたデジタルリテラシーを身につけることが重要です。
SNSの影響がますます強まる現代において、心の健康を守る具体的な方策が急務となっています。
参考文献:
Ai Y, von Mühlenen A. An experimental online study on the impact of negative social media comments on anxiety and mood. Sci Rep. 2025 Jul 22;15(1):26642. doi: 10.1038/s41598-025-10810-8. PMID: 40695933.

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。
