夜型生活が抱える“食の落とし穴”―気づきが変える深夜の衝動

夜型生活が抱える“食の落とし穴”―気づきが変える深夜の衝動

 

夜が更けるころ、つい無意識に冷蔵庫のドアを開けてしまう。

小腹が空いているのか、それとも口寂しいだけなのか―自分でも判然としないまま「つまみ食い」をしてしまうことがあります。

夜型の生活が進むなかで、夜遅くに食べる習慣は心身にどんな影響を及ぼしているのでしょうか。

背徳感と罪悪感を覚えつつ、「夜の食欲」は単なる意思の弱さなのかとふと考えてしまいます。

 

トルコ・ムーラ大学の研究チームは、夜型の生活リズムと食物依存との関係を探るために、成人490人を対象に調査を行いました。

参加者は「朝型・夜型傾向(クロノタイプ)」「夜食症候群」「マインドフル・イーティング(意識的に食べる態度)」「食物依存度」を評価する複数の質問票に回答しました。

 

解析では、夜型の人ほど夜食症候群の傾向が強く、その夜食傾向が食物依存につながる経路となっていることが示されました。

一方で、マインドフル・イーティングのスコアが高い人では、夜食症候群も食物依存も抑えられていました。

統計的には、夜食症候群が強いほど依存症状が増加し(B=0.026)、マインドフル・イーティングの高さは依存傾向を減少させ(B=−3.400)、食物依存のリスクを約85%下げる効果が認められました。

 

研究者たちは、夜型の人は「報酬によって意欲や喜びを感じる強さ」や「衝動への自制のとりにくさ」があり、そのために深夜に食べすぎてしまいやすいと考えています。

夜更けの時間は感情の揺らぎを食で埋めやすく、疲労や孤独が食欲と混ざり合うのです。

マインドフル・イーティングは、「空腹」と「感情的な欲求」を見分ける心の筋力を育てることで、この連鎖を断ち切る鍵になります。

 

この研究は横断的調査であり、夜型の生活が直接的に食物依存を引き起こすとは断定できません。

参加者の多くが若年女性であることも、結果の一般化には注意が必要です。

 

それでも、夜型・夜食・依存をつなぐ「意識の糸」が明らかになった意義は大きいと言えます。

夜の静けさの中で、ふと冷蔵庫の扉に手をかけたとき―一瞬の気づきが、心と体のリズムを取り戻す最初の一歩になるのかもしれません。

 

参考文献:

Başar Gökcen, B. From eveningness to food addiction: exploring the roles of night eating syndrome and mindful eating. J Eat Disord 13, 234 (2025). https://doi.org/10.1186/s40337-025-01421-9

 

 

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。