「見て学ぶ」は人間だけじゃない―インコも見せた「第三者模倣」 2025/09/19Posted in文献, 生物, 科学 私が研修医になったばかりの頃、1年目はとにかく先輩医師のそばについて一緒に行動することが課せられました。 そして、彼らの細かな所作を観察するのです。 患者さんにどう接するのか、どんな情報を重視するのか、どの手順で検査…
足し算ではなく掛け算の効果―腎臓と糖尿病を守る併用療法のインパクト 2025/09/18Posted in文献, 腎臓のこと 診察室で、この言葉を口にするとき、私たち医療者も沈痛な思いです。 「残念ですが、そろそろ透析の準備を始めなければなりません。」 その瞬間、患者さんの表情が曇り、ご家族の手にも力がこもるのを感じます。 食事療法や薬の調…
慢性腰痛の予防―1日100分の「がんばらない散歩」の効用 2025/09/17Posted in健康, 文献 腰痛は世界で最も多くの人が悩まされる症状のひとつで、医療費や生活の質に大きな影響を与えています。 私自身も長時間の診療やパソコン作業で腰の重さを感じることがあり、「どうすれば予防できるのか」と考えることが増えました。…
「1万歩神話」の終焉?―健康最適歩数は目標7000歩 2025/09/16Posted in健康, 医療全般, 文献 母と話すとき、歩数計のことをつい「万歩計」と呼んでしまいます。 紙おむつをパンパース、保存容器をタッパーと言うのと同じように、商標名が一般名称のように定着してしまった一例です。 「万歩計」は1965年、東京オリンピッ…
便潜血検査と1年後の死亡率―見逃せないサインをどう活かすか 2025/09/15Posted in健康, 医療全般, 文献 健康診断や検診で使われる便潜血検査は、大腸がんの早期発見に役立つことで知られています。 実際、日本の健診で「大腸がん検査」といわれるのは、便潜血二日法と呼ばれる方式です。 ところが、イギリス・ノッティンガムで行われた…
健康は「チリツモ」だった―1分間だけの「息切れ運動」がもたらす健康効果 2025/09/14Posted in健康, 文献, 日常 趣味でランニングを続けているので、体力にはそこそこ自信がありました。 しかし先日、両手にスーパーの買い物袋を下げて、急に降り出した大粒の雨にあわてて駐車場を駆け抜けたとき、車のドアを開ける頃にはすっかり息が上がってし…
音楽が脳を指揮する ― リズムと脳波、2つの周波数の共鳴 2025/09/13Posted in文献, 神経科学, 音楽 私は、いつもギター教室の先生に「リズムが大事!」と注意されます。 この歳になって痛感するのは、ギターの腕前よりもリズム感のなさです。 そんなリズム音痴の私でも(正確であるかは置いといて)ドラムがリズムを刻み続けると、…
腎機能と感染症リスク―見えにくい関係を解き明かす 2025/09/12Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 慢性腎臓病と聞くと、多くの人は透析や心臓病などとの関連を思い浮かべるかもしれません。 しかし実際には、感染症もまた腎臓病患者にとって深刻な脅威となっています。 米国や欧州のデータでは、慢性腎臓病の患者のおよそ4分の1…
フライドポテトは糖尿病リスクを高める―長期研究から見えた食べ方の選択 2025/09/11Posted in健康, 医療全般, 文献 日常の食卓に登場するじゃがいもは、私たちにとって身近な食材です。 ビタミンCやカリウムを含む一方で糖質が多く、健康への影響は長年議論されてきました。 今回、アメリカの看護師健康調査や医療従事者追跡調査といった40年に…
燃え尽き前のサインを見える化 ― 医師の健康をスマートウォッチで探る 2025/09/10Posted in健康, 医療全般, 文献 医師の仕事は人の命を預かる重責に満ちています。 心身をすり減らした結果、米国では2022年に63%もの医師が燃え尽き症候群(バーンアウト)を経験していると報告されました。 これは単に個人の問題ではなく、医療の安全や質…
飲酒と動脈硬化の関連―血管を傷つける2つのルート 2025/09/09Posted in健康, 医療全般, 文献, 日常 このブログではこれまでもアルコールと健康リスクについて取り上げてきました。 たとえば「赤ワインは体に良いのか」という記事では抗酸化作用の一端を紹介しましたし、別の記事では「少量のアルコールは本当に心臓を守るのか」と問…
もうひと頑張りの体力は、薬指の長さで決まっている? 2025/09/08Posted in健康, 文献, 日常, 物語 ネット上や雑誌で「指の長さの比率」が、時々話題になることがあります。 意外に多くの人がこうした細かな違いに関心を持っているようで、新しい研究結果が紹介されると大きな注目を集めたりします。 進化の仲間であるチンパンジー…
休日を「意味ある時間」に変えるには ― ゴロゴロするだけが休みじゃない 2025/09/06Posted in心理学, 文献, 日常 休日の朝、二度寝をした末にようやく起きだしても、「今日は何もしない」と休眠モードを決めつける。 ところが、ずっと望んでいた贅沢な時間のはずなのに、太陽が沈み一日が終わるころには、胸の奥には空しさが残ります。 子どもの…
「音楽は友だち」は比喩ではない―音楽が導くメンタルイメージ 2025/09/05Posted in心理学, 文献, 音楽 音楽を聴くと、なぜか風景が思い浮かんだり、昔の記憶が呼び起こされたりします。 気分転換にイヤホンをすると、ひとりきりで歩いていても、誰かと一緒にいるような感覚が芽生えることがあります。 COVID-19の流行期、多く…
『終わった人』のその先に ― 退職と健康をめぐる男女の違い 2025/09/04Posted in健康, 心理学, 文献, 日常 定年退職した男が、生きがいを失い「終わった人」になってしまう。 原作は内館牧子さんの同名小説で、舘ひろしさんが主演した2018年公開の映画『終わった人』では、そんな悲哀がコミカルに描かれていました。 実際、会社を辞め…
内的モデルの科学 ― あなたの見える「普通」は、誰かの「普通」じゃない 2025/09/03Posted in文献, 生物, 科学 犯罪捜査の世界で、こんな話があります。 コンピュータで作られたモンタージュ写真よりも、訓練を受けた技術者が描いた似顔絵のほうが、犯人の検挙につながるケースが多いというのです。 ソフトウェアは目や鼻を組み合わせることは…
朝のコーヒーは、なぜ特別なのか? ―カフェインと気分の仕組み 2025/09/02Posted in心理学, 文献, 日常, 神経科学 朝のコーヒーを飲まないと一日が始まらない―そう感じる人は少なくありません。 私自身もその一人で、「コーヒー中毒」と言われても、あえて否定はしません。 紅茶やエナジードリンクであっても事情は同じです。 カフェインが脳に…
ラーメンのスープを飲み干す前に知っておきたい―健康リスクとハザード比 2025/09/01Posted in健康, 文献, 日常 「まずスープを一口、それから麺に敬意を払うように啜り、合間にチャーシューを沈める。」 伊丹十三監督の映画『たんぽぽ』で、ラーメンの達人が説いたあの流儀は、もはやひとつの儀式に昇華されたものでした。 あの映画は、一杯の…
老化を遅らせる薬?―健康寿命を延ばす科学の最前線 2025/08/31Posted in健康, 医療全般, 文献 年齢を重ねると、体のあちこちに違和感が出てきます。 若い頃と違い、朝起きると背中や腰がこわばっている。 先輩たちが口にしていた「これが歳をとることか」という実感が、じわじわと自分にも訪れてきます。 「老化」は単なる年…
数の得意な人ほどだまされる―脳の賢いまとめ術 2025/08/30Posted in心理学, 数学, 文献 焼き鳥を頼んだとき、私たちは串刺しにされた肉や野菜を「1本」と数えます。 そこに何個の肉があるのかはあまり意識しません。 あるいは、パールのネックレスを見れば、何十粒もある珠を「ネックレス1本」として捉えるでしょう。…
ウソを知り、ウソに強くなる—ワクチンのニセ情報と心の予防接種 2025/08/29Posted in心理学, 文献, 日常 映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』では、実在の詐欺師が最終的にFBIの金融詐欺部門のコンサルタントとして働く姿が描かれていました。 ウソと戦う最善の方法は、ウソのつき方を知ることかもしれないという逆説的な発想…
脱水時の扇風機はリスクになる―水分で変わる体への影響 2025/08/27Posted in健康, 文献, 日常 真夏の暑さは、ただ不快なだけではありません。熱中症になれば命に関わることもあります。 エアコンがない家や、エアコンが苦手な人にとって頼りになるのが扇風機ですが、条件によっては逆効果になることもあります。 特に体が水分…
採血結果に表れない健康な脂質代謝―運動がもたらす体の変化 2025/08/26Posted in健康, 医療全般, 文献 健康のために運動を心がけている人は多いでしょう。 医療の現場でも、体重やコレステロール値を改善するために運動をすすめるのは日常的なことです。 しかし、努力を重ねても血液検査の結果に大きな変化が見られないと、患者も医療…
汗は正直なのだ。科学的な意味でも 2025/08/25Posted in健康, 医療全般, 文献, 科学 自分の健康状態を知るために、血液を採られるのはどうにも気が進まないものです。 それなりの医療機関に行かなければならないですし、注射針は痛いし、年に1度の健康診断ぐらいでいいやという感じですね。 そこで科学者たちは、も…
マングローブ発・耐熱サンゴ作戦―気候変動時代のサンゴ礁再生 2025/08/24Posted in文献, 自然環境 サンゴ礁は地球温暖化による海水温の上昇や酸性化、酸素濃度低下など、複合的な環境変化にさらされ、生き残りの危機に直面しています。 近年では、熱耐性を持つサンゴを利用して礁全体の回復力を高める「積極的な復元戦略」が注目さ…