脱水時の扇風機はリスクになる―水分で変わる体への影響

脱水時の扇風機はリスクになる―水分で変わる体への影響

 

真夏の暑さは、ただ不快なだけではありません。熱中症になれば命に関わることもあります。

エアコンがない家や、エアコンが苦手な人にとって頼りになるのが扇風機ですが、条件によっては逆効果になることもあります。

特に体が水分不足、つまり脱水しているときは注意が必要です。

 

オーストラリアのシドニー大学の研究チームは、20人の若い健康な男女を対象に、室温39.2℃・湿度49%という過酷な環境で3時間過ごす実験を行いました。

条件は、水分を十分にとった状態と脱水状態、それぞれで扇風機を使う場合と使わない場合の4通り。

脱水状態は、実験前24時間の飲食を制限し、水分を含む食品も控えて作りました。

扇風機は直径44.5cm、風速2.5m/sで、1.5m離れた位置に設置されました。

 

結果は明快でした。

水分が足りているときは、扇風機で暑さや不快感が和らぎ、発汗量も平均で135g/h増加。

しかし脱水時には快適さはほとんど改善せず、心拍数は平均5拍/分上昇し、循環器への負担が増えました。

また脱水では扇風機の有無に関わらず、心拍数や体温の上昇が水分が足りているときの2〜2.5倍に達し、体感温度や不快感も大幅に悪化しました。

 

この研究は、扇風機が必ずしも「涼しい味方」ではないことを示しています。

水分が足りているときには効果的でも、脱水時には心臓に負担をかけ、快適さも得られません。

さらに扇風機は発汗を約60%増やすため、脱水を悪化させる恐れがあります。

 

結論として、真夏の熱波で扇風機を使うなら、まず水分補給が最優先です。

冷たい飲み物を手元に置き、失われた水分をこまめに補いながら使うことが、安全で効果的な涼の条件といえます。

 

参考文献:

Graham C, Hospers L, Jay O. Electric Fan Use With Dehydration in Extreme Heat and Humidity: A Randomized Crossover Trial. JAMA Netw Open. 2025;8(8):e2526701. Published 2025 Aug 1. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.26701

 

 

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。