終わりは、いつ終わるのか―境界線の上で見つかった、アンモナイトの短い余命 2026/01/12Posted in文献, 歴史, 生物, 科学 地層の境界は、一本の線として描かれます。 白亜紀と古第三紀の境目も、崖の断面では薄い層として現れ、「ここで時代が切り替わった」と説明されます。 その線は便利で、理解もしやすい。 けれど自然が、その線を知っているかどう…
「3姉妹の家」の謎と、歪んだコイン―出生時の性別は、どこまで偶然なのか 2026/01/07Posted in医療全般, 文献, 科学 待合室を見渡していると、家族の並び方に目が止まることがあります。 元気な男の子を3人連れてぐったりしているお母さんもいれば、年の近い3姉妹が同時にしゃべって場を明るくしているお母さんもいる。 診療の合間に、そうした光…
ちゃんとしたゆで卵をつくりたい!―あえて火加減を捨てた発想の転換 2026/01/06Posted in文献, 日常, 科学 できあがったゆで卵を割った瞬間に、「あれ?」と思うことがあります。 黄身はちょうどいいのに、白身が落ち着かない。 あるいは白身は形になっているのに、黄身が思ったより重たい。 調理の手順は間違いのないはずなのに、どこか…
猫は何を話しているのか―ミャーとゴロゴロが分かれた理由 2025/12/28Posted in文献, 生物, 科学 私のクリニックは、猫と暮らしている“猫派”のスタッフが多いです。 話を聞くと、猫の鳴き声を聞いただけで状況が分かるのだと言います。 空腹なのか、かまってほしいのか、あるいは少し機嫌が悪いのか。 猫の鳴き声は、意味を運…
世界はどこから始まったのか—個と宇宙をつなぐ新しい仮説 2025/12/14Posted in哲学, 文献, 科学 映画『惑星ソラリス』(1972年)では、主人公の前に立ち現れた存在が、彼自身の記憶と向き合う場面があります。 その背後に広がる惑星の海は、観測者の内面に応じて世界の輪郭を変える存在として描かれています。 この象徴的な…
T. レックス の幼体ではなかった―ナノティラヌスが描く“もう一つの捕食者” 2025/12/11Posted in文献, 歴史, 生物, 科学 映画『ジュラシック・パーク』(1993年)の豪雨のシーンで、ティラノサウルスが闇を裂くように現れる場面があります。 観客はあの巨体に圧倒されますが、もし画面の端に、もっと細身で俊敏な影が潜んでいたとしたらどうでしょう…
生き物のいない呼吸―土がひとりで炭素を燃やすとき 2025/12/04Posted in文献, 科学, 自然環境 映画『オデッセイ』で、取り残された宇宙飛行士が火星の砂にジャガイモ畑をつくる場面があります。 乾いた赤い地面に、人間の排泄物や残り物を混ぜ、酸素や水を与えることで、「ただの砂」が食料を生み出す場へと変わっていきます。…
細胞を動かす“連結のフック”―キネシン-2が荷物を選ぶ仕組み 2025/12/02Posted in文献, 生物, 科学 映画『ヒューゴの不思議な発明』には、止まった自動人形の内部で、少年が小さな歯車の欠けを見つける場面があります。 大きな機構よりも、見落としがちな細部が全体の動きを左右する。その構図は、細胞の中にも息づいています。 …
“予測”する社会が次に望むもの―AIが挑む地震の未来図 2025/12/01Posted in文献, 科学, 自然環境 映画『カリフォルニア・ダウン』(2015年、ブラッド・ペイトン監督)には、巨大地震の前触れを捉えた研究者が、迫る破壊の気配をどうにか伝えようとする場面があります。 都市の地表がわずかに揺れ、その変化がやがて大きな崩壊…
空からの警鐘―衛星が捉えた地震の「息づかい」 2025/11/17Posted in文献, 科学, 自然環境 忘れもしない、あの記憶。 テレビの画面に目が離せず、ただ事態が収まるのを待つしかない無力感。 地震大国に住む私たちにとって、地震や津波は日常と隣り合わせの現象です。 もし、ほんの数日でも前に「何か」が分かれば。そんな…
ウニは脳がないのではなく、脳だけを持っている 2025/11/16Posted in文献, 生物, 科学 グレッグ・イーガンの長編『順列都市』では、人間の意識がデータとしてスキャンされ、コンピュータ上で「コピー」として生き続ける未来が描かれます。 そこでは、私たちの「自己」や「意識」は、頭蓋の中の脳という器官にすべてが収…
星が一瞬、光って消えた―核実験とUAP(未確認異常現象)の“空の相関” 2025/11/04Posted in文献, 科学 動画投稿サイトなどに、夜空を横切る火球や、正体のわからない発光体の映像が流れてくることがあります。 ネットの時代になって、誰もが手元のスマートフォンで空を記録できるようになったことで、以前なら見過ごされていた“空の瞬…
垂直跳びと水平跳びの力学―男女のパフォーマンスに差が出る理由 2025/10/20Posted inスポーツ, 文献, 科学 今夏、東京で開催された世界陸上。 満員の国立競技場で、男子棒高跳び決勝でスウェーデンのアルマンド・デュプランティス選手が6メートル30センチの世界新記録を打ち立てた瞬間は、多くの人の記憶に刻まれたことでしょう。 重力…
「見て学ぶ」は人間だけじゃない―インコも見せた「第三者模倣」 2025/09/19Posted in文献, 生物, 科学 私が研修医になったばかりの頃、1年目はとにかく先輩医師のそばについて一緒に行動することが課せられました。 そして、彼らの細かな所作を観察するのです。 患者さんにどう接するのか、どんな情報を重視するのか、どの手順で検査…
内的モデルの科学 ― あなたの見える「普通」は、誰かの「普通」じゃない 2025/09/03Posted in文献, 生物, 科学 犯罪捜査の世界で、こんな話があります。 コンピュータで作られたモンタージュ写真よりも、訓練を受けた技術者が描いた似顔絵のほうが、犯人の検挙につながるケースが多いというのです。 ソフトウェアは目や鼻を組み合わせることは…
汗は正直なのだ。科学的な意味でも 2025/08/25Posted in健康, 医療全般, 文献, 科学 自分の健康状態を知るために、血液を採られるのはどうにも気が進まないものです。 それなりの医療機関に行かなければならないですし、注射針は痛いし、年に1度の健康診断ぐらいでいいやという感じですね。 そこで科学者たちは、も…
脳は「私」の輪郭をミリ単位で知っている、でも時々「平均的な誰か」と間違える 2025/08/22Posted in文献, 科学 自分の身体がどこで終わり、世界がどこから始まるのか。 ソファーで深くくつろいでいると、自分とソファーの境界が曖昧になるような感覚を覚えることがあります。 この哲学問答のようなテーマに、シェフィールド大学の研究チームが…
太陽光発電とヒートアイランド現象―昼の光、夜の熱 2025/08/17Posted in文献, 科学, 自然環境 クリーンなエネルギーの象徴として、太陽光発電は世界各地で設置面積を広げています。 屋根の上から広大な砂漠まで、整然と並んだパネル群は、その風景を異世界めいた空気に包み込みます。 しかし、「ひとつ手を打てば、別の所でし…
体を透過する太陽光とは?―視覚への健康効果 2025/07/24Posted in健康, 文献, 科学 映画に登場するスーパーマンは、黄色い太陽の光を浴びて超人的な力を得ます。 植物が光合成をするように、彼は太陽エネルギーを自身の細胞に蓄え、驚異的な能力を発揮するのです。 一方、現実の世界でも、冬が長く日照時間が短い北…
雑踏の中でもクリアに聞こえる、シークレットムーブの科学 2025/05/02Posted in文献, 日常, 科学 ためしに、紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。 騒がしい環境では、会話をクリアに聞き取るのは難しいです。 ところが、想像してみてください。 あなたが雑踏の中で、まるでマジ…
SFは人類をひとつにする! 2025/04/07Posted in文献, 日常, 映画, 科学, 読書 広大な宇宙、未知の文明、そしてそこで繰り広げられる壮大な物語。 映画や小説などのSF作品に触れると、まるで自分がこの世界の壮大な一部になったような、言い知れぬ感動を覚えることがあります。 一見すると個人的な感覚のよう…
書籍 『シンギュラリティはより近く:人類がAIと融合するとき』 2025/03/10Posted inAI, 科学, 読書 最近、「AIが人間の知能を超える日」がいよいよ近づいているという話を耳にすることが増えました。 SF映画のようでどこか現実感の薄いこの話題ですが、実際のところどうなのでしょうか。 AI研究の第一人者であるレイ・カ…
古代エジプトの壺に隠されたサイケデリックな秘密 2024/11/28Posted in文献, 日常, 科学 このブログで「古代エジプト」の話題を扱う機会はあまりないのですが、手当たり次第に読み漁っていると、たまに興味を引きつける文献にぶち当たります。 とにかく「古代エジプトの謎」は、常に研究者たちの興味を引きつけているので…
月は地球の鏡となる 2024/10/23Posted in文献, 新型コロナ, 科学 2020年、私たちは思いもよらない日常の変化に直面しました。 COVID-19のパンデミックは、都市を封鎖し、人々の活動を一時的に停止させました。 工場は止まり、交通量も減少。 この結果、大気中の汚染物質や温室効果ガ…
熱帯低気圧の急速な発達 2024/10/12Posted in台風, 文献, 科学 10月になりましたが、まだ台風シーズンは終わりを迎えていません。 沖縄近海で台風が発生し、それが短期間で大型で強力な台風に成長することを何度も経験していますし、油断はできません。 これは沖縄だけの話ではなく、世界…