星が一瞬、光って消えた―核実験とUAP(未確認異常現象)の“空の相関”

星が一瞬、光って消えた―核実験とUAP(未確認異常現象)の“空の相関”

 

動画投稿サイトなどに、夜空を横切る火球や、正体のわからない発光体の映像が流れてくることがあります。

ネットの時代になって、誰もが手元のスマートフォンで空を記録できるようになったことで、以前なら見過ごされていた“空の瞬間”が可視化されるようになりました。

実は、そういった現象は、だいぶ昔から「未確認」の現象として、マニアを中心に広く知られてきたことでした。

実際、過去の公式の天文写真にも、説明のつかない「光の記録」がたびたび残されてきています。

 

最初の人工衛星が打ち上げられる(1957年)より前、パロマー天文台のスカイサーベイ(POSS-I)で撮影された写真乾板には、正体不明の「トランジェント」(短時間だけ現れる星のような光点)が多数記録されています。

これらの光は何なのか。研究者たちは、この現象が同時代に頻発していた「地上核実験」や「UAP」(未確認異常現象、かつてUFOと呼ばれていたもの)の報告と関連しているのではないか、という仮説を立てました。

 

研究チームは、1949年11月から1957年4月までの2,718日間のデータを分析し、トランジェントの観測記録、米ソ英による地上核実験の実施日、そしてUAPの目撃報告データベース(UFOCAT)を日付ごとに照合しました。

 

解析の結果、次のような傾向が見られました。

 * 核実験の前後1日を含む期間では、トランジェントが観測される確率が約1.5倍(45%増)に高まっていました(p=0.008)。

 * 特に核実験の翌日には、その発生率が約1.7倍(68%増)に上昇していました(p=0.010)。

 * さらに、UAPの報告数が1件増えるごとに、トランジェントの出現数が8.5%増加していました(p=0.015)。

 

興味深いのは、この関連が「核実験の翌日」に最も強まる点です。

もし爆発の破片や放射性物質による直接的な影響なら、当日に現れるはずです。

トランジェントの形状も汚染によるシミとは異なり、点状の光として写っていました。

地上で起きた巨大な出来事の波紋が、24時間を経て空の高みに届き、未知の現象―あるいはUAPの活動―を引き起こしたかのようにも見えます。

もちろん、これらはあくまで統計的な相関であり、因果を示すものではありません。

UAP報告やトランジェントの自動検出データには誤差やノイズが含まれている可能性もあります。

それでも、半世紀以上前の天文写真に記録された小さな光が、地球の核実験という出来事と数値の上でつながっている。

その事実は、科学の冷静なデータ解析の背後に、どこかSF的な余韻を残します。

私たちの営みは、思いがけないかたちで宇宙の記録に刻まれているのかもしれません。

 

参考文献:

Bruehl, S., Villarroel, B. Transients in the Palomar Observatory Sky Survey (POSS-I) may be associated with nuclear testing and reports of unidentified anomalous phenomena. Sci Rep 15, 34125 (2025). https://doi.org/10.1038/s41598-025-21620-3

 

 

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。