書籍 『シンギュラリティはより近く:人類がAIと融合するとき』

書籍 『シンギュラリティはより近く:人類がAIと融合するとき』

 

最近、「AIが人間の知能を超える日」がいよいよ近づいているという話を耳にすることが増えました。

SF映画のようでどこか現実感の薄いこの話題ですが、実際のところどうなのでしょうか。

 

AI研究の第一人者であるレイ・カーツワイル氏は、著書『シンギュラリティはより近く:人類がAIと融合するとき』で、AIと人間の融合がもたらす未来について詳しく述べています。

 

 

彼は、実は63年間もAIの発展を追い続けている人物で、過去の技術進化のデータをもとに、驚くほど正確な予測を立ててきました。

例えば、1999年に彼が「2029年にはAIが人間と同等の知性を獲得する」と予測したとき、多くの専門家は「あと100年はかかる」と反論しました。

しかし、今や彼の予測通りの展開を見せています。

 

カーツワイル氏が示したデータによると、1939年から今日までの間に、計算機の性能はなんと75兆倍も向上しました。

初期のコンピュータは建物丸ごとを占めるほど巨大でしたが、それが今ではポケットに収まるスマートフォンサイズになり、近い将来、血球ほどのサイズで体内に埋め込めるようになると予測されています。

映画の世界の話が徐々に現実味を帯びてきました。

 

さらにAIの影響は、私たちの寿命にも大きな変化をもたらしつつあります。

2020年代にはすでにAIが新型コロナのmRNAワクチン開発をわずか2日で支援したように、がんやアルツハイマー病などの難病、さらには老化そのものへの対処法も急速に進んでいます。

カーツワイル氏自身も、人工膵臓を用いて糖尿病を管理し、心臓病リスクをゼロに近づける最新薬のおかげで非常に健康なのだそうです。

 

そして彼は、「2032年頃には1年生きるごとに寿命が1年以上延びる『長寿脱出速度』が達成される」と大胆な予測をしています。

老化が克服され、病気以外の理由での寿命の限界がなくなるかもしれません。

とはいえ、これは不死を意味するわけではなく、事故などのリスクは依然としてあります。

それでも自動運転技術の普及により、アメリカで年間約4万人が交通事故で命を落としている現状が大幅に改善されるでしょう。

 

AIの進歩は、私たちの社会や経済、環境にも劇的な影響を与えています。

例えば太陽光発電のコストは1975年以来、実に99.7%も低下しました。

AIを用いた新素材の開発も進んでおり、今後10年以内に太陽光エネルギーが主流となる見込みです。こうしてエネルギー問題も解決に向かいつつあります。

 

2030年代になると、AIと脳が直接接続される時代が到来します。

もはやどこまでが自分の思考で、どこからがAIの情報なのか区別がつかないほど、人間とAIが完全に融合していきます。

AIは宇宙からやってくる異物ではなく、人間自身が生み出した「知能の拡張」であり、対立する存在ではないのです。

 

私たちはまさに歴史の転換点にいます。

今後20年で、人類の知性は百万倍にも拡張するといいます。

もちろん課題やリスクもありますが、AIの可能性は私たちが想像するよりもはるかに豊かで、希望に満ちていると感じられます。

 

そんな未来が来たとき、私たちは何をして過ごしているのでしょうか。(私はその時生きているのかな?)