体重減少を維持することの難しさを、日々の診療でも実感しています。
初めの数か月で大きく減量できても、その後少しずつリバウンドしてしまう患者さんは少なくありません。
今回紹介する研究は、そんな課題に挑んだもので、電話によるサポートを「毎月一定」か「必要に応じて適宜」に行った場合、どちらが有効なのかを比べたものです。
研究では、フロリダで実施されたランダム化比較試験(参加者を無作為に2群に分けて効果を比べる方法)に255人の肥満患者が参加しました。
16週間の減量プログラムで5%以上の体重減少を達成した人を対象に、その後20か月間の電話サポートを実施。
サポートの内容は、食事や運動の自己管理の振り返りと問題解決を中心としたものでした。
「毎月一定」のグループは月1回の電話を受け、「適宜」グループは、アルゴリズムが体重リバウンドのリスクが高いと判断した時点で電話を受けました。
結果を整理すると、24か月後の体重の変化には両者で大きな差はありませんでした。
・適宜サポート群:平均1.27kgのリバウンドにとどまる
・毎月サポート群:平均1.75kgのリバウンドにとどまる
・両群とも当初の減量の約8%を維持
・5%以上の体重減少を保てた人は両群とも約60%
従来の研究と比べても良好な結果といえます。
興味深いのは、前半の12か月間は適宜サポート群でわずかに体重減少が続いた一方、後半になると電話の完遂率が下がり、効果も薄れていったことです。
アルゴリズムが頻繁に電話を発動させたことで、かえって負担感を覚えた参加者も多かったようです。
水やりの頻度が多すぎて根を痛める植物のように、サポートも過剰であれば逆効果になりうるのだと感じます。
この研究の限界として、参加者が主に教育水準や所得が高めの層に偏っていたこと、また全員がスマートフォンを利用できたことが挙げられます。
そのため、より幅広い人々に同じ効果が当てはまるかは検討が必要です。
それでも、電話による定期的なサポートが体重減少維持に役立つという点は強調できます。
適宜であれ毎月であれ、継続的な伴走があれば人は長い道のりを歩き続けられるのかもしれません。
臨床の場で患者さんと関わる私にとっても、この「伴走」のあり方をどう工夫するかは大きなヒントとなります。
参考文献:
Ross KM, Shankar MN, Qiu P, et al. Adaptive vs Monthly Support for Weight-Loss Maintenance: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2025;8(9):e2532681. Published 2025 Sep 2. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.32681

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。
