健康状態を見える化するコンパス―腹膜透析患者の健康指標

健康状態を見える化するコンパス―腹膜透析患者の健康指標

 

人生がもしポイントカード制だとしたら、一体どれくらいのポイントが貯まっているのか。

良い行いをすれば加点、そうでなければ減点。

そんな単純な話なら計算も楽なのですが、現実はもう少し複雑です。

特に、健康に関しては、その重みも違ってきます。

 

中国の研究チームが、腹膜透析を受けている患者さんのための、新しい健康指標を考え出しました。

その名も「CUSスコア(Clinical Uremic Syndrome scores)」。

これは、患者さんの健康状態を点数化して、今後の見通しを立てやすくするためのものです。

 

研究では、2005年から2023年までに中国の7つの施設でCAPD(持続携行式腹膜透析)を開始した4,424人のデータを分析しました。

採点項目は、心血管疾患、末梢血管疾患、脳血管疾患、糖尿病、高血圧、脂質異常症、低栄養(アルブミン<3.8 g/dL)、貧血(ヘモグロビン<11 g/dL)の8つ。

それぞれ1点とし、さらに年齢も加点対象となります。

50〜59歳は1点、60〜69歳は2点、70〜79歳は3点、80歳以上は4点と、年齢に応じて増えていきます。

 

さて、このポイントが貯まるとどうなるのか。

 

結果として、CUSスコアが1点上がるごとに全死亡リスクは1.35倍(95%信頼区間1.31–1.39)に増加しました。

特に3点を超える場合、そのリスクは3点以下の患者に比べて2.81倍(95%信頼区間2.47–3.21)にも達しました。

この傾向は男女別解析でも一貫しており、スコアが3点を境に顕著な差が見られました。

 

このスコアは、単に患者さんの先行きを占うための道具ではありません。

むしろ、患者さん自身や医師が、健康状態という漠然としたものを「見える化」するためのコンパスのようなものです。

自分の持ち点を把握し、どのリスク因子に注意を払うべきか、具体的な治療方針を立てる上で役立つ可能性があります。

 

結局のところ、このようなスコアリングは使い方が肝心です。

臨床で広く使われるかどうかは未知数ですが、自分の点数を知ることは、悪いことではなさそうです。

  

参考文献:

Wu, X., Lin, W., Zhao, J. et al. Clinical uremic syndrome scores and mortality in peritoneal dialysis: a multi-center retrospective study. Sci Rep 15, 29473 (2025). https://doi.org/10.1038/s41598-025-15473-z

 

 

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。