「あと5分だけ」と二度寝しては遅刻寸前になる。
体に良くないと知りつつ、深夜のラーメンに手を伸ばす。
我々の日常は、かくも「わかっちゃいるけど、やめられない」行動で溢れています。
それは単なる愚かさゆえなのか、それともほかの理由があるのでしょうか。
最近の研究によると、このような行動の背景には、「ペナルティ」に対する感受性には個人差があって、それが意思決定や行動修正能力にも差をつけていることを明らかにしました。
研究チームは24か国の267名を対象に、「惑星と海賊」というオンラインゲームを用いて調査を実施しました。
このゲームでは、2つの惑星をクリックしてポイントを集めますが、一方の惑星(R1)には時折ポイントを奪う海賊が現れます。
安全なR2惑星だけをクリックするのが合理的ですが、参加者の行動は以下の3タイプに分かれました。
1つ目は「敏感型」。彼らは経験からすぐに危険を察知し、海賊の出る惑星を避けました(全体の約26%)。
2つ目は「無自覚型」。ポイントが減っても惑星が原因とは気づかず、研究者が「こちらの惑星が危ない」と明示すると行動を改めます(全体の約47%)。原因と結果の関連付けが苦手なタイプです。
3つ目は「強迫型」。危険とわかっていても、ペナルティや明確な情報を受けてもなお、海賊が出る惑星をクリックし続けます(全体の約27%)。このタイプは、認識した情報を行動に統合することが困難な特徴を持ちます。
さらに重要なことは、これらのタイプが半年後の追跡調査でも変わらず、個人の安定した特性であると確認されたことです。
つまり、「ペナルティを与えれば行動が改善する」という単純な話ではないようです。
無自覚型のように情報提供だけで改善できるケースもあれば、強迫型のように心理的なアプローチが必要なケースもあります。
この研究は、自分や他人の行動を修正したいと考えるとき、その人がどのタイプに属しているかを理解し、適切なアプローチをとる必要があることを教えてくれています。
一度、自分はどのタイプなのだろう?と考えてみるといいですね。
参考文献:
Zeng L, Park HRP, McNally GP, Jean-Richard-Dit-Bressel P. Causal inference and cognitive-behavioral integration deficits drive stable variation in human punishment sensitivity. Commun Psychol. 2025;3(1):103. Published 2025 Jul 9. doi:10.1038/s44271-025-00284-9

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。
