人生100年時代、という言葉をよく耳にします。
そうは言っても、ただ単に長生きするだけでなく、自分の足で歩き、美味しいものを味わいながら人生を楽しむ、いわゆる「ピンピン・コロリ」こそが理想という方は多いことでしょう。
その理想を実現されているのが、100歳超えの「百寿者」の皆さんです。
彼らが実践している「長寿の秘訣」、つまり病気を防ぎ、健康を維持する方法は、私たちにとっても具体的で役立つヒントになるはずです。
この「秘訣」を科学的に検証するために、スウェーデンで1920年から1922年に生まれた約27万人を対象に、70歳から最大30年にわたって病気の発生状況を追跡した大規模な研究が行われました。
その結果、百寿者は早く亡くなる人たちに比べて、どの年齢段階でも抱える病気の数が少なく、病気の進行速度も穏やかであることが明らかになりました。
例えば85歳の時点では、百寿者が抱えている病気は平均1.2個なのに対して、90歳で亡くなる人々は平均2.4個と約2倍の差がありました。
また、人生の終盤になっても病気の数が安定しており、多くの病気が絡み合う複雑な状態(多疾患併存)をうまく回避しています。
興味深いのは、具体的な病気の種類にも違いが見られたことです。
百寿者は特に心臓や脳の病気(心血管疾患や神経精神疾患)の負担が非常に少なく、その差は他の病気よりも顕著でした。
一方、がんの割合はむしろ高い傾向にありましたが、これは他の重大な病気が少ないために相対的にがんの比率が高まったものと考えられます。
なぜ百寿者はこのように病気に対して強いのでしょうか。
その鍵は、遺伝的要因だけでなく、中年期以降の生活習慣や環境要因にもあると研究者は指摘します。
百寿者は、病気の発症を遅らせるだけでなく、病気になった後も症状が比較的軽度で済むことや、治療や健康管理への対応がうまく、病気の深刻化を防ぐ傾向があることが示唆されています。
この研究から分かる重要なポイントは、健康的な長寿には「病気をいかに避け、複雑な病状を避けるか」が重要だということです。
例えば、適度な運動習慣、バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレス管理など、日常生活でできる具体的な行動が健康の維持に役立ちます。
百寿者の健康の秘訣をさらに解き明かすことで、私たちがより健康で充実した人生を送るための具体的な手掛かりを見つけられるかもしれません。
なにしろ百寿を実証されている方たちがいるわけですから。
参考文献:
Zhang Y, Murata S, Schmidt-Mende K, Ebeling M, Modig K. Disease accumulation and distribution across the lifespan in Swedish centenarians and non-centenarians: a nationwide life course comparison of longevity and health resilience. eClinicalMedicine. 2025;87:103396. doi:10.1016/j.eclinm.2025.103396

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。
