座って立ち上がるテスト―これが健康チェックになる

座って立ち上がるテスト―これが健康チェックになる

 

「体力測定」というと、中学生、いや高校生の時までは学校行事としてあった気がします。

けれども、大人になってからは健診はあっても、体力測定などはほぼ自覚症状に上塗りされた自己申告にとどまるものです。

しかも、当時のイメージが強いだけに、時間をかけて道具や器具をつかって行うのが「体力測定」だと思っているフシがあります。

しかし、ブラジルの研究チームが、そんな大げさなことをしなくても、「床にぺたんと座って立ち上がる」という何気ない日常動作が健康や寿命に深く関係していることを突き止めました。

 

研究では、「座って立ち上がるテスト(SRT)」と呼ばれるシンプルな方法が採用されました。

これは特別な道具を使わず、床に座り、立ち上がる動作をするだけ。完璧に行えば10点満点ですが、手や膝をつくごとに1点、不安定さが見られると0.5点が引かれます。

 

対象となったのは46歳から75歳の男女4,282人。12年の追跡期間中に、665人(15.5%)が自然な原因で亡くなりましたが、SRTのスコアが低いほど死亡率が高くなるという明確な関連性が見られました。

満点を獲得した人々の死亡率はわずか3.7%だったのに対し、最も低いスコア(0~4点)の人々では42.1%に達しました。

特に心臓病を含む心血管疾患の死亡リスクについては、最低スコアのグループが最高スコアのグループに比べて約6倍も高かったのです。

 

実はこのテスト、単なる動作の巧みさを測っているわけではありません。

筋力、柔軟性、バランス、そして体組成といった「非有酸素性体力」を総合的に評価するものなのです。

有酸素運動ばかりが注目されがちですが、健康寿命を支えるためには、こうした非有酸素性の体力も非常に重要です。

 

超高齢社会に突入している現代、この誰でも簡単に実践できるテストは、自宅での手軽な健康管理ツールとしても注目されます。

もし低いスコアが出ても、それは自分の体を見つめ直し、日々の生活の中で筋力やバランスを向上させる良いきっかけになるでしょう。

日常の小さな行動の積み重ねが、将来の自分にとって価値ある贈り物になるかもしれません。

 

実際にどんな風にテストをするのかを解説した動画がありました。

「座って立つだけのテスト」なんて言っていますが、ちょっと想像したのと違っていました。

手や膝を床につけたりしてはいけないとはどういうことなのか、「なるほど、そういうことか」と思いました。

実際に見ないとわからないものですね。百聞は一見に如かずでした。英語ですが、ぜひご覧ください。

 

 

参考文献:

Araujo, Claudio Gil & Araújo, S & de Souza e Silva, Christina & Myers, Jonathan & Laukkanen, Jari & Ramos, Plinio & Rabelo, Djalma. (2025). FULL RESEARCH PAPER Risk prediction/assessment & stratification Sitting-rising test scores predict natural and cardiovascular causes of deaths in middle-aged and older men and women. European Journal of Preventive Cardiology. 1-10. 10.1093/eurjpc/zwaf325.

 

 

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。