読書は孤独を癒すのだ

読書は孤独を癒すのだ

 

現代社会では、孤独は一種の「流行り病」のようです。

アメリカのデータでは、平均的な友人の数は3人以下といわれており、世界保健機関(WHO)によれば、高齢者の約25%が社会的に孤立し、10代の若者の5~15%が孤独を感じているとのことです。

 

SNS上に何百人もの「友達」がいたとしても、実際に支えとなる深い交流があるかどうかは別の話です。

ある調査では、デジタルな交流よりも顔と顔を合わせるコミュニケーションが精神的な健康に遥かに良いことがわかっています。

 

そんな孤独が広がる社会の中で、ひそかに私たちを慰めてくれるのが読書、特にフィクションを読むことです。

最近の調査では、18歳から34歳の若者の59%が読書を通じて他者とのつながりを感じ、56%が孤独感を軽減できたと答えました。

また、別の調査では、読書がストレス軽減に非常に有効で、64%が他人の感情をより深く理解できるようになったと感じています。

 

確かに、私も一人でいるときには読書をしている時が落ち着きます。

ただ、読書好きだからそうしているのであって、孤独を癒すために読んでいるつもりではありませんでした。

でも、言われてみれば確かに、煩悶とした日常からいったん距離を置く効果もあるでしょうし、フィクションの中に没頭することが、自分自身を客観視する機会も得ている気がします。

ですから、「ちょっと心が落ち着く」のでしょう。

 

科学的にも、小説が脳に良い影響を与えることが確認されています。

社会的なテーマを含む物語を読むと、脳の「背内側前頭前野」と呼ばれる部位が活性化します。

この領域は他者の心を理解したり社会的な振る舞いを調整したりする働きを持ちます。

物語の登場人物に感情移入することで、現実世界における私たち自身の共感力や社会性が自然と高まっていくのです。

 

さらに長期的な視点では、読書習慣は認知症予防にも役立ちます。

75歳以上を対象にした調査によると、読書を定期的にしている人は認知症リスクが35%低下すると報告されています。

また、幼い頃から楽しみとして読書をしてきた子どもは、成長後も脳の構造や認知能力が優れていて、精神的な健康もより安定していることがわかっています。

 

AIやチャットボットが全盛の現代ですが、孤独への処方箋は案外アナログな「読書」にあるのかもしれません。

テクノロジーよりも一冊の本に軍配が上がりそうなのは、読書好きの私にとってはうれしい限りです。

本は心を豊かにしてくれます。

 

参考文献:

Reading fiction fights loneliness and builds a healthier brain. The Conversation. 2024.

 

 

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。