「食べる順ダイエット」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
「食事の最初に野菜を食べると、体にいいらしい」。
そんな言い回しが、いつのまにか私たちの食卓にしっかりと根を下ろしているようです。
以前このブログでも紹介しましたが、キャベツの千切りを先に食べると、食後の血糖値の上昇がゆるやかになるという研究がありました。
20~30%も違うのですから、サラダを先に食べる手にも確信が宿るというものです。
でも、ふと思いませんか。
野菜サラダなら何でもいいのだろうか。
たとえばトマトとブロッコリーとでは、見た目も味も匂いもぜんぜん違う。
じゃあその効果だって違うんじゃないか。
この素朴な疑問に、オーストラリアの研究者たちがきちんと向き合ってくれました。
彼らが集めたのは、血圧が少し高めで、でも糖尿病ではない中高年の18人。
平均年齢は68歳です。
実験は、シンプルですが、よく準備したものだと思います。
参加者には毎日2回、特製の野菜スープを飲んでもらうのです。
あるときはブロッコリーやキャベツ、カリフラワーが入ったアブラナ科のスープ。
そして別のときは、ジャガイモやカボチャ、ニンジンが主役の根菜スープ。
もちろんどちらを飲んでいるのかは本人たちには伏せられています。
そのあいだ、腕につけた小さなセンサーが15分ごとに血糖値を記録するのです。
結果は、というと、アブラナ科スープを飲んでいた期間、血糖値の揺らぎが明らかに少なくなっていました。
血糖変動の幅は平均で2%低下。
特に夕食後の上昇が緩やかでした。
対照的に、一日を通じた平均の血糖値には大きな違いはありませんでした。
でもそれは、参加者がもともと糖尿病ではない健康な人たちだったことを思えば、自然な成り行きなのかもしれません。
つまりブロッコリーは、血糖値の波をすこし穏やかにしてくれるのです。
表立って派手なことはしないけれど、控えめなやり方でリズムを整える。
そんなタイプの野菜です。
この研究が示したのは、ブロッコリーを食べれば魔法のように血糖値が下がるという話ではありません。
けれども、毎日の食卓に並ぶその緑のひとかけらが、知らぬ間に体の中で静かに、でもたしかに働いてくれている。
そう思うと、いつもの夕食がほんの少し違って見えてくるかも知れません。
健康も味わいも、なるべく自然体でいきたい。
そんなふうに思いながら、コンビニで買う「野菜がとれるスープ」のなかに、ちゃんとブロッコリーが入っているかどうかを確認してしまう私なのでした。
参考文献:
Connolly EL, Liu AH, Woodman RJ, Shafaei A, Wood LG, Mithen R, James AP, Schultz CJ, Gan SK, Bondonno CP, Lewis JR, Hodgson JM, Blekkenhorst LC. Cruciferous vegetables improve glycaemic control compared to root/squash vegetables in a randomized, controlled, crossover trial: The VEgetableS for vaScular hEaLth (VESSEL) study. Diabetes Obes Metab. 2025 May 15. doi: 10.1111/dom.16467. Epub ahead of print. PMID: 40375391.

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。
