プロテインバー、その栄養ほんとうに届いていますか?—タンパク質の「質」の話

プロテインバー、その栄養ほんとうに届いていますか?—タンパク質の「質」の話

 

最近、スーパーやドラッグストアの棚に並ぶプロテインバーが随分と目立つようになりました。

便利さとヘルシーなイメージがあいまって、私たちの暮らしにさりげなく浸透しています。

ところが、「高タンパク質」というフレーズを見ると、無条件に健康的で筋肉をつけるためには良さそうだと思い込んでしまうところがあります。

でも、果たして本当にそうでしょうか。

実は、タンパク質は「量」だけではなく、その「質」にこそ注意を払う必要があるようです。

 

今回ご紹介する研究は、そんなプロテインバーの「タンパク質の量」と「質」を、じっくりと丁寧に調べ上げたものです。

研究者たちはオンラインのデータベース「OpenFoodFacts.org」に登録された1641種類ものプロテインバーを調べました。

確かに81%はEUの基準において「高タンパク質」と謳える水準でした。

しかし、ここで面白いことに気がつきます。

実際に私たちの体がどれだけタンパク質を効率よく吸収できるかを示す指標(DIAASやPDCAAS)を測定すると、意外にもその数値は期待を下回ったのです。

 

さらに興味深いのは、タンパク質を単体で摂るよりも、食品として摂取したときの方が消化吸収率が低くなる傾向があるという事実でした。

動物性タンパク質(乳タンパク質)のバーで最高DIAASが61%に対して、植物性タンパク質(エンドウ豆や米)では46.7%という結果でした。

また、コラーゲンを主なタンパク質源としたプロテインバーに至っては、必須アミノ酸が著しく少ないため、DIAASがわずか10%以下という低さでした。

 

プロテインバーを選ぶ際には、これらのことを踏まえていく必要があります。

具体的には、次のような点です。

* 原材料表示に目を通し、タンパク質がホエイやカゼイン、大豆など、質の高いものかどうかを確かめる。

* コラーゲンを主成分とする製品はタンパク質の質が低くなりやすいので慎重に。

* 糖質や脂質、食物繊維などの他の成分が多すぎると、タンパク質の効率的な吸収を妨げる可能性がある。

 

プロテインバーという食品は、確かに手軽で頼りになる存在です。

でも、それはあくまでバランスの良い食生活の中での一部分として考えるのが理想です。

それが大前提のお話には違いないですね。

 

参考文献:

Tormási J, Benes E, Kónya ÉL, Berki M, Abrankó L. Evaluation of protein quantity and protein nutritional quality of protein bars with different protein sources. Sci Rep. 2025;15(1):9388. Published 2025 Mar 18. doi:10.1038/s41598-025-94072-4

 

 

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。