ごはん、パン、麺…どう食べるのが正解? 炭水化物の「質」が元気な未来を左右するかも

ごはん、パン、麺…どう食べるのが正解? 炭水化物の「質」が元気な未来を左右するかも

 

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。

 

「いつまでも健康で、ぴんぴんころりを目指したい」——そんな願いは、誰にでもあるものです。

食事が健康に深く関わっていることは確かですが、なかでも「炭水化物」をどう扱うかは悩ましい問題です。

ダイエットの敵のように思われがちな炭水化物ですが、実は僕たちの生活にとって大切なエネルギー源。

その炭水化物の「量」だけでなく、「質」に目を向けることが、心身ともに元気で長生きするためのヒントになるかもしれません。

 

ハーバード大学の研究チームが、女性看護師およそ4万7千人を対象に32年間にわたり調査を行いました。

その結果、炭水化物の摂り方が、高齢期の健康状態と大きく関わっていることが明らかになりました。

調査が始まったとき、彼女たちの平均年齢は48.5歳でした。

そして70歳を過ぎても、身体も心も元気でいることができた人は7.8%だったのです。

もちろん、この研究に参加したのは健康意識が高い、主に白人の看護師さんたちです。

だからこの結果がそのまま他のすべての人々に当てはまるわけではありませんが、興味深い事実であることに変わりはありません。

 

研究では、全粒穀物や果物、野菜、豆類など「質の良い炭水化物」を多く摂っていた人ほど、健康的に歳を重ねる割合が高かったのです。

具体的には、この質の良い炭水化物からの摂取エネルギーが10%増えるごとに、健康的な老化を迎える可能性は1.31倍も高まりました。

一方、精製された炭水化物、つまり白いパンや白米、お菓子のようなものを頻繁に食べている人の場合、健康的な老化の可能性は0.87倍まで下がりました。

 

食物繊維の存在も無視できません。

果物や野菜、穀物から多くの食物繊維を摂ると、身体や認知機能、精神的な健康を維持できる可能性が高まりました。

逆に、血糖値を急激に上げる食品(いわゆる高GI食品)を多く摂ると、慢性的な炎症が体内で起こり、老化を早める可能性が示されました。

 

研究チームが指摘するように、質の良い炭水化物が体に良い理由は、食物繊維が腸内の環境を整え、体内の炎症を抑える働きを持つからかもしれません。

また、精製炭水化物や動物性脂肪が多い食品を減らし、全粒穀物や野菜中心の食生活に自然とシフトすることも、健康的な老化を促しているのでしょう。

 

では実際に、質の良い炭水化物を取り入れるためにはどうすればいいのでしょうか。

朝食ならば、玄米ご飯や全粒粉のパンに新鮮な果物やヨーグルトを添えるのも良いでしょう。

昼食や夕食には、雑穀米や全粒粉パスタを中心にして、豆類を使ったサラダを加えるのもおすすめです。

 

炭水化物は敵ではありません。むしろ、選び方次第で頼もしい味方にもなるのです。

毎日の食卓から少しだけ気をつけるだけで、未来の自分へのささやかな贈り物になるかもしれませんね。

そんなふうに、日々の暮らしをちょっと丁寧にしてみる。

それだけで心はふっと軽くなり、世界はもう少しだけ明るく見えてくるはずです。

 

参考文献:

Ardisson Korat AV, Duscova E, Shea MK, et al. Dietary Carbohydrate Intake, Carbohydrate Quality, and Healthy Aging in Women. JAMA Netw Open. 2025;8(5):e2511056. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.11056