夜トレ後の睡眠を守る“4時間ルール”

夜トレ後の睡眠を守る“4時間ルール”

 

仕事帰りにジムへ向かう──多忙な社会人にはごく当たり前の風景です。

しかし、その“夜トレ”が睡眠をひそかに損なっているかもしれません。

豪州モナシュ大学などの研究チームは、ウェアラブル端末を装着した1万4689人(平均年齢37.9歳)を1年間追跡し、合計408万4354泊分の睡眠データを収集しました。

この膨大な記録を基に、(1)運動を終えた時刻と (2)運動負荷が、その夜の入眠時刻・睡眠時間・睡眠効率、さらに夜間の安静時心拍数や心拍変動(HRV)にどう影響するのかを検証したのです。

 

分析の核心は、運動の強さと就寝までに確保したクールダウン時間──この二つの組み合わせが睡眠の質を大きく左右していたことです。

 

主なポイント

– 運動を就寝4時間以上前に終えれば、負荷の大小を問わず睡眠にはほぼ影響なし。

– 就寝2時間前に最大負荷の運動を終えた場合、

  – 就寝が平均36分遅れる

  – 総睡眠時間が5.4%(約22分)短縮

  – 夜間の安静時心拍数が6.8%(約3.9拍/分)上昇

  – 心拍変動(HRV)が14.1%低下

– 運動が就寝2時間後までずれ込むと、睡眠時間は13.9%短縮、HRVは32.6%低下。

 

つまり、体が高回転のまま布団に飛び込むと、交感神経がブレーキを踏み切れず、回復モードに入り損ねるようです。

軽めのジョギングやストレッチならまだしも、負荷の高いランや筋トレは心拍や体温が落ち着くまでに時間がかかります。

 

研究チームは「寝る4時間前までにトレーニングを終えるか、どうしても遅くなる日は軽めのメニューを選ぶと良い」と提案しています。

大会前に夜間練習を組むアスリートや、仕事後に激しく動きがちな市民ランナーは、時計と相談しながら“クールダウン時間”を確保したいところです。

 

眠りは翌日のパフォーマンスを整える最後のピースです。

夜の運動計画に“就寝までのカウントダウン”を組み込むことは、1日の活動のキモになるかも知れませんね。

 

それでも夜に時間が取れない日々が続くなら、思い切って朝活へ舵を切るのも一手かもしれませんね。

 

参考文献:

Leota, J., Presby, D.M., Le, F. et al. Dose-response relationship between evening exercise and sleep. Nat Commun 16, 3297 (2025). https://doi.org/10.1038/s41467-025-58271-x