北スウェーデンのサウナ事情: 「ととのう」だけじゃない健康との深い関係

北スウェーデンのサウナ事情: 「ととのう」だけじゃない健康との深い関係

 

日本でもサウナブームが続き、「ととのう」という言葉もすっかり定着した感があります。

フィンランドが本場として有名ですが、実はスウェーデン北部でもサウナは古くから親しまれ、生活の一部となっています。

日本の銭湯のように地域の人々の交流の場としても重要な存在です。

 

サウナはただ気持ちよいだけでなく、健康に良い影響をもたらす可能性があります。

サウナでの発汗や熱による血流促進は、中程度の運動と似た健康効果を生み出すと言われています。

実際、他の研究でも定期的なサウナ入浴が動脈の柔軟性を改善し、血圧を下げるという結果が報告されています。

さらに、腰痛や筋肉痛の軽減にも効果的であると指摘されています。

 

スウェーデン北部で行われた2022年のMONICA研究によれば、サウナを定期的に利用する人(月に1回以上)は全体の約66%にあたる641人で、その人たちは利用しない人と比べて興味深い特徴がありました。

 

まず、サウナ利用者は平均年齢が51.1歳で、非利用者の55.1歳より若く、男性の割合が高い傾向(72.7% vs 60.8%)でした。

また、サウナ利用者は高血圧(31.9% vs 41.0%)や慢性的な痛み(56.9% vs 68.2%)の割合が低く、睡眠に対する満足度や心身の健康状態についての自己評価も高い数値を示しました(幸福感73.8 vs 69.2、エネルギーレベル71.3 vs 65.6)。

 

面白いことに、精神的な健康感やエネルギーレベルは、月に1~4回サウナを利用する人と、週に2回以上利用する人との間で大きな差はありませんでした。

つまり、サウナは「たくさん入れば良い」というより、「適度な頻度で楽しむ」ことが健康により効果的なようです。

 

さらに具体的に見ると、スウェーデンのサウナ愛好家は1回のサウナで15~20分を1~2セット、温度は60~80℃の電気式サウナを誰かと一緒に楽しむのが一般的で、冷水浴を併用する人は少数派という点も日本と似ています。

 

これらの結果から、定期的なサウナ入浴は生活の質を高め、心身の健康にも良い影響を与える可能性があると考えられます。

ただし、サウナ利用者がもともと若く活動的な人であるため、サウナが直接健康改善の原因であるとは言い切れません。

それでも、月に数回の適度なサウナ利用が、心にも体にも優しいライフスタイルの一部となることは間違いなさそうです。

 

参考文献:

Engström Å, Hägglund H, Lee E, Wennberg M, Söderberg S, Andersson M. Sauna bathing in northern Sweden: results from the MONICA study 2022. Int J Circumpolar Health. 2024;83(1):2419698. doi:10.1080/22423982.2024.2419698