毎朝、コーヒーを楽しみにしている人は少なくないでしょう。
そういう私も始業前の朝のコーヒーをルーティンにしている方です。
ところで、ある研究によると、コーヒーを飲むタイミングが寿命に影響を与える可能性が示されました。
アメリカの成人約4万人を対象とした研究では、コーヒーを飲む時間帯によって「朝型」と「一日型」の2つのグループに分かれました。
朝型は午前中(4時~11時59分)に集中して飲み、一日型は午後や夜にもコーヒーを楽しむ傾向があります。
興味深いことに、この研究では、コーヒーを朝に飲む人は、全く飲まない人に比べて、全体の死亡リスクが16%低く、特に心血管疾患による死亡リスクは31%も低かったのです。
同じ量のコーヒーを飲んでも、一日を通して飲むグループでは、このような明確な健康効果が見られなかったことが、この結果をより際立たせています。
また、朝に飲むコーヒーの量が多いほど健康に良い可能性も指摘されました。
1日に2~3杯のコーヒーを飲む朝型の人は、死亡リスクが約28%低く、3杯以上飲む場合でも21%のリスク減少が見られました。
一方、一日中飲むタイプの人には、このような明確な関係は見られませんでした。
では、なぜこの違いが生じるのでしょうか。
その秘密は、体内時計(サーカディアンリズム)にあるかもしれません。
午後や夜のカフェイン摂取は、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を減らすことが知られています。
メラトニンの減少は酸化ストレスを増やし、高血圧や心血管リスクを高める可能性があるのです。
さらに、コーヒーに含まれる抗炎症物質も関係しています。
体内の炎症物質は朝が最も高く、その後徐々に下がっていきます。
そのため、朝にコーヒーを飲むことで炎症を抑える効果が最大化される可能性があるのです。
この研究の結果は、日常の小さな選択が健康に大きな影響を与えることを教えてくれます。
もちろん、コーヒーを飲まなくても健康的な生活は可能です。
ただ、コーヒー好きにとっては、朝の一杯が身体にも心にも良い影響を与えるかもしれないというのは、嬉しいニュースですね。
毎朝のコーヒーを楽しむ時間が、ただの習慣を超えて、健康を支える小さな秘訣になるかもしれません。
参考文献:
Wang X, Ma H, Sun Q, et al. Coffee drinking timing and mortality in US adults. Eur Heart J. 2025;46(8):749-759. doi:10.1093/eurheartj/ehae871
