SNSを使って友人の近況を知り、お互いの生活の様子を共有することで、人との繋がりを感じられると思われてきました。
しかし、研究によると、SNSの使い方によっては、むしろ孤独感が深まる可能性が示されています。
オランダの約7000人を対象に、9年間にわたり行われた調査結果によると、SNSの「受動的な使い方」、いわゆる「見る専」(ただ閲覧するだけ)の場合、年々孤独感が強まる傾向がありました。
さらに意外なことに、「能動的な使い方」(投稿やコメントなど)も孤独感を高めることが明らかになったのです。
具体的なデータを見てみると、SNSを週に1時間使う人の孤独感の増加はわずかでしたが、週に7時間以上になると孤独感の増加が顕著になりました。
特に能動的な利用(投稿やシェアなど)を週7時間以上続けると、孤独感の増加が受動的利用の約6倍にもなることが分かりました。
これらの結果は、SNSの「使い過ぎ」が現実の対面コミュニケーションの機会を奪ってしまう「置き換え仮説」で説明されています。
オンラインでの交流が増える一方で、実際の友人や家族との時間が減り、結果的に孤独感が増幅するというわけです。
さらに興味深いのは、孤独感とSNS使用の間に「相互作用」があることです。
孤独を感じる人ほどSNSに時間を費やし、その結果さらに孤独感が深まるという悪循環が確認されました。
一見、つながりを深めるはずのSNSが、かえって孤独を加速させるとは、まさに現代人が直面する新たな課題かもしれません。
SNSを使用するなら、質と量を適切にコントロールし、現実世界の人間関係を大切にすることを優先する必要があります。
日常を豊かにするためには、「デジタルデトックス」は必須のようです。
参考文献:
Roberts, J. A., Young, P. D., & David, M. E. (2025). The Epidemic of Loneliness: A 9-Year Longitudinal Study of the Impact of Passive and Active Social Media Use on Loneliness. Personality and Social Psychology Bulletin, 0(0). https://doi.org/10.1177/01461672241295870
