耳鳴りと食事の関係—予防につながる食生活とは?

耳鳴りと食事の関係—予防につながる食生活とは?

 

耳鳴りは「キーン」や「ジー」などの不快な音が頭の中で絶えず響く症状で、多くの人を悩ませています。

実は、世界では約14.4%の成人が耳鳴りを経験しており、精神的なストレスや不眠症などの問題を引き起こすこともあります。では、この悩ましい耳鳴りと食べ物の間にどんな関係があるのでしょうか?

最近の研究で、興味深い発見がありました。

 

研究者らは、約30万人を対象とした大規模な研究を行い、普段の食生活が耳鳴りの発症にどのように影響するかを調べました。

その結果、意外にも、果物や乳製品、カフェイン(!)、食物繊維を多く摂る人ほど耳鳴りのリスクが低くなるということがわかったのです。

 

具体的には、

– 果物を多く摂取する人は耳鳴りの発生が約35%低下(リスク比0.649)

– 食物繊維の摂取量が多い人は約9%低下(リスク比0.918)

– 乳製品をよく食べる人では約17%低下(リスク比0.827)

– カフェインを含む飲み物を適度に摂る人では約10%低下(リスク比0.898)

という明確な数値で示されています。

 

これらの食品がなぜ耳鳴りの予防に役立つのかという理由については、血流の改善や炎症の軽減、抗酸化作用などが関与していると考えられています。

特に食物繊維はインスリン感受性を高め、内耳の血流を安定させる働きがあり、耳の健康を守っている可能性があります。

また、乳製品は血管の健康を保つのに役立つとされ、耳への血流を保つことが耳鳴りのリスクを下げる理由かもしれません。

 

またカフェインについては、眠れなくなる原因となることから避ける人もいますが、適度な摂取でむしろ不安を和らげ、神経活動を整える働きを示すという興味深い結果が得られています。

ただし、過剰摂取には注意が必要です。

 

一方、よく「野菜を多く摂ると良い」といわれますが、今回の研究では野菜の摂取量は耳鳴りと明確な関係は認められませんでした。

これについては、今後のさらなる研究が必要でしょう。

 

この研究からわかるのは、耳鳴りを完全に治すことは難しくても、日頃の食生活に少し気を配るだけでリスクを軽減できる可能性があるということです。

耳鳴りに悩んでいる方も、まだ経験のない方も、毎日の食事にちょっとした工夫を取り入れてみてはいかがでしょう。

心と身体の健康を守るのに、大きな役割を果たしてくれるかもしれません。

 

参考文献:

Zhang M, Wang X, Zhang S, et al. Association of 15 common dietary factors with tinnitus: a systematic review and meta-analysis of observational studies. BMJ Open. 2025;15(3):e091507. Published 2025 Mar 18. doi:10.1136/bmjopen-2024-091507