先日、映画『ウィキッド ふたりの魔女』を見てきました。
あまりの衝撃と感動に、上映後もしばらく席を立てませんでした。
劇場の明かりがついて周りの人々が立ち上がるなか、まるで魔法にかけられたように動けず、心の中でただただ拍手を送り続けていました。
何がそこまで心を掴んだのか?
それは『ウィキッド』が単なる映画を超えた、映像美と音楽、そして深いメッセージを融合させた新しい芸術だったからだと思います。
監督のジョン・M・チュウは、オズの幻想世界を目の前に広げるために、なんと900万本ものチューリップを本物の畑に咲かせたそうです。
さらにエメラルド・シティへ向かう巨大な蒸気機関車まで作り込むなど、徹底的なリアリティにこだわっています。
映像は色彩豊かで、まるで砂糖菓子が飛び散るような華やかさでした。この豪華な世界は、観る人の目を一瞬たりとも離させません。
舞台版から映画への進化は、単なるスケールアップにとどまりませんでした。
映画版では舞台でのシンプルな描写が、詳細で緻密な映像となり、さらに新たなキャラクターやエピソードが追加されました。
特に、エルファバが幼少期に肌の色でいじめられるシーンや、妹ネッサローズとの複雑な関係性は映画ならではの深みを生み出していました。
映画の音楽も特筆すべき点です。
舞台版は23人編成のオーケストラだったところ、映画では125人もの大オーケストラが奏でる壮大なスコアに進化しました。
しかも、歌唱シーンは俳優が実際に撮影現場で生歌を歌う「ライブ録音」方式が採用され、キャストの感情が直接的に伝わってくる臨場感があります。
主演のシンシア・エリヴォの圧倒的な歌唱力とアリアナ・グランデの透き通るような高音は、まさに「歌声の魔法」と言えるものでした。
特に、クライマックスの『ディファイング・グラヴィティ』のシーンは圧巻です。
舞台版でも感動的な名シーンでしたが、映画ではエルファバのマントが壮大に広がり、空中を高く舞い上がる姿が映像として鮮烈に再現されました。
シンシア・エリヴォの歌唱力と演技力が相まって、鳥肌が止まらないほどの迫力で心を揺さぶられました。
映画『ウィキッド』の最大の魅力は、やはりエルファバとグリンダの友情物語でしょう。
偏見や孤独を乗り越え、真実の友情を築いていく姿には、社会で生きる私たち自身を重ねずにはいられません。
主演のシンシア・エリヴォとアリアナ・グランデの相性も抜群で、「磁石のように引き合う」二人の姿に、多くの人が共感し、胸を熱くしたことでしょう。
劇場を出た後も、映画の余韻が消えずに何度も思い返しています。
こんなに繰り返し観たい映画に出会えることはなかなかありません。
きっと、映画館に何度も足を運ぶと思います。
そして、第2部の『Wicked: For Good』も今から待ち遠しくてたまりません。