私が通うギター教室の3月の練習曲を、ビートルズの『Rock And Roll Music』にしてもらいました。
私の希望をいつも通してくれる、心が広く優しい先生なのです。
練習に先立ってこの曲を聴いてみると、その軽快なリズムとノリの良さに自然と気分が盛り上がります。
「やっぱり昭和のオヤジにはロックンロールが最高だぜ」と、ついつい叫びたくなるのでした。
『Rock And Roll Music』は、もともとロックンロールの先駆者チャック・ベリーが1957年に発表した楽曲です。
当時、アメリカではR&Bチャート6位、総合チャートでも8位にランクインするほど人気を博しました。
ベリー自身の代表曲の一つとして、現在もロックの定番ナンバーとして親しまれています。
ビートルズがこの曲をカバーしたのは1964年のことでした。
当時、世界的なスターとなった彼らですが、多忙なスケジュールのため新曲制作が追いつかず、自分たちがデビュー前から愛していたロックンロール曲をカバーすることにしたのです。
その選ばれた一曲が、この『Rock And Roll Music』でした。
このビートルズ版はアルバム『Beatles for Sale』に収録されました。
ほかにも、多くのコンピレーションアルバムに収録されており、ファンにはお馴染みの曲です。
ビートルズ版の録音は、一発録りなんだそうです。
プロデューサーのジョージ・マーティンとジョン・レノン、ポール・マッカートニーが一つのピアノを同時に弾いて音を重ねるというユニークな方法で行われました。
ジョンのシャウト系のボーカルが、この曲にライブ感と迫力を与えています。
ライブでも定番となったこの曲は、1964年末のロンドン公演を皮切りに、翌年の世界ツアーや1966年の日本武道館公演(セトリの1曲目)でも演奏され、観客を熱狂させました。
ジョン・レノンは特にこの曲への思い入れが強く、「ロックンロールを別の名前で呼ぶなら、それはチャック・ベリーだ」と語ったほど、ベリーへの敬愛がありました。
ジョージ・ハリスンやリンゴ・スターにとっても、この時代のロックンロールは自らの青春そのものであり、バンドとしての原点となっていました。
私もギターを練習しながら、この曲を通じてビートルズがどれほど自分たちの音楽のルーツを大切にしていたか、そこからどのように新しいロックの世界を切り拓いていったかをじっくり感じ取りたいと思っています。
