「継続する技術」:習慣化の秘訣、意志に頼らない継続の技術

「継続する技術」:習慣化の秘訣、意志に頼らない継続の技術

  

日々の暮らしで「これを続けたい」と思っていても、なかなか実行に移せず頓挫してしまうことがあります。日本のソフトウェアエンジニアである戸田大輔氏は、習慣化アプリのユーザーデータを分析し、継続の難しさを浮き彫りにしました。2万人のアプリ利用者を調査したところ、ランニングを始めた人の94%が30日以内に挫折していたそうです。筋トレやジム通い、ストレッチなども、同じく30日以内に8~9割がやめてしまうと報告されています。

 

継続のための3つの原則

戸田氏は5万7000人規模のデータをもとに、継続の秘訣となる3つの原則を提示しています。

  1. すごく目標を下げる

  2. 動ける時に思い出す

  3. 例外を設けない

この3つを守ったグループは、守らなかったグループに比べて、30日間継続できる率が8.23倍に上昇したといいます。具体的には、「最初のハードルを思いきり低くする」ことによって、筋トレを1時間やる目標よりも、たった5分だけやると決めたほうが継続率が3.13倍高くなりました。

 

動ける時に思い出す

次に、「動ける時に思い出す」について見てみましょう。4000人の調査で何かの行動(入浴、通勤、仕事など)の前後についでに取り組むと、そうでない人より継続率が11%向上する結果が得られています。また、人はうっかり忘れることが多いので、スマートフォンのリマインダーや通知を活用して行動の合図をつくると、継続率が4.47倍に高まるといいます。

 

例外を設けない

3つ目の「例外を設けない」は、一見ストイックに思えますが、毎日少しでも行動を途切れさせないことが重要であるという考え方です。2日連続で休んだ人の83%はそのまま挫折したというデータも示されています。仕事や行事で忙しい日は5分の勉強、30秒の筋トレだけでも行い、連続記録を維持し続けることがポイントです。

学生時代の継続と大人の継続

学生時代は部活や塾に熱心に通っていたのに、大人になってからは意欲とは裏腹に、継続が難しいと感じるケースも報告されています。叱咤激励してくれる先生や仲間がいなくなると、どうしても「今日はいいか」と甘えが出てしまうためです。しかし、歯磨きのように習慣化するには、毎日の小さな積み重ねが何よりも重要です。

 

意志の力に頼らない継続

継続は、意志や根性の問題と思われがちですが、実際には目標設定、環境づくり、そして継続の仕組みが大きく影響することがわかっています。戸田氏は、アプリ内課金などは設けず、ユーザーの寄付を基盤に運営を続けているそうです。このように、「意志に頼りすぎない」継続の設計こそが重要といえます。勉強でも運動でも、実行しやすい手段を取り入れ、継続を楽しむことが大切です。この“継続する技術”は、今後、生活のさまざまなシーンに応用されていく可能性を秘めています。