慢性腎臓病(CKD)は、体内のミネラルバランスを崩し、骨を弱くしてしまいます。
この状態は「CKD-ミネラルと骨障害(CKD-MBD)」と呼ばれ、骨折のリスクを高めるだけでなく、心血管疾患にもつながることが知られています。
そのため、CKD患者さんの予後を改善するためには、CKD-MBDを適切に管理することが非常に重要です。
最近、日本の慢性腎臓病データベース拡張版(J-CKD-DB-Ex)を用いた研究で、たんぱく尿とCKD-MBDの関連性が詳しく調査されました。
たんぱく尿とミネラル代謝異常
この研究では、CKDステージG2からG5の患者30,977人を対象に、尿たんぱく検査の結果を基に4つのグループ(「陰性」、「1+」、「2+」、「3+」)に分類しました。
その結果、たんぱく尿が多いほど、ミネラル代謝異常のリスクが高くなることが明らかになりました。
特に、たんぱく尿が「3+」の高レベル群では、以下のようなミネラル代謝異常が顕著に見られました。(下図)
- 高リン血症: 血液中のリン濃度が高くなる状態。発症リスクはたんぱく尿がない患者と比べて約2.67倍(95%信頼区間:2.29–3.13)。
- 低カルシウム血症: 血液中のカルシウム濃度が低くなる状態。リスクは約2.68倍(95%信頼区間:1.94–3.71)。
- 低マグネシウム血症: 血液中のマグネシウム濃度が低くなる状態。リスクは約1.56倍(95%信頼区間:1.24–1.98)。

たんぱく尿: CKD-MBDのリスクを高める要因
たんぱく尿は、以前から腎臓病の進行や死亡リスクの指標として用いられてきました。
今回の研究では、たんぱく尿がCKD-MBD、特に高リン血症、低カルシウム血症、低マグネシウム血症と密接に関連していることが示されました。
これらのミネラル代謝異常は、骨を弱くしたり、血管を硬くしたりすることで、骨折や心血管疾患のリスクを高めます。
早期発見・早期治療が重要
研究結果は、CKD患者におけるたんぱく尿の存在が、ミネラル代謝異常の指標として役立つことを示しています。
CKD患者さんでは、定期的な尿検査でたんぱく尿の有無をチェックし、血中カルシウム、リン、マグネシウムの異常を早期に発見することがポイントとなります。
そして、異常が見つかった場合には、適切な治療を施すことで、CKD-MBDの進行を抑制し、合併症を予防することができます。
今回の研究は、CKD患者さんの予後を改善するための新たな手がかりを提供するものとして期待されるものです。
参考文献: Shimamoto, S., Nakahara, T., Yamada, S. et al. Association between proteinuria and mineral metabolism disorders in chronic kidney disease: the Japan chronic kidney disease database extension (J-CKD-DB-Ex). Sci Rep 14, 27481 (2024). https://doi.org/10.1038/s41598-024-79291-5

