道を歩いていて、何の前触れもなく「ボヘミアン・ラプソディ」や「イマジン」が頭の中で流れ出したことはありませんか?
イヤーワームとは、意識せずに湧き上がる音楽的イメージのことです。
そして、ほとんどの人は、その音楽の正確さを気にしたこともないはずです。
しかし、今回の研究では、これまでとは異なる視点からイヤーワームに光を当てています。
「イヤーワームの音程はどれほど正確か?」ということを探求したのです。
そして、多くの人は自分でも気づかないうちに、驚くほど正確な音程で再現していることを突き止めました。
この研究は、アメリカの大学生30人を対象に2週間にわたって行われました。
研究チームは、参加者に一日に6回、無作為なタイミングで通知を送り、イヤーワームが頭に流れているかを確認しました。
音楽が再生されていると答えた場合、参加者はそのメロディを口ずさんで録音し、その録音と元の曲を半音単位で比較して音程の誤差を分析しました。
調査の結果、以下のような興味深い事実が明らかになりました。
– 132件の録音のうち44.7%は元の曲と音程の誤差が0で、正確に同じキーでした。
– 68.9%は±1半音以内の誤差に収まり、偶然では考えられないほどの精度を示しました(偶然なら8.33%や25%程度の確率)。
– 参加者全体で見ても、21人中12人は偶然以上の精度で音程を再現していることがわかりました。
この結果から、多くの人は自覚がなくても、自発的な努力なしに正確な音程を再現する能力を持っていることが示唆されました。
これは、イヤーワームとして再生される音楽が短期記憶に依存せず、長期記憶に基づくことを示しています。
つまり、頭の中で自然に再生される音楽は、私たちの脳が思った以上に高精度で記憶しているということです。
通常、絶対音感を持つ人は人口の約1/10,000と言われていますが、今回の研究は、特別な訓練を受けていない人でも日常の中で無意識に絶対音感に近い能力を発揮している可能性を示しています。
私たちが何気なく口ずさむ音楽には、実は記憶力の精度の高さが隠されているのです。
今度、頭に浮かんだメロディを口ずさんでみてください。
それは、もしかしたらあなたの中の、絶対音感という隠れた才能かもしれませんよ。
参考文献:
Evans MG, Gaeta P, Davidenko N. Absolute pitch in involuntary musical imagery. Atten Percept Psychophys. 2024;86(6):2124-2135. doi:10.3758/s13414-024-02936-0

