運動が体に良いことは誰もが知っていますが、実は脳にも大きな恩恵をもたらすことがわかっています。
最近の研究では、特に高強度インターバルトレーニング(HIIT)が記憶力や脳の容積に対して他の運動よりも優れていることが明らかになりました。
HIITとは、短時間で高強度の運動を行い、その後に短い休息を挟むトレーニング方法です。
心拍数を上げ、脂肪燃焼や心肺機能の向上に効果的で、時間効率が高い点が特徴です。
この研究では、65歳から85歳までの認知機能に問題のない194人の成人を対象に、運動の種類と脳の健康との関係を調べました。
参加者は、6か月間にわたり週3回の運動を行う3つのグループに分けられました。
低強度グループでは30分間のストレッチやリラクゼーションを行い、中強度グループではトレッドミルでの30分間の速歩を実施しました。
そして、HIITグループはトレッドミル上で4分間の高強度運動(心拍数の80-95%)を行い、3分間の休息を挟むセッションを4回繰り返しました。
6か月後、記憶テストが実施され、HIITグループは他の2つのグループに比べて誤答が少ないことが確認されました。
さらに、5年後に再度同じテストを行ったところ、HIITグループの成績は維持されており、他のグループと比較しても優れていました。
さらに興味深いのは、MRIスキャンによって脳の容積も調査された点です。
HIITグループの右側海馬、つまり記憶に関連する脳の部分が他のグループよりも萎縮が少なかったのです。
これは、年齢を重ねても脳が若々しさを保つ可能性があることを示しています。
HIITが脳に良い理由は、いくつかのメカニズムによるものと考えられています。
まず、HIITは心肺機能を改善し、血圧を低下させることで脳への血流を良くします。
次に、炎症レベルを下げることで、脳の健康を保つ手助けをします。
そして、HIITは脳由来神経栄養因子(BDNF)と呼ばれるタンパク質の増加を促進し、脳細胞の成長と修復をサポートします。
ただし、この研究は認知機能に問題のない人々を対象としており、他の形態の運動や認知機能低下がある人々に同様の効果が見られるかどうかはまだ明らかではありません。
しかし、HIITが脳と体の両方に多くの利益をもたらすことは確かのようです。
日常の運動習慣にHIITを取り入れることで、将来の記憶力や脳の健康を守ることができるかもしれません。
HIITが苦手だという方も、「脳にいい」と言われれば、やる気が出るのではないでしょうか。
参考文献:
Blackmore DG, Schaumberg MA, Ziaei M, et al. Long-Term Improvement in Hippocampal-Dependent Learning Ability in Healthy, Aged Individuals Following High Intensity Interval Training. Aging Dis. Published online July 8, 2024. doi:10.14336/AD.2024.0642

