ほとんどの大人たち(昭和世代の親たち)は、ソーシャルメディアで盛り上がる子どもたちを温かく見守ろうと思いながら、本当にネガティブな影響はないのだろうかと心配しているものです。
ですから、こういった類の研究が繰り返されていくのでしょう。
今回紹介する研究のテーマは「睡眠時間とソーシャルメディアの使用が青少年の脳の発達にどのように影響するか」です。
この研究は、米国のABC(Adolescent Brain Cognitive Development)スタディに参加した1982人の青少年(平均年齢12歳、男女半々)を対象に行われたものです。
(ABCDスタディについては、いつか別の機会に説明しますね。)
この研究では、睡眠時間、ソーシャルメディアの使用、そして脳の活動の関係が明らかになりました。
研究によれば、睡眠時間が短いほど、ソーシャルメディアを多く使用する傾向があり、その結果、脳の前頭葉における活動が低下することが確認されました。
前頭葉は、意思決定や計画、感情の制御など、重要な役割を果たす部位です。
つまり、睡眠不足とソーシャルメディアの多用が、これらの機能に悪影響を与える可能性があります。
具体的には、報酬処理に関わる脳の領域、例えば腹側線条体や前帯状皮質などで活動が変化することが分かりました。
睡眠時間を長くとれば、これらの領域の活動が活発になることが確認され、逆に短い睡眠は活動を低下させるという結果が出ました。
この研究の重要なポイントは、健康的な睡眠習慣とデジタルメディアのバランスを取ることの必要性を示していることです。
研究者たちは、将来的にソーシャルメディアの使用と睡眠のバランスを取るための新しい技術や戦略の開発が必要であると強調しています。
例えば、睡眠の質を高めるために、ソーシャルメディアの使用を調整するセンサーやアプリケーションの開発が考えられています。
このような問題には、私などはどうしても「制限」という形でしか解決策を思いつかないのですが、デジタルメディアに詳しい人たちにとっては、もっとほかの起死回生のアイディアがあるのだと信じたいです。
元論文:
Nagata, Jason M., Gurbinder Singh, Joanne H. Yang, Natalia Smith, Orsolya Kiss, Kyle T. Ganson, Alexander Testa, Dylan B. Jackson, and Fiona C. Baker. “Bedtime screen use behaviors and sleep outcomes: Findings from the Adolescent Brain Cognitive Development (ABCD) Study.” Sleep Health (2023).
