世界中で約10億人、日本国内でも900万人以上が睡眠時無呼吸症候群に悩んでいるとされています。
この病気は、寝ている間に上気道が閉塞することで起こるものです。
最も一般的な治療法は、CPAP(シーパップ)という機械を使うことです。
この機械は、ホースと顔のマスクを通じて体内に空気を送り込みます。
しかし、この治療法は、マスクの装着感に差があり、人によっては着けている際の煩わしさが耐えられずに、必要だけれども断念する患者が多いのも事実です。
実際、セデーリアにあるBothwell Regional Health Centerのクールマン医師によれば、彼の患者の約4分の1がこの機械を使うのを避けているそうです。
そんななか、「飲み薬があれば…」と思うのは自然なことでしょう。
現在、Apnimed社が開発中のAD109という薬が候補としてあがっています。
AD109は、過活動膀胱の治療薬アロキシブチニンと、注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療薬アトモキセチンを組み合わせたもののようです。
この薬は、上気道が閉塞するのを防ぎ、かつ人々の眠りを保つ効果があります。
AD109は現在、第III相臨床試験中ですが、第II相試験の結果はすでに出ています。
この試験では、AD109を服用した患者の睡眠時無呼吸の症状が有意に改善されました。
特に、軽度の患者では効果が高く、副作用もほとんど見られませんでした。
例えば、軽度の患者の77%が無呼吸指数(AHI)を10以下に下げることができました。
一方、中等度の患者では42%、重度の患者ではわずか7%しか10以下に下がりませんでした。
しかし、第II相試験では酸素飽和度のデータが報告されず、「低酸素負荷」という指標が使われました。
これは、睡眠時無呼吸症の主要な影響を評価する際に重要な酸素飽和度の低下を十分に反映していない可能性があります。
酸素飽和度は、睡眠中の体内の酸素レベルを示す指標であり、これが低下すると日中の疲労や健康問題を引き起こす原因となります。
とはいえ、将来的には、AD109のような薬物がCPAPに代わる新しい治療法となる可能性があります。
第III相試験の結果次第で、より多くの患者に対して効果的な治療法として広まることが期待されます。
しかし、現時点では軽度から中等度の患者に対して有効とされており、重度の患者に対する効果は限定的です。
睡眠時無呼吸症は重要な公衆衛生問題であり、その患者数は年々増加しています。
特に、肥満や高齢化が進むと、この病気にかかるリスクも高まります。
体重管理や健康的な生活習慣の維持が、この病気の予防には欠かせません。
これからも新しい治療法の開発が進むことを期待したいところです。
元論文:
Schweitzer PK, Taranto-Montemurro L, Ojile JM, et al. The Combination of Aroxybutynin and Atomoxetine in the Treatment of Obstructive Sleep Apnea (MARIPOSA): A Randomized Controlled Trial [published correction appears in Am J Respir Crit Care Med. 2024 Mar 15;209(6):767] [published correction appears in Am J Respir Crit Care Med. 2024 Mar 15;209(6):767]. Am J Respir Crit Care Med. 2023;208(12):1316-1327. doi:10.1164/rccm.202306-1036OC
