寝る前の「悪しき習慣」として、スマートフォンやタブレットの使用をつい痛感しています。
しかし、時には無意識のうちに電子機器を使用していることもあり、注意が必要です。
では、ベッドの中でSNSをチェックしたり、動画を見たりする習慣は、実際のところ睡眠にどのような影響を与えるのでしょうか。
アメリカがん協会が実施した大規模な調査(成人122,058人を対象)によると、毎晩寝る前にスマートフォンやタブレットを見る人は、見ない人に比べて平日の睡眠時間が平均7.64分短く、休日でも5.04分短いことが明らかになりました。
また、毎日スマートフォンやタブレットの画面を見る人は、睡眠の質が悪いと感じる割合が33%も高くなっていることがわかりました。
興味深いことに、個人の体内時計のタイプ(朝型か夜型か)によっても影響が違うようです。
夜型の人は特に影響が大きく、平日の就寝時間が約16分も遅れ、睡眠時間は平均8.36分も短くなっていました。
一方、朝型の人の就寝時間の遅れは約9分、睡眠時間は5.64分の短縮でした。
わずかな差だと感じるかもしれませんが、これが毎日積み重なると、1週間で約50分の睡眠が削られることになります。
このわずかな差も、健康や日々の活動に影響を及ぼす可能性があります。
では、なぜ寝る前のスマートフォンやタブレットは睡眠に影響するのでしょうか。
その画面が放つブルーライトは、体内の睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を遅らせます。
メラトニンは眠りを誘う役割を持っているため、その分泌が遅れることで眠気が遠ざかり、寝つきが悪くなったり、睡眠の質が低下したりします。
また、寝る前の情報処理による精神的な刺激も、睡眠の質を下げる要因になるかもしれません。
この研究は、子供や若者だけでなく、大人でも電子機器の使用によって睡眠が妨げられることを示しています。
夜型の人は特に注意が必要です。
ベッドに入る1時間前からはスマートフォンやタブレットの使用を避け、睡眠環境を整えることが、睡眠の質を守る鍵になるでしょう。
日々のちょっとした習慣が、私たちの健康に大きな影響を与えることを改めて感じさせる研究結果でした。
参考文献:
Zhong C, Masters M, Donzella SM, Diver WR, Patel AV. Electronic Screen Use and Sleep Duration and Timing in Adults. JAMA Netw Open. 2025;8(3):e252493. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.2493
