慢性腎臓病とスタチン:知っておきたいこと

慢性腎臓病とスタチン:知っておきたいこと

 

慢性腎臓病(CKD)は、米国で約7.5%もの人が患っており、心臓病を引き起こすリスクが高いことが知られています。

特にCKDの患者は、心血管疾患(CVD)という心臓や血管の病気になるリスクが高いため、その予防が非常に重要です。

 

心血管疾患予防には「一次予防」と「二次予防」の考え方があります。

二次予防とは、すでに心血管疾患を経験した人が再発を防ぐための予防です。

一方、一次予防とは、まだ心血管疾患を経験していない人が初めての発症を防ぐために行う予防のことを指します。

CKD患者へのスタチン使用は、この一次予防に当たります。

スタチンは血液中の悪玉コレステロール(LDL)を下げる薬で、CKD患者の心血管リスク低下に効果的とされています。

 

最近の研究によると、スタチンの使用がどれほど進んでいるのか、アメリカでの動向が明らかになりました。

2001年から2020年までの約20年間を対象に行われた国民健康栄養調査(NHANES)のデータを解析したところ、スタチン使用率は2001~2002年の18.6%から2007~2008年には36.1%と約2倍に増加しました。

しかし、その後の2013年にCKD患者へのスタチン使用を推奨する国際的ガイドライン(KDIGO)が発表されて以降は、使用率が40%前後で停滞していることが分かりました。

 

この調査では、次のような特徴を持つCKD患者においてスタチン使用率が高い傾向にあることも明らかになりました。

 

– 健康保険に加入している人は、加入していない人に比べて2.48倍スタチンを使用している。

– 高血圧を持つ人は、持たない人の1.49倍の割合で使用。

– 糖尿病のある人は、ない人より1.71倍使用している。

– また、腎機能の低下(eGFRが低い)、肥満(BMIが高い)もスタチン使用が多いことと関連がありました。

 

一方、性別や人種・民族によるスタチン使用率の差はみられませんでした。

 

しかし、実際には、スタチンが必要とされるCKD患者の半分以下しか使用していないことになります。

その理由として、医療コストの問題や多剤服用による負担、医師や患者のスタチンに対する理解不足や懸念が考えられています。

 

今回の調査から、CKD患者におけるスタチン治療がまだ十分に普及しておらず、改善の余地が大いにあることが明らかになりました。

健康保険の普及や医療コストの軽減、そして医師・患者双方の意識改革が重要と考えられます。

  

今回の研究結果はアメリカのデータですが、日本でもCKD患者さんは少なくありません。

もし健康診断などで「腎臓が少し悪いですね」と言われたら、コレステロール管理も含めた予防策について、早めに医師に相談することをお勧めします。

より多くのCKD患者さんに適切な治療と情報が行き渡り、心臓や血管のトラブルから解放される道が開けることを期待したいところです。

 

参考文献:

Iyalomhe OE, Don Nalin Samandika Saparamadu AA, Alexander GC. Use of Statins for Primary Prevention Among Individuals with CKD in the United States: A Cross-Sectional, Time-Trend Analysis. Am J Kidney Dis. Published online December 30, 2024. doi:10.1053/j.ajkd.2024.11.003