高齢者のタンパク質摂取と健康:腎臓病があっても大丈夫?

高齢者のタンパク質摂取と健康:腎臓病があっても大丈夫?

 

年を重ねると「何を食べるか」がますます大切になってきます。

特に、体の筋肉や骨を保つためには、タンパク質が重要です。

けれども、慢性腎臓病(CKD)を抱える高齢者の皆さんにとって、タンパク質の摂取量が多すぎると腎臓に負担がかかるのでは?と心配される方も多いかも知れません。

慢性腎臓病のパンフレットにも「タンパク制限」の項目はありますし、ちゃんと勉強なさっている方ほど、タンパク質を摂り過ぎないようにと注意なさっていると思います。

そこで、最近の研究がこの疑問に答えています。

スペインとスウェーデンの60歳以上の高齢者を対象に、タンパク質の摂取量と死亡率との関連を調査した結果、興味深いことが分かりました。

CKDを抱える方でも、適度な量のタンパク質を摂ることがむしろ健康に良い影響を与えるというのです。

具体的には、CKDを有する高齢者が1日あたり1.00 g/kgのタンパク質を摂取した場合、0.80 g/kgの摂取に比べて死亡リスクが12%低下するという結果が得られました。

また、1.40 g/kgの摂取では、そのリスクがなんと27%も低下したというデータが示されています。

さらに、植物性タンパク質と動物性タンパク質の両方が、死亡率の低下に寄与していることもわかりました。

「お肉はたくさん食べれない」という方でも、大豆製品やナッツ類、ブロッコリーなどの食材で工夫してもいいですね。

 

 

しかし、ここで興味深い点は、CKDを有しない高齢者において、タンパク質摂取の効果がさらに顕著であったことです。

例えば、1.40 g/kgのタンパク質摂取では、死亡リスクが44%も低下したのです。

これは、健康な腎臓を持つ高齢者にとって、タンパク質がより大きな健康効果を発揮することを示唆しています。

では、CKDを抱える方はどうすれば良いのでしょうか?

この研究は、適度なタンパク質摂取がCKDの進行を抑える効果がありつつ、過度な制限をしなくても良いことを示しています。

特に、日常の食事でバランスの取れたタンパク質を摂取することが重要です。

最後に、この研究はCKDのステージや個々の健康状態によって推奨される摂取量が異なる可能性があるため、食事の見直しを考える際は医師や栄養士と相談することをお勧めします。

タンパク質は、私たちの体を支える大切な栄養素です。

腎臓病があっても、その恩恵を最大限に受けるために、適切な量をしっかりと摂るようにしましょう。

 

参考文献:

Carballo-Casla A, Avesani CM, Beridze G, et al. Protein Intake and Mortality in Older Adults With Chronic Kidney Disease. JAMA Netw Open. 2024;7(8):e2426577. Published 2024 Aug 1. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.26577